日本初の「バッチ式乾式メタン発酵設備」が富士山麓で稼働開始
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- 発表元
- 株式会社鴻池組
- 配信日時
- 2026年10月21日 15時40分
- 転載日
- 2026年10月22日
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乳牛糞などを廃液ゼロで資源循環、静岡県富士宮市で運転開始

株式会社鴻池組(大阪市中央区、代表取締役社長渡津弘己)は、2026年10月21日、静岡県富士宮市根原字宝山において「富士山バイオマス乾式メタン発酵プラント」の運転を開始しました。乳牛糞などを処理する農産物処理加工設備であり、発酵方式には国内で初めて「バッチ式乾式メタン発酵」を採用※1。前処理設備・排水処理設備を要さず、環境負荷を抑えた資源循環型の施設です。
家畜ふん尿などの処理を、環境負荷を抑えて実現する新たな選択肢
主に畜産から発生するふん尿などの適正処理は、地域社会が抱える継続的な課題です。廃棄物処理法施行令では産業廃棄物となる動物のふん尿を「畜産農業に係るものに限る」と定めており※2、畜産農業に伴って発生する家畜ふん尿は産業廃棄物として区分されます。一方で、環境省によれば動物のふん尿の再生利用率は94.9%と高く、その多くが堆肥やエネルギーなどに再生利用されています。※3
こうした資源循環の担い手として近年注目されるのが、有機性資源を微生物の力で発酵させる「メタン発酵」です。メタン発酵は嫌気性発酵によりバイオガス(メタンガス)と消化液(液肥)を生成する技術であり、既存の堆肥製造システムに導入することで、生成されたバイオガスを熱電併給システム(CHP)の動力として活用。そこで発生する電気は固定価格買取制度(FIT)の対象として売電が可能となるほか※4、原料に再生可能資源(バイオ廃棄物)を使用しているため、CHP燃焼時に排出されるCO2は実質ゼロとみなされ、本システムはカーボンニュートラルとして認識されます。
日本初のバッチ式乾式メタン発酵、既存の堆肥製造インフラと共存
朝霧高原プロジェクトは、農産物処理加工施設(富士バイオテック株式会社)の敷地内に、ドイツBEKON社製のバッチ式乾式メタン発酵設備を設置しました。主な原料である乳牛糞などを発酵槽に充填して嫌気性メタン発酵を行い、発酵後の残渣は堆肥製造過程を経て堆肥化されます。原料からエネルギー・堆肥までを地域内で循環させる仕組みです。
本施設が採用するバッチ式乾式法は日本初の方式です。メタン発酵の主流である湿式法はスラリー状の原料と消化液を混合・攪拌することで効率の高いバイオガス生産ができる一方、前処理設備や排水処理設備の初期投資、消化液の臭気や排水など環境負荷に課題があります。これに対し乾式法は、湿式と比較して排水処理量が少ないというメリットがあります。本施設では、含水率の低い原料を発酵槽に充填し、消化液を循環利用することで排水設備を不要とし、環境負荷を極めて少なく抑えています。
バッチ式乾式メタン発酵システムの3つの特長
1. 前処理・排水処理設備が不要(環境負荷の低減)
湿式法で必要となる前処理設備が不要で、消化液を循環利用するため排水設備も不要。シンプルなプラント構造により環境への負荷を抑えます。
2. 攪拌動力が不要で運転管理も容易
含水率の低い乳牛糞などを発酵槽に充填し、動力による攪拌・切り返しを行いません。発酵槽を密閉して無酸素状態にし、上部から消化液を間欠散布して原料に浸透させ、約3週間かけて嫌気性メタン発酵を進めます。
3. 既存堆肥製造プロセスとの親和性・地域密着
発酵後の残渣は堆肥として利用可能なため、既存の堆肥製造プロセスを活用でき、導入難易度の低さが特長です。地域密着型モデルに適した仕組みとなっています。
副産物のバイオガスを活用、複数企業による共創体制
本施設で発生するバイオガスは、副産物として熱電併給装置(CHP)の運転燃料に活用されます。嫌気性メタン発酵後の残渣は堆肥製造過程を経て堆肥化され、資源が無駄なく循環します。
プロジェクトには鴻池組を中心に、静岡ガス&パワー株式会社、株式会社クラフティア、株式会社ビーエイブル、富士バイオテック株式会社、株式会社KSバイオマスエナジー、など複数企業が参画。それぞれの知見を持ち寄る共創体制で事業を推進しています。

鴻池組の再生可能エネルギー事業ポートフォリオ
鴻池組は、島根県隠岐の島町の南谷発電所・油井発電所、兵庫県神戸市の東灘発電所、兵庫県香美町の小長辿(こながたわ)発電所といった小水力発電、隠岐の島町の未利用木質バイオマスによる下西バイオマス発電など、各地で再生可能エネルギー事業に取り組んできました。朝霧高原プロジェクトは、これら分散型・循環型エネルギーへの取り組みに連なる事業として位置づけられます。今後は原料処理量の増加や、余剰となるバイオガスの販売・活用にも取り組んでいく予定です。
施設概要
施設名:富士山バイオマス乾式メタン発酵プラント
所在地:静岡県富士宮市根原字宝山(富士バイオテック株式会社敷地内)
運転開始日:2026年10月21日
発酵方式:バッチ式乾式メタン発酵方式(ドイツBEKON社製、発酵槽5槽仕様)
処理原料:主に乳牛糞
事業者:朝霧バイオガス合同会社(メタン発酵によるバイオガス製造)/朝霧バイオパワー合同会社(バイオガス発電のFIT売電)
開発・運営:株式会社鴻池組

※1自社調べ プラント製造2024年9月ドイツBEKON社にて確認
※2出典:廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和四十六年政令第三百号)第2条第10号
※3出典:環境省「平成28年度産業廃棄物排出・処理状況調査」2016年
※4出典:経済産業省資源エネルギー庁「FIT・FIP制度ガイドブック2026年度版」








