Google CloudがCrypto FinanceのGCUL決済パイロットを紹介

Google CloudがCrypto FinanceのGCUL決済パイロットを紹介、スイスの2銀行の顧客間で即時口座間送金を実現

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スイスのCrypto Finance Groupは、Google Cloud Universal Ledger(GCUL)でデジタル決済基盤のパイロットを実施しました。GCULは、銀行がトークン化預金を発行・決済するための安全な基盤を提供する、金融サービス向けのブロックチェーンです。[1]

パイロットでは、スイスの2銀行の顧客間で即時の口座間送金が実現しました。この記事では、GCULでできることやパイロットのシステム構成、参加前に確認する条件を解説します。

目次
  1. GCULが銀行に提供する決済基盤
  2. パイロットでのシステム統合の構成
  3. GCULのスイスフラン通貨ネットワークの統治
  4. 立場別に見たGCULの構成の候補
  5. 非許可型の準備資産型ステーブルコインとGCUL

GCULが銀行に提供する決済基盤

主要な規制対象銀行は、準備資産型のパブリック・ステーブルコインの取引から大きく距離を置いてきました。厳格な資本・流動性要件や、管理しきれない規制上・運用上の不確実性などのリスクがあるためだと、Google Cloudは見ています。[1]

Google Cloudによると、銀行は既存のステーブルコインではなく、信頼してきた経済基盤に立つトークン化通貨を求めています。近代的な決済基盤には、個人や機関が銀行保有の資産を任意の対象銀行の口座へシームレスかつ即時に移せることが必要だというのが同社の見方です。

GCULでは、ルールブックの策定や発行上限の適用、ネットワーク全体の決済パラメーターの管理を担う主体を「通貨オペレーター」と呼びます。パイロットでは、Crypto Financeが通貨オペレーターを務めました。

通貨オペレーターの役割

図1 通貨オペレーターの役割

Google Cloudは、GCULが商業銀行マネーにリアルタイムかつ24時間365日のプログラム可能な決済をもたらすとしています。その際も規制当局の要件を満たし、コアバンキング業務を中断させないというのが同社の見方です。

パイロットでの決済方式の構成

パイロットで通貨オペレーターを務めたCrypto Financeは、その立場で、ネットワークを即時決済と繰延決済のどちらにも構成できました。即時決済は取引を個別に即時決済するため、高い流動性準備が必要です。

パイロットで通貨オペレーターを務めたCrypto Financeが構成できる決済

図2 パイロットで通貨オペレーターを務めたCrypto Financeが構成できる決済

パイロットでCrypto Financeが採用した繰延決済は、支払いを積み上げて相殺し、差額だけを定期的に決済します。Google Cloudは、この構成で顧客は即時に送金でき、銀行は定期決済で流動性を節約できるとしています。

双方向の即時口座間送金のパイロット

Crypto Financeは、2つのデジタルトークン発行者やスイスのデジタル資産銀行、B2B取引銀行とともに、GCUL上で双方向の即時口座間送金のパイロットを実施しました。銀行間決済や従来のSIC決済網との統合、AMLとコンプライアンスの手順について、Crypto Financeがルールブックを定めました。

Crypto Financeが定めたルールブックの例

図3 Crypto Financeが定めたルールブックの例

Google Cloudは、一部のバックエンド処理にまだ人手が必要だったものの、パイロットが機関をまたぐ完全自動の統合が可能だと実証したと評価しています。同社は、このパイロットがほぼあらゆる資産クラスに広げられる汎用的な構成も確立したと見ています。


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GCULの冗長なノード構成

GCULは、企業向けの合意形成モデルで動く、地理的に分散したノードの冗長化によって、決済網に求められる安全性と可用性に対応します。全面公開の非許可型ブロックチェーンとの統合には、規制上の障壁や匿名性のリスク、予測できないガス代、低い処理能力があるとGoogle Cloudは指摘しました。

GCULの冗長化とGoogle Cloud配置時のセキュリティ

図4 GCULの冗長化とGoogle Cloud配置時のセキュリティ

金融機関は、ワークロードをGoogle Cloudに置く場合、GCULに安全な設計の基盤や保存時と転送時の暗号化、堅牢なアクセス制御を組み合わせられます。この組み合わせは、銀行に共通する規制やプライバシー、データ主権の要件の多くを満たすと同社は見ています。

パイロットでのシステム統合の構成

パイロットのシステム統合は3か月未満で完了し、参加者ごとに専用のGoogle Cloudプロジェクトへ分けて構成されました。通貨オペレーターは専用コンポーネントを専用のGCUL APIに、参加銀行は勘定系システムを自行のGCUL APIインスタンスに接続しました。[1]

パイロットでのGCUL統合の概要

図5 パイロットでのGCUL統合の概要

通貨オペレーターと参加銀行では、接続した要素が異なります。GCULを検討する場合の問い合わせ先は、Google Cloud Salesです。

通貨オペレーター側の接続構成

通貨オペレーターのCrypto Financeは、専用のGCUL APIにコンポーネントを接続しました。接続したのは、アカウント管理者とトークン管理者を制御する役割管理サービスや決済レジストリ、鍵管理サービス(KMS)です。

パイロットで通貨オペレーターが接続した要素

図6 パイロットで通貨オペレーターが接続した要素

決済レジストリは、事前に決めたしきい値への到達後に参加銀行間の台帳外定期決済が行われたことを記録しました。KMSには、取引への署名に使う通貨オペレーターの鍵を保管しました。

参加銀行側の接続構成

参加銀行は、Google Cloud上に大規模な環境を持つ必要はありません。既存のオンプレミス環境からRemote Procedure CallでGCULノードに接続でき、秘密鍵もKMS以外の方法で管理できます。

GCULのスイスフラン通貨ネットワークの統治

GCULのスイスフラン通貨ネットワークに参加するには、第三者送金を行い、商業銀行マネーを発行できる規制上のライセンスが必要です。トークンや口座の管理は、ネットワーク全体の固定の制限ではなく、通貨オペレーターとそのルールブックに従います。[1]

スイスフラン通貨ネットワークの要件と運用

図7 スイスフラン通貨ネットワークの要件と運用

同ネットワークのルールブックは、手数料や上限、決済時間、技術的な設定を標準化します。同ネットワークへの参加を検討する場合は、ライセンスの有無に加えて、通貨オペレーターのルールブックの内容も確認項目です。

通貨オペレーターが適用する発行上限

GCULは、拡張しにくい二者間契約や、清算機関の複雑なデフォルト・ウォーターフォールに頼らず、通貨オペレーターが適用する発行上限で取引相手のリスクを抑えます。パイロットでは、参加した両行が信用格付けに基づく控えめな初期上限で運用しました。

発行上限と相殺の扱い

図8 発行上限と相殺の扱い

ネットワークが未決済の債務を定期的に相殺する場合、銀行は取引ごとの資金手当てと決済が不要です。Google Cloudは、このGCULのより広い機能をパイロットの具体的な構成と区別しています。


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パイロットの対象範囲

Crypto Financeのパイロットは、スイス国内の商業銀行マネーの送金に焦点を当て、世界でも特に厳格な金融セキュリティーの枠組みで動くよう設計されました。Google Cloudは、GCULのプログラム可能な設計と高性能なスマートコントラクト言語のGCULpyが、さらなる革新への道を開くとしています。

パイロットの焦点とGoogle Cloudの評価

図9 パイロットの焦点とGoogle Cloudの評価

GCUL全般で示された今後の構想

Google Cloudは、GCULの利用が広がれば、通貨間のリアルタイム決済や外国為替の自動化、トークン化デジタル資産の動的な担保管理へ対応を広げられるとしています。同社が挙げる将来の改善案は、分別口座のデジタル資産を担保に、Crypto FinanceのAnchorNoteのような仕組みで発行上限を動的に引き上げる方法です。

GCUL全般で示された今後の構想

図10 GCUL全般で示された今後の構想

同社の将来の改善案は、分別口座に担保として預けたデジタル資産を未決済のストリートサイド債務の即時決済に使い、従来型の流動性準備を拘束せずに取引相手のリスクを事実上なくす構想です。同社は、GCULの基盤が、店頭での決済からAIによる自律的なエージェント決済まで、次世代の金融サービスの土台を築いたとしています。

立場別に見たGCULの構成の候補

パイロットで通貨オペレーターを務めたCrypto Financeは、その立場で決済方式を構成でき、参加銀行は顧客への見せ方や接続の形を選べます。編集部が目的別に整理しました。[1]

立場ごとの構成の候補(編集部の整理)

図11 立場ごとの構成の候補(編集部の整理)

既存の顧客体験を保ったまま取引処理を改善したい場合は、GCULをバックエンドとして使う構成が候補です。パイロットの参加銀行は、この構成で日中の取引処理の性能を改善しました。

Google Cloud上に大規模な環境を持たない参加銀行は、オンプレミス環境からRemote Procedure Callで接続する構成が候補です。参加銀行の配置や鍵管理によらず、取引は共有のグローバルなGCULノードへ送られます。

非許可型の準備資産型ステーブルコインとGCUL

商業銀行は、非許可型ブロックチェーン上の準備資産型ステーブルコインの顧客への提供に消極的です。Google Cloudが挙げる円滑かつ安全な運用上の課題は以下の通りです。[1]

規制上の地位:同社が不確実と指摘/匿名口座:同社がコンプライアンス問題を指摘/ガス代:同社が円滑な運用の課題と指摘/レイヤー1:同社が拡張性の限界を指摘

同社は、顧客が同ステーブルコインを使えると準備金が減り、McKinseyの調査では融資能力も下がる経済的な断絶を、銀行のおそらく最大の懸念と見ています。多くの銀行が探るのは、ステーブルコインの高速や低コスト、24時間365日の利用、プログラム可能性を、利回りに参加できない可能性などを避けて提供する方法です。

Google Cloudは、高性能なブロックチェーン型の決済基盤を導入しても、厳格な規制順守やコアバンキングの安定性を損なわないとパイロットで実証されたとしています。このパイロットは、あらゆる商業銀行が同社の技術で決済業務を根本的に近代化する青写真だというのが同社の評価です。

パイロットに対するGoogle Cloudの評価

図12 パイロットに対するGoogle Cloudの評価

同社によると、GCULの高い処理能力とAPI駆動の統合の仕組みを組み合わせれば、商業銀行は資本効率を保ちつつステーブルコイン並みの速さを顧客に提供できます。設計段階から規制順守を組み込むこの手法は、伝統的金融の運用上のボトルネックを対象にし、公開ブロックチェーン固有のリスクと複雑さを抑えます。

出典

  1. ^ Google Cloud. 「Easy to integrate, compliant by design: Bringing the Swiss Franc to Google Cloud Universal Ledger」. https://cloud.google.com/blog/topics/financial-services/easy-to-integrate-compliant-by-design-bringing-the-swiss-franc-to-google-cloud-universal-ledger, (参照 26-10-27).

※本記事は公式の一次情報を基に編集しています。内容はAIで確認していますが、誤りや最新情報との差異がある場合は、以下フォームよりご報告ください。

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