ローム株式会社の750V耐圧SiC MOSFET「SCT4013DLL」が、AIサーバー電源のBBU(バッテリーバックアップユニット)に採用されました。
ローム製SiC MOSFETがAIサーバー向けBBUに求められる背景
生成AIの普及に伴いGPUの高性能化が進む中、データセンターの消費電力は急増しています。この課題に対し、送電ロスの低減を目的としたHVDCアーキテクチャへの移行が進んできました。こうした大電力・高電圧環境では、停電や瞬停などの異常時にシステムおよび膨大なデータを保護するため、サーバーラック単位で電力を補償するBBUやCU(キャパシタユニット)の役割がますます重要な位置づけです。
次世代AIサーバーのHVDC電源では、異常発生時に高電圧・大電流を瞬時かつ低損失で制御するバックアップシステムが求められます。こうした厳しい要件に対し、高耐圧や低損失、高温耐性を兼ね備えたSiCパワーデバイスは、電力制御の中核を担うキーデバイスとして、期待されています。
ローム製SiC MOSFET「SCT4013DLL」の特長と次世代アーキテクチャへの対応
今回採用されたローム製SiC MOSFET「SCT4013DLL」は、750V耐圧を持ち、AIサーバー向け±400V電力供給アーキテクチャの電源部に搭載されています。SiCの特性を活かし、最大ジャンクション温度(Tj)175℃という高い温度耐性を備えており、高電圧化・高電力密度化に伴い発熱量が増加するBBUにおいても安定した動作が可能です。
また、次世代800VDC電力供給アーキテクチャにおいては、BBU内のバッテリーパックに供給される電源電圧が560V程度であるため、同様に750V耐圧モデルのローム製SiC MOSFETを使用できます。次世代800VDC電力供給アーキテクチャでも、同様に750V耐圧モデルを使用できる仕様です。
ローム製SiC MOSFET「SCT4013DLL」概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 開発元 | ローム株式会社(本社:京都市) |
| 製品名 | SiC MOSFET「SCT4013DLL」 |
| カテゴリ | パワーデバイス |
| 耐圧 | 750V |
| 対応アーキテクチャ | ±400V電力供給アーキテクチャ、次世代800VDC電力供給アーキテクチャ |
| 最大ジャンクション温度 | 175℃ |
| 次世代対応電圧 | 560V程度(BBU内バッテリーパック供給電圧) |
| ブランド | ロームのSiCデバイスブランド「EcoSiC(エコエスアイシー)」 |
trends編集部の一言
AIサーバー向けの電力インフラ整備が、これほど精緻なデバイス選定を必要とする段階に入っていることは、マーケティングの現場で「生成AIの普及」を語る際にほとんど意識されていない視点です。マーケティングの現場でAIツールの導入を検討する際、電力コストやインフラの信頼性といった話題は後回しになりがちですが、BBUやHVDCといったキーワードが実際のデバイス採用ニュースとして登場したことは、業界全体のインフラ整備が着実に前進していることを示しています。
AIインフラ業界全体としては、HVDCやBBUといった電源設計領域への注目が高まりつつあります。マーケティング業界の文脈に置き換えると、AIツールを安定的に使い続けるための「見えないインフラ」への投資が今後の重要テーマとして浮上しており、生成AIサービスの可用性や応答速度がパワーデバイスの性能に間接的に支えられているという構造は、AIサービス市場においても注目が集まりつつある動向です。
References
- ^ PR TIMES. 「ロームのSiC MOSFETが、HVDC化が進むAIサーバー向けBBUに採用 | ローム株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000109.000062988.html, (参照 26-05-22).
