ウイングアーク1st株式会社は、日鉄ソリューションズ株式会社が「Agentforce」とクラウド帳票サービス「SVF Cloud for Salesforce」を連携させた「見積作成エージェント」を構築したことを発表しました。
Agentforceと「SVF Cloud」による見積作成自動化の背景と課題
日本製鉄グループの総合システムインテグレーターである日鉄ソリューションズは、2030年に向けたビジョン「Social Value Producer with Digital」を掲げています。営業担当者が事務作業に追われ、顧客提案などの本来の業務に注力しきれていない現状を改善するため、2024年10月より「ミドルオフィスプロジェクト」を始動しました。
従来の見積業務には、主に3つの課題がありました。以下の3点にまとめます。
- 事務負担の増大:見積作成に1件あたり30分〜1時間かかり、毎月500社を超える企業への対応工数が膨大だった
- リードタイムの長期化:見積金額に応じた承認フローが滞留し、送付まで最短でも1〜2営業日を要していた
- 業務の属人化:ベンダー問い合わせが必要な製品など、プロセスが複雑化していた
これらの課題を解決するため、AIによる自動化と帳票出力基盤のクラウド化が決定されています。スピーディかつ正確な見積提供を実現するためです。
SVF Cloudが採用された3つのポイント
全社的なAI活用を前提に、変化に迅速に対応できるサービスとして「SVF Cloud」が選定されました。採用の決め手となったポイントは以下の3点です。
- Agentforceとの親和性:アドオンツールとしてデータのマッピングが容易で、帳票の開発工数を大幅に削減できる
- スピーディな開発:GUIベースの直感的な操作により、既存の帳票レイアウトをそのまま再現でき、運用を変えずに迅速な開発が可能
- 高い変更対応力:現場からの細かな修正依頼に1日程度で対応できる柔軟性
特にAgentforceとの連携において、SVF Cloudはアドオンツールとしてデータのマッピングが容易で、帳票の開発工数を大幅に削減できる点が評価されました。
「SVF Cloud」連携による導入効果と今後の展開
2025年8月より一部の顧客を対象に運用を開始し、具体的な成果が得られました。顧客がポータルサイトのAIチャットから必要な項目を選択して、直接見積書を自動発行できる仕組みにより、待ち時間を限りなく削減しています。営業担当者や承認者が本来の付加価値の高い業務に専念できる環境が整備されています。
自動発行範囲の制限や承認済みメニューの適用、処理内容の可視化により、誤発行を防ぐ仕組みも確立しました。ガバナンスと正確性の両立を図る仕組みです。
今後は、取り扱い製品の拡大や他グループ企業への展開、サブスクリプション契約の更新見積の自動化も計画しています。日鉄ソリューションズは自社を「カスタマーゼロ(最初の顧客)」として、得た最新AI活用の知見を、顧客への提案における競争優位性として活用していく方針です。
「見積作成エージェント」の導入事例と日鉄ソリューションズ株式会社の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 発表企業 | ウイングアーク1st株式会社 |
| 導入企業 | 日鉄ソリューションズ株式会社 |
| 設立 | 1980年10月1日 |
| 本社所在地 | 東京都港区虎ノ門一丁目17番1号 虎ノ門ヒルズビジネスタワー |
| 事業内容 | 情報システムに関する企画・設計・開発・構築・運用・保守及び管理 |
| 連携サービス | Agentforce(Salesforce社提供)/SVF Cloud for Salesforce(ウイングアーク1st提供) |
| 対象業務 | 営業部門の見積作成・送付業務 |
| 運用開始 | 2025年8月(一部顧客対象) |
| 削減効果 | 従来1件あたり最大1時間要していた見積作成工数を大幅削減 |
| URL | https://www.nssol.nipponsteel.com/ |
trends編集部の一言
1件あたり最大1時間要していた業務が限りなく「0」に近づくという数字は、インパクトがあります。AI活用領域では、社内実証を経て顧客提案へ展開する流れが強まっており、日鉄ソリューションズが「カスタマーゼロ」として自社業務で検証したソリューションをそのまま競争優位性に転用する発想は、業界全体としても注目される動きです。
「カスタマーゼロ」という表現が示すように、自社の業務課題を起点に開発・検証したソリューションを顧客提案に転用する構造は、マーケティング業界の文脈に置き換えると「最も信頼できるユースケースは自社内にある」という考え方と重なります。同種のBtoBサービスにおいても、自社実証を先行させる手法は業界横断で広がりを見せており、業界全体の提案手法の転換を象徴する動きとして注目されました。
AIが見積書を自動発行しながら、自動発行範囲の制限や承認済みメニューの適用で誤発行を防ぐ仕組みも注目されます。ガバナンスを重視した設計思想がうかがえる取り組みです。
References
- ^ PR TIMES. 「日鉄ソリューションズがAIエージェントと「SVF Cloud」を連携し、見積作成業務を自動化 | ウイングアーク1st株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000336.000053341.html, (参照 26-05-23).
