AI CROSS株式会社は、旭産業株式会社にAI需要予測・運用サービス「Deep Predictor」の提供を開始しました。
旭産業が直面していた発注業務の課題
旭産業は、1976年(昭和51年)8月の創業以来、断熱材保護カバーや化粧用外装材などを製造・販売してきた外装材の専門メーカーです。本社および大阪支店・工場、福岡営業所、札幌営業所・工場の国内4拠点に加え、タイの製造拠点ASAHI HASEGAWA CO., LTD.を擁しています。多品種の外装材を安定供給できる体制です。
導入前の課題について、旭産業株式会社 常務取締役 佐藤氏は次のように述べています。「発注業務は、現在1名体制で運用しており、発注作業には1回あたり3時間ほど時間がかかっていました。発注の考え方も、その時の発注担当者の考えで行っている部分が強く、属人化していると感じていました。」
佐藤氏はさらに、在庫運用の実態についても触れています。約1,055アイテムを取り扱う中で、やや多めに在庫を持つ運用を続けても毎月20アイテムくらいの欠品が発生しており、需要予測ができているとは感じられない状況が続いていました。発注数の算出ロジックは存在していたものの、需要予測ができているとは感じていませんでした。
業界全体でも、こうした課題は共通しています。経済産業省や厚生労働省、文部科学省「2025年版ものづくり白書」(※1)は、製造業の計画業務を担当者の経験則からデータドリブンな意思決定へと転換する必要性を示しました。
PwCコンサルティング合同会社の調査(※2)によれば、日本企業のサプライチェーン領域でAIを活用している企業は全体の25%、最も導入が進む販売・需要計画領域でも18%にとどまっています。属人的になりがちな業務へのAI活用は、依然として道半ばです。
Deep Predictorの4つの特徴と選定理由
「Deep Predictor」は、過去の出荷や受注、在庫データを学習し、品目ごとの需要を継続的に予測することによって、発注・在庫適正化の意思決定を支援します。主な特徴は以下の4点です。
- 需要予測から発注数算出・業務ルールに沿った後処理までを一気通貫で支援
- 欠品リスクと在庫負担のバランスを定量的に評価し、品目特性に応じた最適発注量を検討
- 予測結果や発注数の根拠となるデータを可視化し、発注判断をデータドリブンに標準化
- 既存の業務フロー・基幹システムとの連携を前提に、段階的に活用範囲を拡張できる設計
旭産業がDeep Predictorを選定した理由について、佐藤氏は「約7,000種類とも言われる外部要素のなかから、自社の事業に効くものを選んで需要予測に取り入れられる点に強い興味を持ちました」と説明しています。打ち合わせを重ねる中で、AI CROSSの担当者の理解度の高さやサービス・体制ともに柔軟性が高いことを実感したことも、選定理由の一つとなりました。
Deep Predictorの導入概要と今後の展開
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | AI CROSS株式会社 |
| 導入企業 | 旭産業株式会社 |
| 販売代理店 | リコージャパン株式会社 |
| サービス名 | Deep Predictor(AI需要予測・運用サービス) |
| 運用開始時期 | 2026年5月 |
| 運用拠点 | 本社および大阪の2拠点(国内4拠点中) |
| 主な導入目的 | 発注業務の属人化解消・欠品防止・過剰在庫抑制の両立 |
| 提供企業所在地 | 東京都港区虎ノ門四丁目3番1号 城山トラストタワー 20F |
| 提供企業代表 | 代表取締役CEO 原田典子氏 |
| 提供企業設立 | 2015年3月 |
| 導入企業創業 | 1976年(昭和51年)8月 |
| 導入企業代表 | 代表取締役社長 長谷川聖人氏 |
trends編集部の一言
日本企業のサプライチェーン領域でAIを活用しているのが全体の25%、最も導入が進む領域でも18%という数値は、製造業でのAI浸透が思いのほか限定的であることを示しています。業界全体としては、「経験と勘」からデータドリブンへの転換が語られて久しいにもかかわらず、現場レベルではまだ属人的な運用が主流であるという構図が浮かび上がります。
マーケティング業界の文脈に置き換えると、「担当者が変わると施策の意図が引き継げない」「判断の根拠が属人的なメモに依存している」という課題は製造業に限らず、業界横断で共通するテーマです。発注判断の根拠をデータで可視化し標準化を支援する設計は、属人依存を構造的に解消しようとする動きとして、他業種のオペレーション改善モデルとしても捉えられます。
「1名体制で月20アイテムの欠品が発生していた」という具体的な課題数値を出発点に導入を決断した旭産業の事例は、まず2拠点から始めて効果検証を進めながら対象を広げていくアプローチも含め、段階的なAI活用の実践例として、業界全体の動向の中でも注目される取り組みと言えます。
References
- ^ PR TIMES. 「外装材専門メーカー・旭産業株式会社にAI需要予測・運用サービス「Deep Predictor」を提供開始 | AI CROSS株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000276.000021834.html, (参照 26-07-02).
