これまでStable Diffusionのインストール方法やAI画像の作り方、コマの作成方法などAI漫画に必要な素材を作る方法について解説してきました。
AI漫画に関するこれまでの記事一覧
本記事では漫画を読む方が見やすいように素材を配置するための視線誘導について紹介し、AI漫画を完成させます。
視線誘導とは
視線誘導とは視覚的な要素や配置を工夫し、見る人の目を意図的に特定の場所や順序で誘導する技術のことです。デザインや広告などでよく使われており、情報の伝達やメッセージの効果を最大化できます。
たとえば4コマ漫画で1コマ目から2コマ目に移る際、キャラクターの視線や動作の方向が次のコマへの視線を誘導します。視線誘導を上手に活用することで読者がストレスを感じることなく、読みやすい漫画を作ることが可能です。
AI漫画において視線誘導が大事な理由
AI漫画において視線誘導が大事な理由は、読者がスムーズにコマを追ってストーリーを理解できるようにするためです。キャラクターの配置や吹き出しの位置を工夫することで読者の目を自然に流れに沿って動かし、物語を直感的に伝えられるのです。
効果的な視線誘導があるとストーリー展開がスムーズに伝わり、読者が感情移入しやすくなります。
一方で視線誘導をないがしろにすると、読者はどの順序でコマを読むべきか迷ったり、ストーリーがうまく伝わらなかったりする可能性があります。
結果として読者が漫画の読み方に迷ったりストレスを感じてしまい、最後まで読まずに離れてしまうこともあります。
視線誘導が適切に行われていないと読者は漫画に没入できず、ストーリーの楽しさが半減してしまうのです。
4コマ漫画における視線誘導の基本的なルール
4コマ漫画で意識すべき視線誘導のルールは下記の通りです。
- 読者の視線は右から左へ、上から下へ流れる
- キャラクターの視線や体の向きが読者の目線を導く
- 視線の流れに逆らわない位置に吹き出しや人物を配置する

Canvaより
右から左へ、下から上へ流れるようにキャラクターや吹き出しを配置することで物語のテンポや流れをスムーズにし、読者が迷わずに読み進められます。
吹き出しや人物の位置にも工夫が必要です。視線誘導に逆らわないように配置することで、ストーリーの流れが途切れることなく読者に伝わります。

Canvaより
また、漫画の中で最初に読者が見るのはセリフです。そのため視線誘導のルール(Z型)に従って吹き出しを配置することが基本です。
4コマ漫画のストーリを作る方法
4コマ漫画のストーリを作る際のポイントは「起承転結で描く」ことと「アイデアが出ないときは生成AIを使う」ことです。各内容について詳しく解説します。
4コマ漫画は「起承転結」で描く

Canvaより
起承転結で描くことは4コマ漫画における基本です。起承転結の詳しい内容は下記の通りです。
起(き):導入 | ストーリーの始まりや設定を指定します。登場人物や状況の説明が行われ、読者に物語の背景やテーマを理解させる役割があります。 |
---|---|
承(しょう):展開 | 導入で提示された設定を元に物語が進行し、問題や状況が展開されていきます。この段階ではストーリーの核心や、メインの出来事に向かって話が進みます。 |
転(てん):転換 | ここで物語に変化やクライマックスが訪れます。読者が予想しないような展開や意外性のある出来事が発生し、物語に新しい方向性を与える重要な部分です。 |
結(けつ):結末 | 物語の締めくくりで、転換した出来事の結末が描かれます。ストーリーがまとめられてオチや結論が示されます。4コマ漫画では特にこの部分で笑いや感動が強調されることが多いです。 |
上記の順番で4コマ漫画を描くことで、感情移入しやすいストーリー展開が作れます。視線の流れが自然でスムーズに物語を追うことができ、最後にしっかりとしたオチで満足感を得ることが可能です。
生成AIでストーリを作る方法
4コマ漫画のストーリーを自分で作るれる場合は問題ありませんが、なかなかいいストーリが作れないという人もいるでしょう。そんなときに最適なのが、ChatGPTやGeminiといった生成AIの活用です。
生成AIを使うことで、起承転結に合わせたストーリー案をいくつも生成できます。実際にAI漫画用のストーリを作ってみたので、そのプロンプトを出力結果を下記に記載します。
プロンプト
DXに関する4コマ漫画を作りたいと思っています。起承転結でシュールな笑いを誘う4コマ漫画用の会話を作ってください。
出力結果
1コマ目:
上司: 「DXを進めろ!これからはデジタルだぞ!」
部下: 「わかりました!まずはデジタル化から…」
2コマ目:
部下: (パソコンを開いて)「これで紙の資料を全部デジタルに変換して…」
3コマ目:
部下: (パソコンに向かって)「よし、全部のファイルをクラウドに保存!これで完了です!」
4コマ目:
上司: 「で、DXって何だ?」
部下: 「……私もわかりません。」
今回はDXというワードで起承転結に沿ってストーリーを作ってもらいました。上記のようにシンプルかつシュールなストーリーを作成できます。また、物語が気に入らなかったら何度も作り直せるのも生成AIの魅力です。
ストーリを作ったあとは、登場人物の仕草や表情などを各コマごとに生成AIで作ってもらいます。そうすることで各コマに合った画像を作るためのプロンプト生成に役立ちます。
先ほどの内容に続いて入力するプロンプトと出力結果は下記の通りです。
プロンプト
上記の内容を上司はPCから指示している想定、部下は20代の女性という設定で行きます。 上司・部下それぞれの各コマごとの表情やしぐさを作ってださい。
出力結果
1コマ目:
上司(PCの画面越し、真剣な顔)
・表情:眉間にシワを寄せて、真面目に指示を出している。
・しぐさ:片手で顎を押さえながら、もう片方の手はキーボードに置いている。
部下(20代女性、画面を見ながら真剣に頷く)
・表情:軽く眉を上げた、少し緊張しているような表情。
・しぐさ:ノートを持ち、指示をメモしようとしている。
2コマ目:
部下(パソコンに向かって作業開始、集中している様子)
・表情:集中しているが、やや困惑した顔。
・しぐさ:マウスを握り、画面に見入っている。片方の眉が少し上がっている。
3コマ目:
部下(自信満々でPCを操作し、作業を終える)
・表情:達成感が溢れる微笑み。
・しぐさ:両手を広げて「できた!」という感じで自信満々。少しドヤ顔をしている。
4コマ目:
上司(PC越しに戸惑った顔)
・表情:目を見開いて、眉をしかめている。
・しぐさ:画面を指差しながら、口を半開きで「DXって何?」という問い。
部下(頬を掻いて困った顔)
・表情:困惑し、少し恥ずかしそうな表情。
・しぐさ:片手で頬を掻き、視線をそらしている。顔は赤みを帯びている。
各コマごとにキャラクターの表情やしぐさを指定できました。最後にこれらの表情を各コマごとにプロンプト化していきます。
プロンプト
漫画を作る際、画像生成AIを作ってキャラクターを指定予定です。部下(女性)のキャラクターを生成する際のプロンプトは下記の通りです。
masterpiece, best quality, monochrome, lineart, 1girl, solo, 20 years old, flat chest, short hair, black hair, hair between eyes, black eyes, long-sleeves, white hoodie, long pants, blue jeans, open eyes, open mouth, standing, cowboy shot, from front, looking at viewer, white background, simple background
このプロンプトの女性に、上記のようなシーン別の表情・仕草をプロンプト化してあてはめて、各シーンごとに最適なプロンプトを作ってください。
出力結果
1コマ目(少し緊張した真剣な表情、指示を受けてメモするシーン)
プロンプト:
masterpiece, best quality, monochrome, lineart, 1girl, solo, 20 years old, flat chest, short hair, black hair, hair between eyes, black eyes, long-sleeves, white hoodie, long pants, blue jeans, open eyes, serious expression, slight frown, holding pen and notebook, writing, standing, cowboy shot, from front, looking at viewer, white background, simple background
2コマ目(困惑しながらも集中してPC作業をするシーン)
プロンプト:
masterpiece, best quality, monochrome, lineart, 1girl, solo, 20 years old, flat chest, short hair, black hair, hair between eyes, black eyes, long-sleeves, white hoodie, long pants, blue jeans, focused expression, slightly furrowed brow, one eyebrow raised, sitting at desk, using computer, typing, cowboy shot, from side, looking at monitor, white background, simple background
3コマ目(自信満々で達成感を示すシーン)
プロンプト:
masterpiece, best quality, monochrome, lineart, 1girl, solo, 20 years old, flat chest, short hair, black hair, hair between eyes, black eyes, long-sleeves, white hoodie, long pants, blue jeans, proud expression, smile, open mouth, confident pose, hands on hips, standing, cowboy shot, from front, looking at viewer, white background, simple background
4コマ目(頬を掻いて困惑した表情で恥ずかしがるシーン)
プロンプト:
masterpiece, best quality, monochrome, lineart, 1girl, solo, 20 years old, flat chest, short hair, black hair, hair between eyes, black eyes, long-sleeves, white hoodie, long pants, blue jeans, embarrassed expression, blushing, slightly averted gaze, hand scratching cheek, slightly open mouth, standing, cowboy shot, from front, looking slightly away, white background, simple background
上記の結果、下記の素材を生成できました。
上記のように漫画で使えそうな画像を1度で生成できるわけではありません。Stable diffusionで複数回生成したり、プロンプトの一部分を変更したりして最適な画像を模索することが大切です。
今回の画像についても、上記4つの素材を揃えるまでに最低50枚以上は生成しています。
背景の切り抜きには「Photoroom」というツールかCanvaの有料プラン「Canva Pro」の切り抜き機能を活用することがおすすめです。
画像を配置してAI漫画を完成させよう
4コマ漫画で使う画像を選定できたら、いよいよコマに配置して漫画を作っていきます。漫画のコマと吹き出しについては下記の記事で解説しています。

Canvaで用意した4つのコマにAI画像と吹き出しを配置すると、下記のようになります。

Canvaより
吹き出しは視線誘導を活かし、右上から左下へ流れるように配置しましょう。今回はAIで作る簡単な4コマ漫画なので、被写体の視線は配慮せず進めていきます。

Canvaより
上記のように配置することで、ユーザーが快適に読み進めることができます。最後にセリフを導入して完成。実際できたAI漫画は下記のURLからアクセス可能です。
本記事では画像生成AIであるStable Diffusionと、デザインツールであるCanvaを使って簡単にAI漫画を作る方法について紹介しました。
次回以降は別のAIモデルを使って漫画を作る方法や、AI漫画の活用事例などより具体的な内容について解説します。