株式会社コミクスは、整体・治療院グループにおける生成AI導入支援の取り組みを発表しました。
コミクスが解決を目指す属人化の課題
整体・治療院業界を含むサービス・医療関係職種では、有効求人倍率が高水準で推移しており、人材確保は構造的な課題となっています。事業を拡大し院数が増えるほど、現場では施術の考え方からスタッフマネジメント、経営判断までスタッフからの相談が創業者や特定のベテラン院長に集中する状況が顕在化します。
教育に時間がかかり、ノウハウの共有・標準化が追いつかない状況も課題のひとつです。経営者自身が対人交渉やマネジメントの判断に時間を取られ、本来の業務に集中できないという声もあがっていました。多店舗展開を進める中では、経営トップの理念や判断基準をいかに早く、正確に現場スタッフへ浸透させるかが事業成長の鍵となります。
「AI院長ボット」が知見継承を支援する仕組み
コミクスは、NotebookLMとChatGPTを組み合わせ、特定の人物の思考を模した人格AIボットを作る手法をレクチャー・実装支援しました。NotebookLMで対象人物に関する情報を収集・整理して人格定義データ(プロンプト)を生成し、それをChatGPTのプロジェクト機能に組み込んでいます。これにより、スタッフが本人に質問する前に「AI院長」へ相談できる状態を実現しました。
教育コストの削減と知見共有のスピードアップが期待できる仕組みです。尊敬する経営者の思考を模したボットを、経営課題の壁打ち相手として活用する手法も導入しています。AIとの壁打ちでは10〜20往復を重ねつつ、要点を通しつつ角を立てない表現に整える運用が取り入れられています。
「生成AI活用支援パック」の3つの支援内容
整体・治療院向けの生成AI導入・定着を支援する「生成AI活用支援パック」は、IT専任担当者がいない法人・事業所でも導入・運用できる形を前提に設計されました。
支援内容は、以下の3つを柱としています。
- 環境構築:個人情報保護を踏まえた安全な利用環境の整備
- ガイドライン策定:現場スタッフ向け利用ルールの整備支援
- 定着化研修:現場が自走できる状態を目指す伴走型トレーニング
現場主導の設計を特徴としており、机上の理論ではなく治療院の業務動線に沿って適用領域を特定したことが特徴です。ベテランの対応事例・研修マニュアル等を参照し、一般知識では出せない現場固有の回答を実現するナレッジベースの活用も特長のひとつです。個人情報・要配慮個人情報の取り扱い対策と、回答根拠提示・最終確認プロセス(Human-in-the-loop)の整備方針も提示しています。
生成AI活用支援パック概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供元 | 株式会社コミクス |
| サービス名 | AI院長ボット / 生成AI活用支援パック |
| 支援内容 | 環境構築・ガイドライン策定・定着化研修 |
| 主な活用ツール | NotebookLM、ChatGPT、Aqua Voice |
| 壁打ち往復回数 | 10〜20往復 |
| AI活用方針 | AIで8〜9割を作成、最後の仕上げは人間が行う |
| 本社所在地 | 東京都渋⾕区円⼭町15-4 近藤ビル2階 |
| 代表者 | 代表取締役 鈴木章裕氏 |
| 設立 | 2007年9⽉ |
trends編集部の一言
創業者やベテランの頭の中にあるノウハウをAIボットとして再現し、スタッフが本人に聞く前に相談できる体制を作っている点は注目に値します。マーケティング業界の文脈に置き換えると、属人化したノウハウが特定のメンバーに集中して、教育に時間がかかる場面は業界横断で語られてきた課題です。NotebookLMとChatGPTという身近なツールの組み合わせで人格AIを実装している点は、導入のハードルの低さを示す事例と言えます。
AIとの壁打ちを10〜20往復重ねて表現を整えるという運用は、感情が絡むコミュニケーションへの不安を和らげる工夫として読み取れます。「AIで8〜9割を作り、最後の仕上げは人間が行う」という方針は、業界全体で進む生成AI活用の役割分担を象徴する考え方ではないでしょうか。
References
- ^ PR TIMES. 「ベテラン院長の頭の中をAIに ── 整体・治療院グループが、生成AIで知見継承とスタッフ教育を効率化 | 株式会社コミクスのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000275.000002500.html, (参照 26-07-01).
