AGRISTが営農支援アプリ「AGRIST Farming Planner」を開発、自社農場で実運用を開始
公開:
AGRIST株式会社は、営農支援アプリ「AGRIST Farming Planner(アグリストファーミングプランナー、以下AFP)」を開発し、自社農場での実運用を開始しました。
AGRIST Farming Plannerの開発起点となった農業現場の属人化と工数負担
これまで農業界に登場してきたITツールやアプリの多くは、日々の作業を記録してデータを可視化する用途にとどまっていました。「明日の天候や生育状況を見て、誰に何の作業をしてもらうか」という未来の作業計画と人員配置の調整は、熟練者の経験や勘に依存する部分が大きく、管理者に多大な労力が割かれています。
AGRISTは、自動収穫ロボットの開発・運用と並行して自ら農場を経営する中で、この課題に直面しました。「包括的に経営者を支援するアプリ」が必要だという判断が、AFPの開発につながっています。
AGRIST Farming Planner(AFP)の主な3つの機能
AFPは、スマートフォンやタブレットから直感的に操作できる設計で、農業のバリューチェーンにおける「生産管理」のプロセスをデジタル化します。主な機能は以下の3点です。
- シフト調整と作業割り振りのAI自動化
- 年間栽培プランの最適ルートナビゲーション
- 作業効率の分析と的確な栽培支援
シフト管理では、従来ホワイトボードやチャットツールを使って管理者が毎日組み立てていた作業内容と従業員のシフトを、AIが自動で立案します。出勤可能な従業員のスキルを考慮し、「誰が・どの作業をするのが最適か」までAIが提案する仕組みです。管理者は、それを承認するだけで済みます。
年間栽培計画については、作物の種類や農場の規模に応じた最適な計画立案をAIがサポートし、データに基づいた見通しのある経営を可能にする機能です。作業効率の面では、日々の作業ログや作業の消化状況を分析して作業のムダを可視化し、品質と収量の安定化に向けた具体的な改善アクションを促せます。
AGRIST独自の強みである自社農場での現場主義開発
AGRISTが強調するのは、自ら農業経営を行う実践的な開発体制です。現在、自社農場にてAFPの先行運用を進めており、現場で働く従業員が日々システムを利用することによって、リアルな運用データとフィードバックをAIの学習に反映させています。「現場の人間が本当に使いやすいUI/UX」にこだわって開発しています。
代表取締役の秦裕貴氏は、「農業を100年先も続く持続可能な産業にするためには、現場のハードな作業をロボットで代替するだけではなく、農家の方々の頭脳労働や管理業務をAIでサポートすることが不可欠だ」と述べました。自社農場の運営を通じて「現場作業だけではなく、見えない管理業務に膨大な時間を費やしている」という事実を痛感したことが、AFPの開発背景にあるといいます。
AGRIST Farming Planner(AFP)の概要と今後の展開
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| サービス名 | AGRIST Farming Planner(アグリストファーミングプランナー、以下AFP) |
| カテゴリ | 営農支援アプリ |
| 開発元 | AGRIST株式会社 |
| 対応デバイス | スマートフォン・タブレット |
| 主な機能 | シフト自動調整・年間栽培計画立案・作業効率分析 |
| 運用状況 | 自社農場にて実運用中 |
| 今後の展開 | FaaS(Farming as a Service)への組み込み・自動収穫ロボットおよび収量予測AIとの連携・全国生産者への提供予定 |
| 代表者 | 斎藤潤一、秦裕貴 |
| 本社所在地 | 宮崎県児湯郡新富町富田南一丁目53番地1 |
| 設立 | 2019年10月 |
| 受賞実績 | 農林水産大臣賞を含む国内外で27個以上(2025年まで) |
trends編集部の一言
「記録する」から「AIが提案する」という方向転換は、農業に限らず、多くの現場が直面している課題を言い当てています。データは集まっているのに「次に何をすべきか」の判断に時間がかかるという状況は、業界を問わず広く見られる現象です。業界全体として、データの可視化ツールは普及しつつある一方、そこから先の「意思決定支援」に踏み込んだツールはまだ少ないのではないでしょうか。
AGRISTが自社農場での実運用を開発の起点に据えている点も注目されます。机上のプロダクト設計ではなく、現場のフィードバックを即座に反映できる体制は、「使われないまま終わるDXツール」という課題への一つの答えです。マーケティング業界の文脈においても、ツールの導入が現場の意思決定の質向上につながるかどうかが問われる局面は共通した課題として捉えられます。
References
- ^ PR TIMES. 「「記録する」から「AIが提案する」農業へ。AGRIST、日々のシフト作成と作業割振りを自動化する営農支援アプリ「AGRIST Farming Planner」の実運用を開始 | AGRIST株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000189.000050444.html, (参照 26-06-25).






