金融会社がSnowflakeなどでAIデータ基盤を整備、データ基盤の担当者が構築範囲を比べられる
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SnowflakeでAI活用に向けたデータ基盤を整えるとき、基盤の上にどこまで業務機能を作り込み、どこから外部の支援に任せるかで判断が分かれます。金融の事例として、Snowflake上で文書業務の自動化まで完結させた進め方と、三井住友カードがデータの意味を整える仕組みから入った進め方を取り上げます。
この記事では、Snowflake上に構築された投資信託文書の自動化基盤やメタデータを整えるCOMETAの導入、Snowflakeのパートナー認定を受けたFPTの支援領域まで詳しく解説します。Snowflakeを使ったAIデータ基盤の構築範囲や支援体制を比べたいデータ基盤の担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の要点
- この記事の材料:発表3件
- 発表主体:アセットマネジメント株式会社、株式会社primeNumber ほか1件
- 出典の最終掲載:2026.10.19
SOURCESこの記事がまとめた発表

画像:アセットマネジメント株式会社の発表資料より(PR TIMES)
[1] りそなアセットマネジメントとナウキャスト、Snowflake上に「商品概要書・ 投資信託約款」作成・管理の自動化基盤を構築
アセットマネジメント株式会社 / 掲載 2026.10.07
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画像:株式会社primeNumberの発表資料より(PR TIMES)
[2] primeNumber、三井住友カードのAI-Readyなデータ基盤づくりを支援。AIデータプラットフォーム 「COMETA」を導入
株式会社primeNumber / 掲載 2026.10.07
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[3] FPT、Snowflake Partner Networkにおいて「Snowflake AI Data Cloud Services Partner 」の「Select」ティアに認定
FPTジャパンホールディングス株式会社 / 掲載 2026.10.19
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目次
Snowflake上の投資信託約款の自動化基盤
りそなアセットマネジメント(以下、りそなAM)とナウキャストは、投資信託の商品概要書と約款の作成・更新を効率化するため、Snowflake環境上に自動化基盤を構築しました。基盤の設計は、以下の2つの観点から整理できます。
- Wordの約款を構造化データにする設計
- AIを案出と補佐に限る設計
どちらの観点も、データの置き場所とAIに任せる処理の線引きにかかわり、Snowflakeに業務機能まで載せる場合の構築範囲を考える手がかりです。
Wordの約款を構造化データにする設計
りそなAMとナウキャストは、りそなAMが既に稼働させているSnowflake環境内にデータベースを作り、Wordファイルの内容を構造化データとして蓄積する環境を整えました。Wordファイルで管理していた従来の業務の課題は、以下の通りです。[1]
| 課題 | 従来の状態 |
|---|---|
| 手作業の確認 | 1ファンドずつWordを開いて修正 |
| 対応期間 | 改定通知1件に数日から1週間程度 |
| 版の管理 | 保管や命名が個人に依存 |
| 届出書類 | 新旧対照表を手作業で作成 |
両社は、データベースや作業画面、生成AI機能の呼び出しまでを既存のSnowflake上で完結させた点を特長に挙げています。さらに、GitHub ActionsとSnowflake CLIを使い、開発・本番環境への自動デプロイと運用保守の低コスト化を実現したとしています。
AIを案出と補佐に限る設計
りそなAMの基盤では、ファイルのスキャンや全件抽出のように確実性が求められる処理はシステムが行い、AIは文章の案出やルール生成などの補佐的な役割に限定した設計です。誤った情報を排除すべき金融機関の業務原則に基づき、ハルシネーション(誤回答)のリスクを軽減する狙いがあります。[1]
構築された4つの主要機能と各機能の主な処理は、以下の通りです。
| 機能 | 主な処理 |
|---|---|
| ファンド検索 | AIが文脈を検索条件へ変換 |
| 新規作成・個別変更エディター | 生成AIが文章案を提案 |
| 一括変更 | AIは置換ルール案のみ作成 |
| 新旧対照表の自動生成 | 変更差分からWord形式で出力 |
一括変更では、AIが改定通知文などから置換ルール案を作り、対象となる全ファンドの抽出とファイルのスキャンはプログラムが担うため、抽出漏れのリスクも抑えられます。また、エディターの提案は差分表示を見ながら画面上で承認・破棄・直接修正ができ、最終的な正確性は人間が担保する仕組みです。
Snowflake事例と比べるCOMETAの導入
三井住友カードは、primeNumberのAIデータプラットフォーム「COMETA」を導入し、社内データの意味や利用文脈といったコンテキストを整える方針です。導入の狙いは、以下の2つに分けて整理できます。
- メタデータ整備の工数を抑える狙い
- 現場がSQLなしでデータを探す狙い
Snowflake上に業務機能を作り込むりそなAMの例と並べると、三井住友カードの取り組みは、データの意味づけを起点に段階的に活用を広げる進め方です。
メタデータ整備の工数を抑える狙い
primeNumberは、AIがデータを解釈して使える「AI-Ready」な状態には、データの意味や信頼して使えるかといった文脈の整備も欠かせないと説明しています。しかし、メタデータ(データの意味を表す情報)を含むコンテキストの整備・維持には継続的な工数がかかり、日々の運用で続けることが三井住友カードの課題でした。[2]
データの意味を管理・可視化するCOMETAで使う主な機能と、各機能で期待する効果は、以下の通りです。
| 機能 | 期待する効果 |
|---|---|
| メタデータの自動生成 | 整備工数を抑える |
| 追加用語の提案 | 整備を続けやすくする |
| 用語集への集約 | 暗黙知を組織で共有 |
メタデータの自動生成ではAIがスキーマや実データを参照し、用語の提案ではAIチャットの利用状況を手がかりにします。用語の定義や分析の観点をデータカタログの用語集に集める考え方は、Word文書を構造化して属人化を解消したりそなAMの基盤とも共通する点です。
現場がSQLなしでデータを探す狙い
三井住友カードは、自然言語の対話でデータを探索し、SQLの生成まで支援するAIエージェント機能を使い、SQLの専門知識を前提としない環境づくりを進めます。目指しているのは、以下の利用者がデータを正しく理解して活用できる環境です。[2]
- データの専門人材
- 現場のビジネスユーザー
- データを解釈するAI
三井住友カードは、整備したコンテキストを起点に、AI利用を前提としたデータ活用を段階的に高度化する方針です。発表時点では、2026年10月15日に開く「primeNumber DATA SUMMIT 2026」で取り組みを紹介する予定としていました。
支援側のprimeNumberは、COMETAとクラウドETL(データ転送)の「TROCCO」を通じて、企業のデータ基盤をAI-Readyな状態に整える支援を続けるとしています。TROCCOは2,500以上の企業・団体に導入され、データマート生成やワークフロー、権限管理など、データ基盤の構築・運用に要る機能を備えています。
SnowflakeパートナーFPTの支援領域
FPTジャパンホールディングス(以下、FPT)は、Snowflake Partner Network(SPN)のサービスパートナーとして「Select」ティアに認定されました。SPNのサービスパートナーにはSelect、Premier、Eliteの3つのティアがあり、認定資格の取得状況や導入実績、顧客の成功事例などを総合的に評価して付与されます。[3]
FPTグループがSnowflake関連で挙げる主な支援領域は、以下の通りです。
| 支援領域 | 主な内容 |
|---|---|
| データ基盤の構築 | データウェアハウスとデータレイク |
| 移行支援 | 既存環境からSnowflakeへ移行 |
| ガバナンス整備 | データ・MLOps・AIガバナンス |
| AI活用支援 | 機械学習・生成AI(Cortex AI等) |
| 分析基盤 | データ分析とBI基盤の構築 |
| データ共有 | Marketplace等の活用 |
FPTは、データ活用戦略の策定から導入、運用までを一貫して支援するとしており、今回の認定を契機に日本市場でのデータ基盤構築とAI活用案件の拡大を目指しています。なお、SPNには世界で1万4,000社以上のパートナー企業が参加しており、導入支援やコンサルティング、ソリューション開発などを担っています。
SnowflakeでAIデータ基盤を整える判断軸
Snowflakeでデータ基盤を整える場合は、基盤に載せる業務機能の範囲やAIに任せる処理、外部の支援先を分けて検討するのが一つの方法です。自社の状況に当てはめる際の確認点は、以下の通りです。
| 確認点 | 見ること |
|---|---|
| 構築範囲 | 業務画面や生成AIまで基盤上に置くか |
| AIの範囲 | AIに任せる処理と人が確かめる処理 |
| データの意味 | 用語やメタデータを整え続ける体制 |
| 利用者の範囲 | SQLを使わない現場も対象にするか |
| 支援先 | 移行やガバナンスを外部に任せるか |
たとえば、文書業務の自動化が目的なら、確実な処理とAIの案出を分けたりそなAMの設計を参考にできます。データの使い手を現場へ広げたいなら、三井住友カードのCOMETA導入が近い例ですが、出典にSnowflakeとの関わりは書かれていません。[1][2]
外部の支援先を選ぶ段階では、FPTのようなSnowflakeのパートナー認定の有無と、移行からAI活用までの支援領域が確認点です。[3]
References
- ^ PR TIMES. 「りそなアセットマネジメントとナウキャスト、Snowflake上に「商品概要書・ 投資信託約款」作成・管理の自動化基盤を構築」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000651.000012138.html, (参照 26-10-21).
- ^ PR TIMES. 「primeNumber、三井住友カードのAI-Readyなデータ基盤づくりを支援。AIデータプラットフォーム 「COMETA」を導入」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000146.000039164.html, (参照 26-10-21).
- ^ PR TIMES. 「FPT、Snowflake Partner Networkにおいて「Snowflake AI Data Cloud Services Partner 」の「Select」ティアに認定」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000139.000017750.html, (参照 26-10-21).














