ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社は、グローバルで発表した調査レポート「Tech Talent Explorer」の結果を公表しました。
AIが奪うのは「仕事」ではなく「タスク」という構造的変化
クラウドエンジニア、データサイエンティスト、AIエンジニアなど、ソフトウェアやデータ要素の強い職種は、AI活用による相対的な変化の影響を最も受けやすいとされています。定型的な業務は自動化によって支援される一方で、職種そのものがなくなるのではなく、特定のタスクがAIに置き換えられるという形で進行することが本調査から示されました。
人による監督、設計、問題解決、品質管理といった役割は、引き続き不可欠です。一方、判断力、調整力、組織横断的な統制が求められるプロジェクトマネージャーやチェンジマネージャーなどの職種では、AIの影響は比較的低い水準にとどまっています。
インフラ関連職種も、AI技術を安全かつ安定的に導入・運用するうえで不可欠な存在です。ソフトウェア集約型業務が最も早く進化する一方で、ガバナンス、リーダーシップ、オペレーション関連の役割は戦略的重要性を高めながら成長を続けています。こうした「二極化した変革」が進んでいることが、本調査から示唆されます。
Tech Talent Explorerが示す日本のテック人材市場の報酬水準と国際比較
グローバルな労働市場において、テクノロジー関連職は引き続き競争力のある報酬水準を維持しています。日本における賃金動向は、AIによる直接的な影響よりも、人材の需給バランスや企業の予算判断によって主に左右される傾向にあります。
慎重ながらも堅調だった前年の採用動向を経て、企業は現在、実質的な変革を推進できる人材への投資を強めてきました。特に、レガシーシステムの刷新、クラウド移行、AI導入に関する分野での需要が顕著です。
中堅レベルの人材不足は慢性化しており、給与レンジの拡大、サインオンボーナス、相場を上回るプレミアム報酬を後押しする要因になると見込まれています。また企業は、高度な技術力に加え、ステークホルダーへの影響力、リスク認識、テクノロジーをビジネス成果に結びつける能力を持つ人材をより重視しています。
本調査で明らかになった日本の国際的な位置づけは、次の通りです。
- 契約単価(業務委託など契約型人材):34か国中6位
- ソフトウェア開発者の契約単価:世界3位(1位 デンマーク、2位 スイス)
- AI開発者の契約単価:19位、クラウドエンジニア:18位
- 正社員給与水準:34か国中18位
契約単価では34か国中6位という高い競争力を示す一方、正社員給与水準では34か国中18位にとどまっています。雇用形態によって、日本市場の国際的な立ち位置が大きく異なる実態が浮かび上がりました。
職種別では、ソフトウェア開発者の正社員給与が18位、AI開発者が19位、クラウドエンジニアが21位です。
Tech Talent Explorerの職種別想定年収レンジと調査概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 調査名 | Tech Talent Explorer |
| 発表企業 | ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社 |
| 調査対象 | 34か国を対象に実施 |
| ソフトウェア開発者(フルスタック) | 年収 800万円~1,400万円 |
| AI開発者 | 年収 700万円~1,500万円 |
| クラウドエンジニア | 年収 700万円~1,200万円 |
| 契約単価ランキング(日本) | 34か国中6位 |
| 正社員給与ランキング(日本) | 34か国中18位 |
trends編集部の一言
日本のテック人材の契約単価が、34か国中6位という数字は注目に値します。業界全体としては、AI導入が「雇用の代替」ではなく「タスクの代替」として進行しているという本調査の視点は、組織設計や人材戦略を考えるうえでの重要な前提として業界横断的に共有されつつある認識です。
マーケティング業界の文脈に置き換えると、ツールの自動化が進むほど人に求められるのは判断力や調整力、ビジネス成果への接続能力であるという傾向は、BtoBマーケやコンテンツ運用の領域でも共通して観察されています。「AIに使われる人材」と「AIを使いこなす人材」の差が報酬レンジに直結しはじめている点は、採用市場においてAI活用スキルとビジネス接続力を重視する傾向が強まっていることを示す動向と捉えられます。
References
- ^ PR TIMES. 「AIは日本のテック人材の役割を再定義 ― 奪うのは「仕事」ではなく「タスク」 | ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000365.000008738.html, (参照 26-05-21).
