企業情報サービスが取引先の与信・反社チェック機能を拡充、法務・経理担当者は記録の残し方も比べられる
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取引先の与信や反社チェックに加えて行政処分やインボイス登録まで確かめようとすると、官報や国税庁のサイト、各府省・自治体の公表を個別に調べる手間がかかります。照合する情報の範囲や対象にできる企業の数、結果の記録の残し方は、自社に合う確認の手段を選ぶときの分かれ目です。
この記事では、取引先の公的情報を照合する天羅Proや海外企業の格付対象を広げるMCC格付、グループ企業名を示す反社チェックヒートマップを、照合範囲と記録の残し方まで詳しく解説します。取引先の与信や反社チェックの方法を見直したい法務・経理担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の要点
- この記事の材料:発表3件
- 発表主体:株式会社開成、三井物産クレジットコンサルティング株式会社 ほか1件
- 出典の最終掲載:2026.10.19
SOURCESこの記事がまとめた発表

画像:株式会社開成の発表資料より(PR TIMES)
[1] 取引先の年次点検を効率化。天羅AI「天羅Pro」、行政処分・インボイス・倒産・決算公告などの公的情報をリストから一括照合
株式会社開成 / 掲載 2026.10.19
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画像:三井物産クレジットコンサルティング株式会社の発表資料より(PR TIMES)
[2] 海外与信管理サービス「CONOCER」、海外企業の格付対象を大 幅に拡大
三井物産クレジットコンサルティング株式会社 / 掲載 2026.10.19
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画像:リスクモンスター株式会社の発表資料より(PR TIMES)
[3] リスクモンスター、10月18日より「反社チェックヒートマップ」を機能強化 ~取引先のグループ企業に関するコンプライアンスリスク情報を拡充~
リスクモンスター株式会社 / 掲載 2026.10.19
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目次
取引先の公的情報をリストで照合する天羅Pro
株式会社開成は、企業調査サービス「天羅AI」の有料プラン「天羅Pro」に、取引先のリストから公的情報をまとめて照合する機能を追加しました。照合の範囲と記録の残し方は、以下の2つに分けて確かめられます。
- 天羅Proが照合する公的情報の範囲
- 天羅Proが残す点検結果の記録
照合できる公的情報の幅と、稟議・監査に添付できる記録の形式は、取引先の年次点検に使えるかを見極める材料です。
天羅Proが照合する公的情報の範囲
天羅Proでは、商号または法人番号のリストをCSVなどで取り込むと、法人番号で企業を特定したうえで公的情報をまとめて照合します。発表時点の料金は月額9,800円(税込)で、1回の取込は最大500社まで、取引先の登録社数には上限がありません。[1]
照合の対象となる公的情報の区分は、以下の通りです。
| 区分 | 主な内容 |
|---|---|
| 行政処分 | 処分・勧告、指名停止、排除措置命令 |
| 送検 | 労働基準関係法令違反の送検 |
| 官報公告 | 倒産、解散・合併・資本金の減少 |
| 登記 | 閉鎖・商号変更・本店移転 |
| インボイス | 登録・失効・取消 |
| 決算公告 | 総資産・純資産などの財務数値 |
| 暴力団関係 | 公共調達からの排除記録 |
決算公告の財務数値は、官報の決算公告から読み取って貸借の整合を機械で確かめたもので、2026年10月18日時点で約3万社分です。なお、法人番号で対象の法人を特定できない記録は、どの区分でも表示されません。
開成は、記録が見つからないことは処分等の事実がないことを保証しないと説明しています。過去の処分等の掲載についても、現在まで措置や違反状態が続いていることを意味しないと同社は明記しました。
天羅Proが残す点検結果の記録
天羅Proでは、照合した範囲や結果、担当者の確認記録を、印刷・PDF・CSVで残せます。1社ごとの「取引先確認レポート」は、確認項目ごとの結果や照合した範囲(公表元の数・収録期間)、確認者・承認者の記入欄を載せた形式です。[1]
点検の手間と記録に関わる主な機能は、以下の通りです。
- 社内確認の結果とメモを記録
- 前回からの変化を先に表示
- 減資・合併時の期限を表示
社内確認の結果は、取引先ごとに「該当なし」「要確認」とメモで記録され、上書きされない確認履歴としてCSVで出力できます。前回の確認から変化が見つかった取引先は先に表示され、減資・合併・解散を官報で公告した取引先には債権者の異議申述期限なども表示されます。
ただし、天羅AIは報道記事を収集・保存せず、反社会的勢力かどうかの判定もしないサービスです。反社チェックそのものは、契約しているツールや専門機関への照会など利用者が社内の手順で行い、確認した結果を天羅Proに記録する使い方です。
海外取引先の格付対象を広げるMCC格付
三井物産クレジットコンサルティング(MCC)は、「海外企業財務格付」を刷新し、2026年10月中旬から「MCC格付」として提供するとしています。格付の決まり方と管理の方法は、以下の2つに分けて確かめられます。
- MCC格付で選ばれる格付の種類
- CONOCERで一元管理する与信の記録
財務諸表を入手しにくい海外の取引先まで国内と同じ尺度で並べられるかは、海外取引の多い企業が確かめておきたい点です。
MCC格付で選ばれる格付の種類
MCCは、財務情報を取得できない海外企業でも、所定の外部情報が取得できれば「企業情報格付」を出す仕組みを加えるとしています。従来「NR(格付算出不可)」となっていた企業を含め、格付の対象を大幅に拡大する計画です。[2]
MCCの過去の調査実績では、海外企業信用調査レポートに財務諸表が付かないケースが全体の46.5%を占めました。2025年に同社へ調査依頼があった上位国のうち、財務諸表の取得率は米国19.5%や香港13.7%、インドネシア22.1%でした。
取得できる情報ごとの格付の種類は、以下の通りです。
| 取得できる情報 | 格付の種類 |
|---|---|
| 信用調査レポートの財務情報 | 財務情報格付 |
| 取引先から直接取得した決算書 | 財務情報格付 |
| 財務情報がなく外部情報はある | 企業情報格付 |
| 判定に必要な情報がない | NR |
どちらの格付もS1〜S9cの15段階で表示され、種類は取得できる情報で決まるため、利用者は格付の種類を指定できません。
CONOCERで一元管理する与信の記録
海外与信管理サービスのCONOCERは、海外企業の信用調査や格付、与信限度額の設定、取引先情報の蓄積・共有をクラウド上で一元化するサービスです。[2]
CONOCER上で管理できる主な情報は、以下の通りです。
| 情報 | 内容 |
|---|---|
| 信用調査 | 提携する大手5社から選んで発注 |
| MCC格付 | 財務・企業の種別タグを表示 |
| 適正与信金額 | 与信限度額を検討する参考値 |
| 社内コメント | 取引先情報と合わせて共有 |
格付画面ではデータソース区分も確認でき、異なる情報源から算出された格付を見分けて使えます。また、国内取引先向けのSMARTと海外取引先向けのCONOCERは、共通のスケールで取引先を比較・管理できる設計です。
MCCが算出する適正与信金額は、取引の安全性や債権回収を保証するものではなく、最終的な取引判断は利用者が行う前提です。MCCは今後、取引先の信用力の変化を継続的に把握するモニタリング機能やAIを使った調査レポートの分析・要約支援について、拡充を検討するとしています。
反社チェックで取引先のグループ企業名を表示
リスクモンスターは「反社チェックヒートマップ」で、2026年10月18日からグループ企業に関するコンプライアンス情報に、該当するグループ企業名を追加表示するとしています。反社チェックヒートマップは、取引先の商号・代表者・役員情報で同社独自のコンプライアンス関連データベースを横断検索し、反社関連情報などのリスク情報を可視化するサービスです。[3]
画面は4つの情報区分と4つの法人・個人区分による16マスで構成され、うち4マスにグループ企業のリスク情報が表示されます。各マスをクリックして開く詳細情報に企業名が加わるため、取引先に関連するどの企業のリスク情報かを特定する手間が減ると同社は説明しています。
発表時点の取得料金と試用の条件は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| e-与信ナビ取得時 | オプション500円/件(税抜) |
| 単独で取得 | 1,000円/件(税抜) |
| 無料トライアル | 最大10件 |
| 利用の前提 | 入会会員(別途契約料金が必要) |
グループ企業情報は同社が収集・整理した情報で、株式支配関係などの関連性を網羅・保証するものではありません。表示された情報は、コンプライアンスチェックや企業審査の参考情報として扱う前提です。
取引先の与信・反社チェックを比べる観点
取引先の確認手段は、照合する情報の範囲や対象にできる企業、記録の残し方で性格が分かれます。なお、天羅Proは信用力や取引の可否を判定せず、MCCの適正与信金額も最終的な取引判断を利用者に委ねる参考値です。
観点ごとの違いは、以下の表にまとめました。[1][2][3]
| 観点 | 天羅Pro | MCC格付 | 反社チェックヒートマップ |
|---|---|---|---|
| 使う情報 | 行政処分や官報などの公的情報 | 財務情報と所定の外部情報 | 同社独自のデータベース |
| 対象の企業 | 法人番号で特定できる法人 | 財務情報がない海外企業も可 | 取引先と関連するグループ企業 |
| 扱う単位 | リストで一括(1回500社) | 格付を依頼した取引先 | 1件ごとに取得 |
| 記録の残し方 | 印刷・PDF・CSVと確認履歴 | CONOCER上で一元管理・共有 | 詳細情報の画面で確認 |
| 判定の扱い | 信用力や取引可否は判定しない | 取引判断は利用者が行う | 審査の参考情報として利用 |
取引先が数百社に及ぶ年次点検では、リスト単位で照合でき、確認の記録を稟議や監査に添付できる形で残せるかが判断の軸です。海外の非上場企業との取引が多い場合は、財務諸表を得られない企業にも格付が付くかを確かめておく必要があります。
グループ会社を持つ取引先が多い場合は、関連企業の名前とリスク情報まで画面で追えるかを見ておくと、審査で企業を特定する手間を減らせます。
References
- ^ PR TIMES. 「取引先の年次点検を効率化。天羅AI「天羅Pro」、行政処分・インボイス・倒産・決算公告などの公的情報をリストから一括照合」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000186052.html, (参照 26-10-20).
- ^ PR TIMES. 「海外与信管理サービス「CONOCER」、海外企業の格付対象を大 幅に拡大」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000189644.html, (参照 26-10-20).
- ^ PR TIMES. 「リスクモンスター、10月18日より「反社チェックヒートマップ」を機能強化 ~取引先のグループ企業に関するコンプライアンスリスク情報を拡充~」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000144.000002438.html, (参照 26-10-20).













