Cataris株式会社は、2026年5月11日、化学素材業界向けAIプラットフォーム「Cataris」の提供を開始しました。
Catarisが化学素材開発の分断課題に対応
化学素材の用途探索では、汎用LLMやRAGを活用したWeb検索や情報整理にとどまり、その後の科学的根拠の整理や用途規模の評価は、人手に依存する場面が多い状況でした。営業現場の顧客情報と開発部門の知見が分断されやすく、サンプル品の改良方針の決定にも工数がかかる課題もあったようです。
「Cataris」は属人的で分断されやすい実務フローを、AIエージェントによって、前に進めるために開発されたサービスです。用途探索や開発関連業務における、思考の発散から収束までの複雑な処理への対応も想定されています。
また、従来の汎用LLM+RAG活用では、「探索空間が広がりにくい」「既知パターンに収束しやすい」といった課題があったといいます。同サービスは用途探索から顧客候補抽出、素材改良提案までを一気通貫で支援する設計です。主な特徴は次の3点です。
- 候補用途と想定要求物性の洗い出し
- 用途規模や顧客候補の提示
- 要求に応じた改良提案の支援
Catarisのマルチエージェント構成と参照データ
「Cataris」の技術中核には、親AIのもとに複数の専門AIを配置するマルチエージェント構成が採用されています。複数のサブエージェントが情報取得と推論を分担し、外部データを横断的に参照する仕組みです。
同サービスは学術文献や特許公報、国際貿易統計、国内上場企業の開示情報などを参照対象としています。参照データの主な構成は次の4点です。
- 2.4億件超の学術文献データ
- 1.2億件超の特許公報
- 30億件超の国際貿易統計
- 国内上場企業を対象とした開示情報
各種データを横断活用する環境をもとに、同サービスは高度な推論処理を実現するとしています。素材特性の理解から用途仮説、顧客候補、改良提案までを支える設計で、各社の素材事業や業務フローに応じた出力に対応する構成です。
Catarisのサービス概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | Cataris株式会社 |
| 発表日 | 2026年5月11日 |
| 対象サービス | Cataris |
| 主な機能 | 候補用途の洗い出し 顧客候補の提示 改良提案の支援 |
| 対象業種 | 化学素材業界 |
| 参照データ | 学術文献データ 特許公報 国際貿易統計 国内上場企業の開示情報 |
| 料金体系 | 公式サイトに記載なし |
trends編集部の一言
化学素材分野では、研究開発部門と営業部門が扱う情報の分断が課題になりやすく、用途探索や改良方針の整理に時間を要する場面も少なくありません。学術文献や特許、公表データを横断しながら推論を行う今回の仕組みは、仮説立案の初期工程を支援する取り組みとして、注目したい内容だと感じます。
特に、KHネオケム株式会社の先行版PoCでは、市場情報と文献・特許情報を横断調査し、仮説立案までのスピード向上につながった点が示されました。素材産業では、顧客ごとに求められる物性条件が異なるため、外部データと社内知見を組み合わせる推論環境は、研究開発業務の効率化を検討するうえで示唆のある事例になりそうです。
また、先行利用企業からは、企業とのマッチング機能や連携強化への期待も示されていました。単なる情報検索ではなく、用途探索から改良提案までを一体的に扱う設計は、化学素材分野におけるAI活用の方向性を考えるうえで、今後も注目されるテーマになるのではないでしょうか。
References
- ^ PR TIMES. 「Cataris、化学素材特化Deep Research型AIエージェント「Cataris」正式版を提供開始 | Cataris株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000170747.html, (参照 26-05-11).
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