量子AIを用いたサービスを展開している株式会社KandaQuantumが、わずか4分で数ヶ月分のガントチャートを自動生成するプロジェクトマネジメントAI(プロマネAI)の実現に世界で初めて成功しました。
本技術は、AIの大規模言語モデルであるGPTと擬似量子技術を用いて実現しており、高速且つ高精度で大規模に自動生成できるのが特徴です。
この記事では、プロマネAIの実現を可能にした技術の特徴や、AI×量子技術の今後について解説します。
プロマネAIが自動生成したガントチャートの内容
ガントチャートの自動生成に成功した生成AI「CalqPM」を用いた実際の内容について紹介します。CalqPMに入力する情報は下記の通りです。
株式会社KandaQuantum[1]
上記のプロジェクト内容と従業員情報をもとに、ガントチャートを作成してもらいます。
株式会社KandaQuantum[1]
上記は入力された情報を元に、各従業員毎のタスクを割り当てている状況です。入力情報を再度最適化して計算しているため、従来の情報と若干内容が異なっています。
また、タスクが可能な限り重ならないようにAIが調整を行っているのも特徴です。
株式会社KandaQuantum[1]
上記は各タスク毎の従業員の割り当て状況です。タスクの依存関係を考慮してAIが大きなタスクの流れを描いていることから、効率的なタスクの割り当てを実現できることがわかります。
プロマネAIの実現を可能にした技術の特徴
株式会社KandaQuantumは2022年11月、量子AIとNotionを使ってガントチャートを作成する実証実験を行っていました。しかし、実験を進める中で下記のような課題が浮き彫りになります。
- 量子技術に優れたエンジニアは極めて少ない
- 従来のLLMでは安定して外部関数呼び出しができない
- LLMだけでのスケジューリング自動化には限界がある
同社は上記の課題を解決するアプローチとして、LLM×量子関連技術を用いることで、大規模かつ高精度なガントチャート生成を実現しました。
その背景にはOpenAIのLLMアップデートと、擬似量子技術の利用が大きく関わっています。
OpenAIのLLMアップデート
OpenAIが6月13日に行ったGPTモデルのアップデートにより「関数呼び出し機能」が実装されました。
本機能によりプログラムとしてのデータ入出力が安定し、外部関数呼び出しが安定しないという問題が解決したのです。
擬似量子技術の特徴
擬似量子技術は数理最適化の数理モデルをベースとして量子コンピューターの特性を再現できる技術です。
本技術を使うことで、これまで実現できなかったタスク同士の依存関係やタスクと稼働者のマッチング、稼働者のリソース状況の精緻な最適化に成功しています。
LLM×擬似量子技術は新たなビジネスチャンスを生むのか
LLM×擬似量子技術によるシステム開発は、現在ソフトウェアで活用していますが、Googleの商用量子コンピューター「Dwave」などを利用することで、さらに高速かつ大規模化することも可能です。
クラウドで利用できる疑似量子コンピューターはすでに存在しており、株式会社日立製作所が開発した「CMOSアニーリング」などが挙げられます。擬似量子コンピューターは、高度な専門知識不要で量子技術を利用できるので、今後はAI×擬似量子コンピューターによるサービスも増えてくるかもしれません。
Googleが提供する「Dwave」と株式会社日立製作所が開発した「CMOSアニーリング」のどちらも商用利用可能なシステムです。量子分野の初期設定はまだ適用範囲が限られているものの、AIとの相性がよいこともあり、今後ビジネスチャンスを産む可能性があります。
References
- ^ PR TIMES. 「GPT-4 x 量子: わずか4分で4ヶ月分のスケジュール生成するプロマネAIを実現|株式会社KandaQuantumのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000118.000082094.html, (参照 2023-06-25).
※上記コンテンツの内容やソースコードはAIで確認・デバッグしておりますが、間違いやエラー、脆弱性などがある場合は、コメントよりご報告いただけますと幸いです。
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