HCLTechは、2026年5月27日にGoogle CloudのGemini Enterpriseの機能を活用した「Autonomous Finance Platform(自律型財務プラットフォーム)」の提供開始を発表しました。
Autonomous Finance Platformの財務プロセス自律化設計
従来の自動化や個別のAI活用とは異なり、Autonomous Finance Platform(自律型財務プラットフォーム)はエンドツーエンドの財務プロセスを自律的にオーケストレーションします。対象となるワークフローは以下の通りです。
- Invoice-to-Pay(I2P):請求書処理から支払いまで
- Order-to-Cash(O2C):受注から入金まで
- Financial Planning & Analysis(FP&A):財務計画・分析
- Record-to-Report(R2R):記録から報告まで
これらのワークフローを実行しながら学習し、継続的に最適化する点が特徴です。業務遂行の迅速化と統制の強化、そして測定可能なビジネス成果の実現を財務部門にもたらします。
Autonomous Finance PlatformがGemini EnterpriseのAI基盤とHCLTechの財務専門知識を融合
本プラットフォームは、Gemini EnterpriseのAI技術基盤および安全性の高いクラウドインフラと、HCLTechの財務分野における専門知識やエンジニアリング能力、運用経験を融合させています。HCLTechの「Industry AI Solutions」を活用しており、特定の業界や企業機能に合わせてカスタマイズされたAIソリューションを提供する仕組みです。
拡張性とセキュリティを備え、実際の財務業務での活用を前提に設計されているほか、グローバル企業における価値実現までの期間の短縮も支援します。既存の技術システムとシームレスに連携できる構成です。
HCLTechのエグゼクティブ・バイスプレジデント兼ビジネスプロセス・オペレーション(BPO)グローバルヘッドであるUpjit Ghuman氏は、「ERPやSaaSプラットフォームは財務業務をデジタル化したものの、業務の進め方そのものを根本的に変えることはできませんでした」と指摘しています。同氏は、本プラットフォームが顧客の既存ITシステム上でエージェント型AI基盤を提供し、手作業による介入を大幅に削減することによって、CFO(最高財務責任者)や財務チームが戦略的かつ価値創出につながる業務に集中できると述べました。
HCLTechの最高技術責任者(CTO)兼エコシステムズ部門責任者であるVijay Guntur氏は、「AIを実験段階からエンタープライズ規模の活用へと展開することがHCLTechのAI戦略だ」と語りました。Gemini Enterprise Agent Platformとの協業が、高度なAI機能と企業環境への深い知見を組み合わせる重要な一歩だと位置づけています。
Google CloudのPresident, Global Partner EcosystemであるKevin Ichhpurani氏は、Gemini EnterpriseとGoogleのAI技術基盤が世界最大規模の企業に求められる複雑なオーケストレーションに対応できる設計であると説明しました。HCLTechの財務プラットフォームが中核業務を自律的なエージェント主導型の運用へと変革すると述べています。
Autonomous Finance Platform(自律型財務プラットフォーム)概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供元 | HCLTech |
| 日本法人 | 株式会社エイチシーエル・ジャパン |
| プラットフォーム名 | Autonomous Finance Platform(自律型財務プラットフォーム) |
| 連携技術 | Google Cloud / Gemini Enterprise |
| 対応ワークフロー | Invoice-to-Pay(I2P)、Order-to-Cash(O2C)、Financial Planning & Analysis(FP&A)、Record-to-Report(R2R) |
| 活用ソリューション | Industry AI Solutions(Gemini Enterprise Agent Platformとの協業による提供) |
| 本社所在地 | インド |
| グループ社員数 | 60カ国に227,000人以上 |
| 連結売上高 | 147億ドル(2026年3月期までの12ケ月間) |
| 公式サイト | www.hcltech.com |
trends編集部の一言
60カ国・227,000人以上の規模を持つHCLTechが、財務・会計業務の「自律化」というテーマで本格的なプラットフォームを投入してきた点は注目に値します。業界全体としては、ERPやSaaSへの投資が一巡した後の「業務プロセス自体の知性化」が次の競争軸になりつつあり、その文脈に正確に刺さるポジショニングです。
マーケティング業界の文脈に置き換えると、キャンペーン予算の配分承認や請求処理など「人が判断しているようで実は定型化できる業務」は思いのほか多く、Invoice-to-PayやRecord-to-Reportのようなエンドツーエンドの自律化モデルが財務領域で実証されれば、マーケティングオペレーション全般への応用可能性も出てくるのではないでしょうか。
References
- ^ PR TIMES. 「HCLTech、Google CloudのGemini Enterpriseと連携する「Autonomous Finance Platform」を発表 | 株式会社エイチシーエル・ジャパンのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000072.000094683.html, (参照 26-06-24).
