TIS千代田システムズ株式会社は、製造・プラント業界向けDXソリューション「Dynamic Flow Navi」において、AIによる図面データ生成技術と作業工程ごとの設備競合チェック技術に関する特許を取得したと発表しました。
Dynamic Flow Navi開発の背景と製造・プラント業界のDX課題
製造・プラント業界では、少子高齢化に伴う熟練技術者の退職や人手不足、設備老朽化への対応が重なり、設計や運転、保全業務の効率化が急務となっています。特にP&ID(配管や機器の系統を示した図面)は、紙やPDFなどの画像データとして、分散管理されることが多く、必要情報の検索や確認色塗りフロー作業などに多くの時間と労力を要していました。
TIS千代田システムズ株式会社は、30年以上にわたりプロセスプラント領域で培ってきた業務知見をもとに「Dynamic Flow Navi」を開発・提供してきました。DXの進展により、P&ID等の図面も「見る」から「活用する」への転換が求められる状況です。
同社は、既存図面のデジタル化作業の自動化と、作業工程に応じた設計検証の高度化に向けてAI技術の開発を進めています。こうした取り組みの成果として、今回の特許取得に至りました。
Dynamic Flow Naviで取得した2つの特許技術の詳細
今回取得した特許は2件です。それぞれの技術概要を以下にまとめます。
- AIによる図面データ自動生成技術(特許第7841157号)
- 設備競合状態の自動判定・可視化技術(特許第7873326号)
1件目のAIによる図面データ自動生成技術は、図面を画像として取り込み、配管やバルブ、機器などの図面要素や接続関係をAIで自動認識します。その上で、画面上で確認・操作できる図面データを生成するものです。
従来は、手作業で進めていた図面のトレースやデータ化作業を大幅に削減し、「Dynamic Flow Navi」上での迅速なシミュレーションや情報活用を可能にします。結果として、図面をデジタルデータに変換する作業工数を50%以上削減できます。
2件目の設備競合状態の自動判定・可視化技術は、各作業工程におけるバルブの開閉状態をもとに流体経路を解析するものです。設備競合によって発生する異物混入の有無を即座に判定するとともに、機器と配管の競合箇所を特定します。紙やPDFのP&IDをもとにした手作業・目視確認と比べて精度とスピードが大幅に向上し、設計変更時に繰り返し発生する検証作業の効率化にも貢献しました。
Dynamic Flow Naviと取得特許の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| ソリューション名 | Dynamic Flow Navi |
| カテゴリ | 製造・プラント業界向けDXソリューション |
| 特許1 | 特許第7841157号(AIによる図面データ自動生成技術) |
| 特許1登録日 | 2026年3月27日 |
| 特許2 | 特許第7873326号(設備競合状態の自動判定・可視化技術) |
| 特許2登録日 | 2026年6月3日 |
| 図面デジタル化・設備競合チェック関連作業工数削減率 | 50%以上削減 |
| 開発元 | TIS千代田システムズ株式会社 |
| 所在地 | 神奈川県横浜市 |
| 代表取締役社長 | 安井 正樹氏 |
| グループ | TISインテックグループ(国内外グループ2万人を超える社員) |
trends編集部の一言
作業工数を50%以上削減するという数値は、製造・プラント業界以外から見ても注目に値する水準です。業界全体としては、熟練技術者の高齢化と人手不足が急速に進む中で、暗黙知をデジタル化・自動化する動きが加速している状況です。
マーケティングの現場でも、属人化したノウハウをAIで再現・効率化する取り組みへの関心が高まっており、今回のような特許技術の確立は他業種にとっても示唆を含む動向と言えます。「Dynamic Flow Navi」が特徴的なのは、30年以上の業務知見を基盤にしている点にあるのではないでしょうか。
汎用AIツールではカバーしきれない業務固有のルールや文脈を取り込んだ設計は、精度と実用性の両立という観点で業界全体の取り組みとして注目されます。石油や化学、医薬業界など幅広い産業分野への展開を見据えている点も、今後の動向として注目に値します。
References
- ^ PR TIMES. 「TIS千代田システムズ、AIによる図面データ生成技術と設備競合可視化技術で特許を取得 | TIS株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001941.000011650.html, (参照 26-06-26).
