クラスター株式会社は、2026年5月11日、バーチャル空間内のAIエージェントの「動作」をAIが自律制御する技術の特許(特許第7861975号)を取得しました。
AI Agent Flexの中核となる特許技術の概要
本特許は、ユーザーとの対話内容(テキスト・音声)と、ユーザーが滞在するバーチャル空間の情報をAIに入力します。エージェントが次にとるべき動作をAIが判断し、制御情報として出力する技術です。入力されるバーチャル空間の情報には、空間の構造(3Dの形状)、ナビゲーション地点とその説明、その場にいる他のアバターの状況、ユーザーの過去の行動履歴などが含まれます。
エージェントは、あらかじめ用意したシナリオに沿って動くだけではなく、状況に応じて「何を話し、どこへ案内し、どう振る舞うか」を柔軟に決定できます。エージェントの外見や声、性格、口調といった設定や空間ごとの運営方針(自然言語による指示)も加味されるため、ブランドや空間の世界観に沿った一貫した振る舞いを実現しました。
従来のAIエージェントは、会話は行えても、案内や移動といった「動作」はあらかじめ定めたルールに沿って実行する方式が中心でした。相手や状況に応じた柔軟な振る舞いには、人手による作り込みが必要だったのです。本技術では、動作そのものをAIが判断するため、ユーザー一人ひとりや空間の状況に合わせて、エージェントが自律的に案内や説明、移動を行えます。
エージェントがとり得る動作の例は次の通りです。
- 対話:その場でユーザーと会話する
- 案内・移動:おすすめの地点やオブジェクトまでユーザーを案内・誘導する
- 追従:ユーザーのアバターに付き従って移動する
- ワープ:指定した地点へ即時に移動する(ユーザーを伴うことも可能)
- 呼びかけ/対話の中止/非表示/静止:周囲の状況を確認し、適切なタイミングで声をかけたり、対話を終えたりする
たとえば「おすすめの場所に案内して」という一言から、エージェントが最適な地点を選び、発話しながらユーザーをその場所へ案内する、といった一連の振る舞いが実現します。シナリオを一つずつ作り込まなくても、対話と空間の状況に応じた自然な接客・案内をエージェントが自律的に行う仕組みです。
AI Agent Flexの活用シーンと今後の展開
活用シーンの例は次の通りです。ブランドの世界観をまとったエージェントが来店者を出迎え商品やおすすめスポットへ案内する「ブランド接客・バーチャル店舗」、来場者を会場内の見どころへ誘導する「メタバースイベント・ワールド案内」、実在の施設や観光地を再現した空間での「施設・観光案内」、国内外の利用者に一貫したエージェント体験を提供できる「多言語接客」などが挙げられます。
今後はAI接客サービス「AI Agent Flex」をはじめとするサービスへ順次活用し、メタバース空間「cluster」に加え、Webサイトや実店舗など多様な顧客接点への展開を検討中です。
クラスター株式会社の特許・企業情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 特許番号 | 特許第7861975号 |
| 出願番号 | 特願2025-121458 |
| 出願日 | 2025年7月18日 |
| 登録日 | 2026年5月11日 |
| 登録公報発行日 | 2026年5月19日 |
| 発明の名称 | 情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム |
| 権利者 | クラスター株式会社 |
| 会社名 | クラスター株式会社 |
| 所在地 | 東京都品川区 |
| 代表取締役CEO | 加藤直人氏 |
| 最大同時接続数 | 最大10万人 |
| 公式サイト | https://corp.cluster.mu/ |
trends編集部の一言
「会話するAI」から「会話して動くAI」への進化という表現が、この技術の核心をよく表しています。接客AI領域全体としては、同種サービスで「回答はできても次の行動につながりにくい」という課題感が見られ、対話と動作の分断が実装上のボトルネックとして指摘されてきました。対話と動作を一体でAIが判断する設計は、業界を問わず、顧客接点の設計思想を変えうる動きと捉えられます。
マーケティングの文脈に置き換えると、コンテンツを見せながら自律的に次のアクションへ誘導するエージェントは、「案内」と「訴求」を同時に担う接客担当者に近い存在です。出願中から「AI Agent Flex」として、実用化されていた技術を特許として権利化した点からも、開発側の本気度がうかがえます。バーチャル空間に限らずWebサイトや実店舗への展開も検討されており、接客AIの活用範囲がどこまで広がるか、今後の市場動向が注目されます。
References
- ^ PR TIMES. 「【特許取得】クラスター、バーチャル空間内のAIエージェントの「動作」をAIが自律制御する技術の特許を取得 ―企業のメタバース活用が拡大する中で、AIによる自律接客を強化 | クラスター株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000441.000017626.html, (参照 26-06-09).
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