2024年4月にリリースされたWindowsの月例セキュリティ更新プログラム（KB5036893）やプレビュー更新プログラムの適用後、VPN接続の確立に失敗する問題が報告された。この問題は「KB5037771」として識別されている。VPNはリモートワークやセキュアな通信に欠かせないため、ビジネスへの影響が懸念された。^[1]

この問題の影響を受けるのは、Windows 11やWindows 10の比較的新しいバージョンを中心とした幅広いプラットフォームだ。一方、Windows ServerについてもServer 2022からServer 2008までの全バージョンが対象となっており、サーバー管理者は注意が必要だろう。

問題解決のKB5037771、最新アップデートの適用が重要

VPN接続の問題を解決するKB5037771は、2024年5月14日にリリースされたオプションの更新プログラムだ。Windows Updateを通じて個別に適用することも可能だが、後続の月例更新プログラムにも統合されているため、最新の更新プログラムを適用すれば自動的に問題が解消される。

セキュリティリスクを減らすためにも、Windows Updateを用いて定期的に最新の状態に保つことが推奨されている。特にビジネス環境ではVPNをはじめとするセキュアな通信基盤の安定稼働が重要であり、アップデート適用のタイミングを逸することなくシステムを最新の状態に保つ必要がある。

一方、更新プログラムの適用前にはテスト環境での動作確認が欠かせない。重要なセキュリティアップデートであっても、ときにはKB5037771のようにビジネスに影響を及ぼす不具合が潜んでいる可能性があるため、慎重なアップデート運用が求められる。

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trends編集部「K」の一言

セキュリティ向上のために必要不可欠な更新プログラムは、ユーザー環境に大きなインパクトを与える不具合が含まれるリスクは常につきまとう。サードパーティ製のVPNクライアントソフトにも影響が及んでいた可能性があり、企業には幅広い視点での検証が求められる。

Microsoftには更新プログラムのリリース前の品質チェック強化を期待したい。現代のビジネスにおいてシステムの可用性は収益に直結する重要な要素であり、稼働率100％が求められるケースも多い。障害の発生を防ぐためには、Windows Updateの仕組みを見直すことも検討に値するのではないか。今後はセキュリティと安定性を高いレベルで両立できるような仕組み作りが必要だろう。

一方、システム管理者はトラブル発生に備えた切り分けスキルの向上が欠かせない。VPN接続の問題が発生した際、その原因がWindowsにあると特定するまでには一定の時間を要するだろう。障害対応手順を予めシミュレーションし、ベンダーとの連携体制を整えておくなど、平時からの備えを怠らないことが重要だ。そのような地道な取り組みの積み重ねがダウンタイムを最小限に抑える鍵となる。

システムの安定稼働は企業活動を支える屋台骨であり、その維持のためにはシステム管理者とベンダー双方の協力が不可欠だ。定期的な情報交換の場を設けるなどして連携を深め、より強固なITインフラの構築を目指していくべきだろう。KB5037771の一件を機に、改めてアップデート運用のあり方を見直す好機となることを期待したい。