日本電気株式会社と株式会社ぎょうせいは、自治体選挙事務に関わる市民応対業務を効率化する生成AIを共同開発し、選挙事務効率化の実証実験を実施しました。
NECとぎょうせいが取り組む選挙事務現場の課題
自治体選挙事務では、市民や候補者等からの多様な問い合わせに、法令や判例等を参照しながら、正確に対応することが求められます。こうした対応には専門知識が必要である一方、選挙開催が不定期であることから職員間でのノウハウ定着が難しく、ベテラン職員へ依存した業務体制となっていることが課題でした。
この課題に対し、日本電気株式会社はぎょうせいの選挙専門書籍と自治体独自で整備しているFAQを参照する生成AIシステムを開発しました。「公職選挙法で制限されている挨拶にはどのようなものがあるか」のような自然な文章をチャット入力するだけで、生成AIが書籍に基づく情報とその根拠となる法令や文献を提示します。
本実証で検証した選挙事務特化型生成AIの主な特長
今回の実証で検証した生成AIの特長は、以下の通りです。
- 選挙事務特化型の共同開発環境
- ぎょうせい専門書籍データの取り込みと監修
- ハルシネーション(※)チェック機能の実装
- e-Gov法令検索との連携による職員ダブルチェック
実証では「NEC自治体支援生成AIサービス」上にぎょうせいの専門書籍データを取り込んだ環境を構築し、選挙事務に知見の深いぎょうせいの監修を受けて、共同開発を進めました。回答の正確性担保に向け、ハルシネーション(人工知能が事実に基づかない情報を生成する現象)チェック機能とe-Gov法令検索との連携を実装し、生成AIの回答に対して職員がダブルチェックできる仕組みを整備しました。
NEC自治体支援生成AIサービス実証概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 開発元 | 日本電気株式会社・株式会社ぎょうせい(共同開発) |
| 実証環境 | NEC自治体支援生成AIサービス上に、ぎょうせいの専門書籍データを取り込んだ環境を構築 |
| 実証協力 | 横浜市選挙管理委員会事務局・仙台市選挙管理委員会事務局 |
| 実証期間 | 2026年5月~6月末まで |
| 回答精度評価 | 利用者の9割以上が「正確」と回答 |
| 効率化評価 | 利用者の7割以上が「業務効率化に寄与する」と回答 |
| 安全性対策 | ハルシネーションチェック機能・e-Gov法令検索連携 |
| 株式会社ぎょうせい創業 | 1893年 |
| 日本電気株式会社 | 125年以上の歴史を持つグローバルテクノロジー企業 |
trends編集部の一言
利用者の9割以上が回答精度を「正確」と評価し、7割以上が業務効率化への寄与を認めた点は、公共領域への生成AI導入として、ひとつの基準になりうる結果です。業界全体としては、生成AIの活用が民間に比べて慎重に進む傾向がある公共・自治体領域において、選挙事務という専門性の高い業務でこれだけの評価が得られたことは注目に値します。
マーケティング業界の文脈に置き換えると、「専門知識を持つ人に集中する問い合わせ対応」という属人化の構造は業界横断で共通する課題です。専門書籍とFAQをベースに根拠付きで回答を返す設計は、その構造を解消するアプローチとして、業界全体の取り組みとしても良い検討材料になりそうです。
References
- ^ PR TIMES. 「NECとぎょうせい、横浜市と仙台市の協力のもと生成AIを活用した選挙事務効率化の実証実験を実施 | 日本電気株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001388.000078149.html, (参照 26-07-07).
