OpenAIは2024年8月20日、大規模言語モデル「GPT-4o」のファインチューニング機能を公開した。これは開発者から最も要望の多かった機能のひとつであり、カスタムデータセットを用いて特定のユースケースに最適化されたモデルを作成することが可能になった。開発者は少量の学習データでも強力な結果を得られるようになっている。^[1]

ファインチューニングされたGPT-4oモデルは応答の構造やトーンのカスタマイズ、複雑なドメイン固有の指示への対応が可能だ。これによりコーディングや創造的な文章作成など、さまざまな分野でモデルのパフォーマンスが大幅に向上すると期待されている。OpenAIは今後もモデルのカスタマイズオプションの拡張に投資を続ける方針だ。

GPT-4oのファインチューニングは、全ての有料利用者向けに提供。開発者はファインチューニングダッシュボードから簡単に利用を開始でき、基本モデルとしてgpt-4o-2024-08-06を選択できる。期間は9月23日までで、組織ごとに1日100万トークンの無料トレーニングを提供している。

GPT-4oのファインチューニング機能の概要

	GPT-4o	GPT-4o mini
利用可能ユーザー	全ての有料利用者	全ての有料利用者
基本モデル	gpt-4o-2024-08-06	gpt-4o-mini-2024-07-18
トレーニングコスト	100万トークンあたり$25	記載なし
推論コスト（入力）	100万トークンあたり$3.75	記載なし
推論コスト（出力）	100万トークンあたり$15	記載なし
無料提供	1日100万トークン（9月23日まで）	1日200万トークン（9月23日まで）

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ファインチューニングについて

ファインチューニングとは事前学習済みの大規模言語モデルを、特定のタスクや領域に適応させるための技術である。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

既存モデルの知識を活用しつつ特定分野に特化
少量のデータでも高いパフォーマンスを実現
モデルの応答をカスタマイズ可能

OpenAIが提供するGPT-4oのファインチューニング機能により、開発者は自社のデータセットを用いて独自のモデルを作成できるようになった。これにより特定の用途に最適化されたAIアプリケーションの開発が容易になり、より高度で効率的なソリューションの実現が期待されている。

trends編集部「K」の一言

GPT-4oのファインチューニング機能の公開は、AI開発のデモクラタイゼーションを加速させる重要な一歩だと言える。大企業だけでなく中小企業や個人開発者も高度なAIモデルをカスタマイズし、自社の製品やサービスに組み込むことが可能になるだろう。特に特定の業界や専門分野に特化したAIソリューションの開発が進むことで、様々な産業でのイノベーションが促進されると予想される。

一方で、ファインチューニングされたモデルの品質管理や倫理的な使用に関する課題も浮上してくる可能性がある。OpenAIは安全性評価や利用状況のモニタリングを行うとしているが、悪用を完全に防ぐことは難しいだろう。今後はファインチューニングされたモデルの認証制度や利用ガイドラインの整備など、技術と社会制度の両面からの取り組みが必要になってくると考えられる。

将来的にはファインチューニング技術のさらなる進化により、より少ないデータや計算リソースでも高度なカスタマイズが可能になることが期待される。また、複数の特化型モデルを組み合わせた「マルチタスクAI」の登場やファインチューニングの自動化ツールの開発など、AI技術の民主化がさらに進むことで新たな産業の創出につながる可能性がある。