Google CloudがKnowledge Catalogの自己学習型拡充のプレビューを発表、対話トレースの分析設定で欠けた定義の特定が可能
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Google Cloudは、エージェント向けのコンテキストエンジンであるKnowledge Catalogで、自己学習型のコンテキスト拡充をプレビューとして発表しました。自己学習型のコンテキスト拡充は、エージェントと利用者のやり取りを分析して不足を見つけ、ビジネス上のコンテキストを正確で最新の状態に保つ機能です。[1]
同時に、データ資産を探索し、コンテキストグラフへの提案された変更を公開前にレビューするKnowledge Studioも刷新され、プレビューとして発表されました。この記事では、Knowledge Catalogの新機能でできることと、使い始める前に確認する条件を解説します。
目次
Knowledge Catalogの拡充でできること
Knowledge Catalogの拡充機能は、チームの文書やリポジトリ、テーブルにあるビジネス知識を探し、抽出してまとめ、維持します。自己学習型のコンテキスト拡充(プレビュー)は、Geminiを使った既存の拡充機能を土台にした機能です。[1]
Knowledge Catalogの最適化された検索により、各エージェントは必要なコンテキストを的確に得て、組織全体での共有学習の恩恵も受けます。Google Cloudの社内ベンチマークでは、AIエージェントの精度が約4倍、応答の遅れが最大33%短く、トークン使用量が最大75%少ない結果でした。
拡充機能による知識の整備
拡充機能は、ファーストパーティとサードパーティの構造化データに接続します。非構造化データの接続先は、Cloud StorageやGoogle Workspace、GitHub、Confluence、SharePointです。
拡充機能は、プレイブックやWikiなどの非構造化ソースとそのコンテキストを、Knowledge Catalogのテーブルやスキーマなどの構造化メタデータに関連付けます。関連付けの目的は、構造化データをはるかに見つけやすく、活用しやすくすることです。
提案は、オンデマンドまたはスケジュールに沿って作られます。各提案には、情報源の引用と信頼度スコアが付く形です。
拡充機能は、実行のたびにソース側の変更を検出し、古くなった定義を廃止します。定義どうしが競合する場合は、レビューが必要な項目として印が付きます。
プレビュー版の対話トレース分析
プレビューの自己学習型コンテキスト拡充は、PIIを伏せたうえで、エージェントのやり取りの記録(トレース)を分析するよう設定できます。対象は、GeminiエージェントやBigQueryのConversational Analytics、独自のエージェントです。
プレビューでは、分析対象のトレースを設定した場合、拡充機能はあいまいな列の参照や根拠のない指標、欠けた定義、利用者による同じ質問の言い換えといったつまずきを特定します。続いて、正式な根拠となる答えを見つけ、同じ誤りを繰り返さないよう修正案を用意します。
Knowledge Catalogのコンテキストセット
プレビュー版のKnowledge Studioでは、コンテキストグラフがデータ資産とビジネス上の意味を結び付けます。コンテキストセットは、コンテキストグラフの管理された部分集合です。[1][2]
コンテキストセットの割り当て
1つのセットには、特定のドメインやチーム、エージェント、利用者のグループ向けの定義や指標、結合ロジック、ゴールデンクエリが入ります。承認された拡充内容の公開先は、管理されたコンテキストセットです。
例えば、営業エージェントはSalesのセットに、財務アナリストのアシスタントはFinanceのセットに結び付けられます。「net revenue」の意味はグループごとに異なり得るため、各ドメインは同じカタログ内で独自の定義を保ちます。
エージェントを1つのセットに固定する必要はありません。Knowledge Catalogの検索で、タスクに合うセットを動的に探すことも可能です。
コンテキストセットの管理
各セットへのアクセスはIAMで管理され、読み取りや使用、編集を許可するエージェントと利用者をスチュワードが決めます。エージェントは許可されたセットからだけコンテキストを取得し、元データへのアクセスは既存の権限に従います。
セットの各更新は追跡でき、元に戻すことも可能です。セットはOpen Knowledge Format(OKF)を基盤にしており、OKFバンドルの取り込みとOKFでの書き出しに対応します。
コンテキストセットのMCP照会
Knowledge Studioプレビュー版では、ダウンストリームエージェントがMCPなどで、キュレートされたコンテキストセットを照会できます。Knowledge CatalogのリモートMCPサーバーはGoogleホストで、ローカルMCPツールボックスはバイナリ導入と.mcp.jsonの設定が必要です。[2][3]
Knowledge Studioプレビュー版の操作
刷新されたKnowledge Studio(プレビュー)の主な操作は、以下の通りです。[1]
新しいKnowledge Studio(プレビュー)は、Knowledge Catalogを静的な一覧から対話型の拠点に変えます。刷新された体験は、エージェント向けのコンテキストを整備・管理するコンテキストエンジニアとデータスチュワード向けです。
質問での検証と変更の承認
プレビュー版のKnowledge Studioでは、実際の質問でコンテキストセットを試せます。ソフトウェアと同様のバージョン管理で、変更リクエストを承認や編集、ロールバックすることも可能です。
拡充タスクと承認の操作場所
プレビュー版では、拡充タスクと探索セッションをGoogle Cloudコンソールで管理します。メタデータのレビューと承認は、「拡充実行の詳細」ページで行います。[2]
タスク管理用のREST APIとgcloud CLIコマンドは、Knowledge Studioのプレビュー版では使えません。拡充タスクの操作は、コンソールが前提です。
2つのプレビュー機能の利用条件
自己学習型のコンテキスト拡充と、刷新したKnowledge Studioの体験は、どちらもプレビューとして発表されました。Google Cloudは発表時点で、数週間のうちに利用者へ展開するとしており、登録で即時アクセスも申請できます。[1]
Knowledge Studioの条件
確認日時点で、Knowledge Studioは限定公開プレビューです。コンテキストグラフの表示やコンテキストセットの作成、拡充ワークフローの実行には、事前に組織の許可をリクエストすることが必要です。[2]
Knowledge Studioは一般提供前のサービス規約の対象で、サポートが制限される場合もあります。専用のプロダクトSKUはなく、料金はGeminiの推論エンジンやBigQuery、Cloud Storageの標準的な使用量を反映する形です。
Knowledge Studioの制限
プレビュー版のKnowledge Studioが準拠していない項目は、以下の通りです。
データ所在地の面では、Knowledge Studioで処理したデータが、厳密に構成した地理的境界の外で保存・処理される場合があります。プレビュー期間中は、コンテキストセットを、パッケージ化するアセットのリージョン境界に合わせる必要があります。
Knowledge Catalogの設定の選び方
プレビュー版では、拡充の自動公開をいつでも有効・無効に切り替えられ、提案を自動承認する信頼度スコアのしきい値(例えば85%)も設定できます。しきい値未満の提案や、削除のように慎重な扱いが必要な更新は、スチュワードが承認や編集、却下を行う変更リクエストになります。[1]
プレビューでは、利用者は独自の評価セットを用意し、提案された更新をエンドツーエンドで試すことも可能です。自動公開を有効にしてしきい値を設定する場合は、評価セットで試した結果を見てから、しきい値を決めるとよいでしょう。
プレビューでは、各変更は完全な来歴とともに記録され、後から元に戻すことも可能です。Googleは、利用者のデータをGoogleのモデルの学習に使わないとしています。
エージェントに渡すコンテキストを特定のドメインに固定したい場合は、そのドメインのコンテキストセットに結び付ける方法が合うでしょう。タスクごとに必要なセットが変わる場合は、Knowledge Catalogの検索でセットを動的に探す方法が選択肢です。
出典
- ^ Google Cloud. 「Introducing new self-learning context enrichment in Knowledge Catalog」. https://cloud.google.com/blog/products/data-analytics/knowledge-catalog-self-learning-context-enrichment-for-ai-agents, (参照 26-10-22).
- ^ Google Cloud. 「Knowledge Studio の概要」. https://docs.cloud.google.com/knowledge-catalog/docs/knowledge-studio?hl=ja, (参照 26-10-27).
- ^ Google Cloud. 「Knowledge Catalog の概要」. https://docs.cloud.google.com/knowledge-catalog/docs/introduction?hl=ja, (参照 26-10-27).
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