株式会社コアは、山口県山口市(防災危機管理課)と連携し、災害時の電話対応の効率化と初動対応の迅速化を目的に、生成AIを活用した電話受付支援システムの実証実験を実施しました。
電話受付支援システム実証の背景と自治体が抱える災害時対応の課題
発災時、自治体の災害対策本部には住民から膨大な数の電話が寄せられます。職員の異動が頻繁な自治体では、新任の担当者や応援職員が初動対応を担う場面も多く、対応品質にばらつきが生じやすい状況がありました。現場では「聞き洩らしの防止」や「入力情報の正確性確保」「迅速な情報共有」、そして職員の心理的負担の軽減が課題となっていました。
こうした背景を踏まえ、株式会社コアは山口市と連携し、生成AIによる電話対応の省力化と品質の平準化を目指した実証実験(PoC)を実施しました。将来的な本格導入に向けた事前評価として位置づけられ、実施期間は2026年2月3日~4日、12日の計3日間です。
株式会社コアの電話受付支援システム実証で確認された4つの成果
実証では、生成AIの音声認識・文字起こし精度、報告書の自動作成、入力漏れの指摘・アドバイス、外国語対応という4つの検証項目が設定されました。音声認識・文字起こし精度については、アンケートの平均値で3.9/5段階を記録し、方言やオノマトペも業務に支障のない水準で文字起こしされることが確認されています。
報告書の自動作成では、通話内容から氏名や連絡先、住所が即座に入力され、要約も的確に作成されることが確認されました。報告書作成にかかる時間が7割程度削減される可能性があると評価されています。入力漏れの指摘・アドバイス機能については、アンケートの平均値で3.8/5段階の評価を得た一方、UI設計など運用面での改善点も挙げられました。
外国語対応については、以下の4言語による通話内容が即座にテキスト化され、翻訳された要約に基づく報告書の自動生成も確認されています。
- 中国語による文字起こしと報告書自動生成
- フランス語による文字起こしと報告書自動生成
- 韓国語による文字起こしと報告書自動生成
- スペイン語による文字起こしと報告書自動生成
多言語対応の実用性は高く、外国人市民や観光客からの問い合わせが想定される場面において、職員の心理的負担を軽減しながら、的確な情報整理が可能である点が評価されました。アンケートでは85%の方が5段階評価の最高評価を回答し、実運用を希望する意見が大半を占めました。
株式会社コアの電話受付支援システム実証実験の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 開発元 | 株式会社コア |
| システム概要 | 生成AIを活用した電話受付支援システム |
| 実証先 | 山口県山口市 防災危機管理課 |
| 実証期間 | 2026年2月3日~4日、12日(計3日間) |
| 参加者 | 担当リーダー4名を含む対応予定者の半数以上 |
| 報告書作成時間削減 | 7割程度削減される可能性があると評価 |
| 文字起こし精度評価 | 3.9/5段階(アンケート平均値) |
| 業務支援効果評価 | 3.8/5段階(アンケート平均値) |
| 最高評価回答率 | 85% |
| 代表取締役 | 横山 浩二氏 |
| 本社所在地 | 東京都世田谷区 |
trends編集部の一言
報告書作成時間が7割程度削減される可能性があるという数値は、公共セクター以外の立場から見てもインパクトが大きいものでした。業界全体としては、対話内容を要約して資料に反映する作業に時間が取られるケースが多く、通話から即座に報告書のドラフトが生成される仕組みは、業界を超えた応用可能性を持つ設計です。
アンケートで85%の参加者が、最高評価を回答した点は、技術検証としての説得力が際立っていました。自治体DX領域では、現場担当者の評価が本格導入の判断に直結する傾向があり、今回の実証結果はその観点からも注目に値します。
方言やオノマトペへの対応、多言語の即時テキスト化といった設計は、マーケティング業界のコールセンター運用や顧客対応記録の自動化の領域でも、同種の音声要約技術の導入が進みつつある動向と重なるものでした。業務の「型が決まっているのに手間がかかる」工程をAIで補完するアプローチは、業界横断で注目が集まっているテーマといえます。
References
- ^ PR TIMES. 「山口市と災害時の電話対応における生成AI活用実証を実施 | 株式会社コアのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000040.000070745.html, (参照 26-05-22).
