宝印刷株式会社は、企業の内部統制(J-SOX)の評価をAIで支援する新サービス「WizLabo Keeper」を2026年9月に提供開始する予定を発表しました。
WizLabo Keeperによる内部統制評価へのAI伴走
「WizLabo Keeper」は、内部統制評価という業務に特化して設計されたクラウドサービス(SaaS)です。エビデンスや評価手続、RCM、3点セットといった評価の文書群を、形式だけでは、なく記載の中身まで読み込み、相互に照合し、注意すべき点を指摘します。汎用の生成AIツールとは異なり、評価実務の手続そのものに組み込まれ、評価の一連のプロセスにAIが伴走する設計です。
AIが担うのは読み込み・照合・指摘までであり、評価の結論は必ず人が下します。誰が確認し、人がどう判断し、その理由は何か──評価の記録が残るため、企業は自己評価の妥当性を自らの言葉で説明でき、監査人にも根拠をもって示すできます。
サービスが対応する評価フェーズは次の2つです。
- 整備状況の評価:RCM・業務記述書・フローチャート(3点セット)を横断して読み込み、不整合を指摘。評価の結果からRCMの見直し候補も提示します
- 運用状況の評価:エビデンスをAIが読み込み、評価手続に照らして照合。日付・金額など記載の中身まで確認し、注意すべき点を「要確認」として指摘します
対応する評価領域については、順次拡大が予定されています。2026年9月の提供開始時点では業務プロセスに係る内部統制に対応し、全社的内部統制は2026年内に対応予定です。決算・財務報告プロセスおよびIT全般統制については開発中とされています。
ジュリオの技術とWizLabo Keeperの提供背景
「WizLabo Keeper」の技術の中核を担うのは、ジュリオ株式会社です。公認会計士が設計し、内部統制監査の知見を評価の手続そのものに組み込んだ独自の技術で構築されています。中核となる文書照合の技術をはじめ、関連する技術についてジュリオ株式会社は複数の特許を出願しています。
内部統制報告制度(J-SOX)は2024年4月以後に開始する事業年度から改訂基準が適用され、不正リスクを考慮した対応が経営者による評価に求められるようになりました。取引の複雑化とデータ量の増大、評価を担う人材の不足により、人手のみによる評価には限界が生じつつある状況です。
宝印刷株式会社 執行役員 ICT営業部 部長 池主丞氏は、「ジュリオ様の高度な技術力に支えられた「WizLabo Keeper」による内部統制への領域拡大は、その目的を真に果たすための大きな進化です」と述べています。ジュリオ株式会社 代表取締役 姥貝賢次氏(公認会計士)は、「確かさをAIが支え、人が結論を下す。その役割分担を徹底したのが本サービスです」とコメントしています。
WizLabo Keeperの概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| サービス名 | WizLabo Keeper(ジュリオ株式会社からは「ジュリオ統制評価AI」として提供) |
| 提供企業 | 宝印刷株式会社 / ジュリオ株式会社(共同事業) |
| 提供形態 | クラウドサービス(SaaS) |
| 提供開始予定 | 2026年9月(WizLabo Keeper・ジュリオ統制評価AI とも) |
| 対象 | 上場企業の内部統制・内部監査部門(経営者による自己評価の支援) |
| 価格 | 個別にご案内 |
| 会社URL(宝印刷) | https://www.takara-print.co.jp/ |
| 会社URL(ジュリオ) | https://julio.jp/ |
| 所属グループ | TAKARA & CO グループ(東証プライム・証券コード7921) |
| 宝印刷の実績 | 創業以来約70年にわたり上場企業のディスクロージャーを支援 |
trends編集部の一言
内部統制評価の現場では、人手による確認作業の限界が以前から指摘されてきました。マーケティングの現場でも、レポートや根拠資料の突き合わせ作業に時間を取られる場面は多く、「AIが読み込んで照合する」役割と「人が結論を下す」役割の分担設計には業界を超えたリアリティがあります。
公認会計士の知見を評価手続そのものに組み込み、特許出願済みの技術で構築されているという点は、マーケティング業界の文脈に置き換えると、ツールの信頼性をどう担保するかという問いへの一つの答えとして注目できるでしょう。業界全体としては、「AIに任せる範囲」と「人が責任を持つ範囲」を製品設計の段階で明確に線引きする設計思想が重視される流れにあり、本サービスのアプローチはその方向性と一致しています。
上場企業のディスクロージャー支援で約70年の実績を持つ宝印刷株式会社が、ガバナンス領域へと事業を広げる動きは、ディスクロージャーからガバナンスへという資本市場支援の文脈が深化しつつあることを示しました。AI活用による業務効率化が専門性の高い領域にまで広がっていく流れとして、業界全体の動向としても引き続き注目されるテーマです。
References
- ^ PR TIMES. 「宝印刷、内部統制評価をAIで支援する「WizLabo Keeper」を2026年9月より提供開始 | 宝印刷株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000185501.html, (参照 26-07-10).
