2026年4月22日、東京・新橋のTHE CORE KITCHEN/SPACEで「第3回Ahrefs日本ユーザーミートアップ」が開催された。テーマは「AI検索の最前線 — Ahrefs CMO来日特別講演×日本最前線プレイヤーによるLLMO特別セッション」。定員100名の枠は事前にソールドアウトし、国内のマーケター、SEO実務者、事業責任者らが新橋の会場に集まった。
スピーカー
代表取締役CEO
専門執行役員 SEO戦略室 室長
CMO 兼 プロダクトアドバイザー
登壇順 掲載
開会の挨拶に立ったのは、Ahrefs Japan マーケティング統括の河原田 隆徳氏。シンガポール本社からCMOのTim Soulo氏が再来日したこと、同日に渋谷で日本法人として初となる屋外広告を実施したことを紹介しつつ、2026年に発足したAhrefs Japan合同会社の本格始動と日本市場への強いコミットメントを改めて示した。
Fortune 500企業の約44%が導入しているというAhrefsの規模感、毎分500万ページを巡回する自社クローラーと自社データセンター、ITreview Leader Awards 2026 Springで4部門・最大6期連続リーダーバッジを受賞した実績など、基盤情報の共有からイベントは幕を開けた。
本イベントの主軸はSEOとLLMOをめぐる国内支援企業2社の思想対比、そしてAhrefsからの大型アップデート発表である。ここからは各セッションの骨子を紹介する。各セッションの詳細は、それぞれの個別記事で深掘りしている。
【Session 1】LANY式LLMOフレームワークと成功事例 — 竹内渓太氏(株式会社LANY 代表取締役CEO)
最初に登壇したのは、株式会社LANY 代表取締役CEOの竹内渓太氏。「LANY式LLMOフレームワークの紹介と成功事例公開」と題し、自社のLLMO支援を通じて蓄積した知見を体系化して披露した。
竹内氏のセッションで最も印象的だったのは、「LLMOはSEOの延長線ではなく、独立した最適化領域として捉えるべき」という立場の明確化だった。
SEOがキーワードに対して自社サイトを最適化するゲームだったのに対し、LLMOは詳細化するプロンプトに対してウェブ全体を最適化する取り組みだと整理する。
戦うファネルもSEOが露出量・入口を競うTOFU/MOFUが主戦場であったところから、LLMOではMOFU/BOFU中心へとシフトするという。
この思想のもと、カテゴリーエントリーポイント(プロンプト)設計 → 現状可視化 → 要因分析 → 対策方針立案 → 検証、という5ステップのフレームワークが提示された。
要因分析では「KBF(Key Buying Factor)」という概念を使い、AIが何を基準におすすめを選んでいるかを特定する。
対策ではトリプルメディア全体への情報配置と、「AIが扱いやすい情報」への翻訳が鍵になる。
竹内氏は実際の支援事例も共有。HR SaaS領域で推奨率を10〜20%改善したケース、事実誤認を是正して大企業向けプロンプトでも出現するようになったケースなど、フレームワークが事業インパクトに直結した実例を紹介した。
2026年2月時点のLANYへの問い合わせで「AI経由で知った」と答えた比率が約21%に達していたというデータも、LLMOがすでに事業指標に現れ始めている現実を裏づける材料として示された。
LANY式LLMOフレームワークの5ステップや具体的な成功事例については、別途個別記事で詳しく紹介している。
【Session 2】AI時代、SEOは何のためにやるのか — 馬谷達也氏(株式会社PLAN-Bマーケティングパートナーズ SEO専門執行役員)
続いて登壇した株式会社PLAN-Bマーケティングパートナーズ SEO専門執行役員の馬谷達也氏は、セッション冒頭で「竹内さんの話を聞きながら内容が被っていることに震えていた」と会場を和ませつつ、「競合関係にある2社の代表クラスが同じ場で思想を対比するのは珍しい構図」と自らポジションを位置づけた。
馬谷氏のセッションを貫いていたのは、「SEOは終わらない。ただし役割と守備範囲が拡張している」という主張だった。自然検索とAI検索は両立する、検索回数は全体として維持されているが一部で影響が出ている、対策方法は従来SEOの延長だがリソース配分の優先度は変わる — という3つの視点から現状を整理した上で、SEOのインセンティブ構造が「クリック獲得」から「ユーザーとAIにブランドを見つけられやすくする=認知」へと拡張していると結論づける。
注目すべきは馬谷氏の未来予測だ。AI検索の普及により「検索力・情報リテラシーの低いユーザーがいなくなっていく」世界線を描き、そこでサイト運営者に求められるのは「詳細なユーザーニーズとブランドのマッチ度向上」だと指摘。ここで釘を刺されたのは「網羅的に大量情報を発信すればいい」という誤解で、肝心なのは顧客・競合・自社の価値を重ねて「自社が選ばれる理由(POD: Point of Difference)」を上書きしていくことだという。
新しいKPIとして提示されたのが「側面別分析」と「センチメント分析」だ。言及の量ではなく質に注目し、評価軸(側面)ごとに自社・競合のポジティブ言及率を測ることで、強みのPODを特定していく手法である。センチメント分析の実装では、日本語特有の判定難所にも踏み込んだ具体論が紹介された。
3視点の検証ロジック、未来予測の詳細、側面別分析の集計例については、別途個別記事で詳しく紹介している。
【Session 3】Ahrefs最新アップデートとTim Soulo氏LIVE Q&A
第2部では、河原田氏がAhrefsの最新プロダクトアップデートを紹介し、続いてCMOのTim Soulo氏によるLIVE Q&Aが行われた。
発表されたアップデートは4つ。AI検索でのブランドプレゼンスを可視化するブランドレーダーの大幅拡張、ChromeコネクタとChatGPTアプリへの対応が進んだAhrefs MCP Server、リアルタイムウェブデータストリーミングサービスFirehoseのベータ提供、そして目玉となる対話型AIエージェントAgent Aのリリースだ。
特にAgent Aについて、Tim氏は「チームに加わるTop 1%のマーケター」と繰り返し表現した。Ahrefsのデータとマーケティングスキルを実装し、ノーコードでダッシュボードやアプリを構築できる。AhrefsインターフェースのデータにAPIよりも広くアクセスし、GA4やGSCといった外部ツールとも連携する。
続くLIVE Q&Aでは、会場から実務視点の質問が8件寄せられた。Agent Aの活用例、ハルシネーション対策、MCPサーバーとAgent Aの使い分け、日本語SEOへの対応、ブランドレーダーの検索ボリューム精度など、多岐にわたる質問にTim氏は即興で答えていった。
印象的だったのは「正直に言って、現在のブランドレーダーの検索ボリュームデータは良くない」と自社プロダクトの限界を率直に認める場面もありながら、改善予定と別プロダクトへの移行経路を具体的に示す姿勢だった。
「Agent Aは全ユーザー向けに訓練できる。日本市場向けのフィードバックを送ってくれれば、そのスキルを組み込んでいける」という呼びかけは、Ahrefsが目指す「AI検索時代の計測インフラ」像を象徴するものだった。
4つのアップデート詳細と、Q&Aの全8件のやりとりについては、別途個別記事で詳しく紹介している。
3者の思想が交わった地点
ネットワーキングの2時間では、軽食とドリンクを片手に登壇者3名と参加者の間で活発な議論が交わされた。Agent Aのデモデスク、Tim Soulo氏とのセルフィーコンテスト(ハッシュタグ #AhrefsJPMeetup)など、ミートアップならではの仕掛けも展開された。
第3回のテーマである「AI検索の最前線」は、登壇者3名それぞれの立場から異なる角度で照らし出された。LANYはLLMOをSEOとは独立した最適化領域として設計し、BOFU寄りの詳細プロンプトで選ばれるための情報配置を重視する。PLAN-BマーケティングパートナーズはAI検索対策をSEOの役割拡張として位置づけ、ペイドメディア全体の最適化と「選ばれる理由」の再設計を訴える。アプローチの入り口こそ違うが、両者が共通して指摘したのは、「AIに引用・推奨される量」ではなく「どう引用されるか(質)」、そして「詳細化するユーザーニーズと自社のマッチ度をどう設計するか」という帰結点だった。
そしてAhrefs側からは、ブランドレーダー、MCP Server、Firehose、Agent Aという計測・分析・エージェント化のインフラが次々と提示され、これらの議論を実装可能にする環境が整ってきたことが示された。AI検索はもはや「これから来るもの」ではなく、実データに基づく施策設計の対象となっている — 第3回Ahrefs日本ユーザーミートアップは、そのフェーズ移行を象徴する場となった。
ahrefsjpmeetup
イベントレポート
#AI検索の最前線
2026年4月、国内のマーケター、SEO実務者、事業責任者が新橋の会場を埋め尽くした「第3回Ahrefs日本ユーザーミートアップ」。定員100名の枠が即完売した本イベントでは、検索のルールが「クリック獲得」から「AIによる推奨」へと激変する今、私たちが打つべき次なる一手が見示されました。 本レポートでは、業界を牽引するフロントランナーたちが語った「独立した最適化領域としてのLLMO」や「選ばれる理由(POD)の再設計」、そしてAhrefsが提示する「AIエージェントによる次世代計測インフラ」の全貌を、全4回の連載形式で余すところなくお届けします。



