株式会社SARUCREWは、自社開発のAIエージェント「Godrilla」の全社導入により、広告運用業務において最大90%のリードタイム削減を実現しました。
AIエージェント「Godrilla」が担う役割と仕組み
「Godrilla」は、株式会社SARUCREWが自社開発したAIエージェントの中核です。社内ではCAIO(Chief AI Officer)と呼ばれており、Slackを拠点に24時間稼働しています。AI関連ニュースや競合動向の日次自動配信、広告運用データの分析・レポート作成、各チームの業務AI化の相談役などを自律的に実行します。
Godrillaは、単独で稼働するのではなく、「ゴリ吉」(社員向け連携ポータル)や広告ジャンル別の専任エージェント群と連携し、役割分担したチームとして組織に機能する構成です。社員はSlack上でエージェントに話しかけるだけで業務を委任できます。
連携先はSlackやBigQuery、Notion、GoogleカレンダーやGitHub、GitLab、Google Docs/Sheets/Drive等に及びます。これら10種以上のシステムと常時接続しました。
AIの活用方針として、同社は「課題解決のためのツール」として都度利用するのではなく、「組織のインフラ」として常駐させるアプローチを採用しました。AIエージェントを組織図の中に位置づけ、人を増やさずに事業を拡大する体制を構築した点が特徴です。
Godrillaの4つの特長
Godrillaには、運用上の信頼性と拡張性を支える特長があります。主な機能は次の4点です。
- 24時間常駐による日次データ配信・競合分析・運用監視の自律実行
- コンテナ単位の隔離によるエージェント別権限制御
- 業務領域ごとのナレッジ蓄積と専任エージェントの迅速な追加
- Claude・Gemini・Grok等への対応によるマルチモデル耐障害性
マルチモデル対応については、2026年6月に主要モデルの障害が発生した際、GeminiやGrokへの自動切替により業務を継続しました。同時に低コストモデルによる運用も実現しています。
広告運用業界では複数クライアントの機密情報を同時に扱うため、エージェント別の権限制御はセキュリティ面でも重要な設計です。
Godrilla導入成果と開発責任者のコメント
Godrillaを中心としたエージェント体制の導入により、以下の成果が確認されています。
- リードタイム最大90%短縮(1回4〜6時間 → 30〜40分)
- チーム全体で月間約100時間以上の業務削減
- 分析レポート作成:数時間 → 数分
- 会議が「数字の突合」から「打ち手の議論」へ変化
削減した時間は、クリエイティブ改善や分析、新規施策の検討に再配分されています。
開発責任者である箱守 崇氏は、「AIはツールではなくインフラです。重要なのはAIを『使う』ことではなく、AIが『ある』状態を維持することです。実際に広告運用チームでは1人あたり月間40時間以上の業務削減を確認しています。ただしAIには意志がありません。最終的に判断し決めるのは人間の役割です」と述べています。
Godrillaの概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | 株式会社SARUCREW |
| 代表取締役 | 石井 尚貴氏 |
| 所在地 | 東京都渋谷区道玄坂2-25-12 dougenzaka-dori 5F |
| 設立 | 2019年4月 |
| 事業内容 | デジタルマーケティング事業、広告運用事業 |
| サービス名 | Godrilla |
| カテゴリ | AIエージェント |
| 稼働開始 | 2026年4月下旬 |
| 連携システム | SlackやBigQuery、Notion、GoogleカレンダーやGitHub、GitLab、Google Docs/Sheets/Drive 等10種以上 |
| 対応モデル | Claude・Gemini・Grok |
| 今後の展開 | 2026年下半期にAI専門組織を新設予定 |
trends編集部の一言
1回4〜6時間かかっていた作業が30〜40分に短縮され、チーム全体で月間約100時間以上の業務が削減されたという数字は、業種を問わずインパクトがあります。業界全体としては、AIを「ツールの試験利用」で止めず「組織インフラ化」まで位置づける動きが広がってきました。
今回の事例は、その具体的な実装例として業界横断で参照される取り組みです。マーケティング業界の文脈に置き換えると、キャンペーンごとのデータ集計や媒体別のレポート整理を専任エージェントに委任できれば、人的リソースを施策立案や顧客対応に集中させられます。同種サービスでは「AIをどこまで組織の意思決定フローに組み込むか」が共通の課題となっており、エージェントを組織図上に位置づける設計は、業界全体の組織運営の転換を象徴する動きとして注目されるのではないでしょうか。
References
- ^ PR TIMES. 「SARUCREW、自社開発AIエージェント「Godrilla」を中心に複数エージェントが自律稼働 | 株式会社SARUCREWのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000079791.html, (参照 26-06-24).
