なりすまし対策や本人確認の手段をIT企業が提供、セキュリティ担当者は検証を足す場面を選べる
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生成AIで作った人物の画像や動画(ディープフェイク)によるなりすましに備えて、本人確認に足す対策を選びきれずにいないでしょうか。Web会議や口座開設、電話、遠隔試験では、検知する手口も既存の仕組みへの組み込み方も異なるため、場面ごとに手段を見極める必要があります。
この記事では、なりすましを防ぐ本人確認の手段を、守る場面や検知する手口、既存の仕組みへの足し方まで詳しく解説します。生成AI時代のなりすましに備えて検証手段を比べたいセキュリティ担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の要点
- この記事の材料:発表4件
- 発表主体:株式会社アンク、Japan株式会社
- 出典の最終掲載:2026.10.20
SOURCESこの記事がまとめた発表

画像:株式会社アンクの発表資料より(PR TIMES)
[1] アンク、業界初、独自の不正行為防止機能を搭載したオンライン試験システム「リモテス ト」(R)を民間へ提供開始
株式会社アンク / 掲載 2026.10.15
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画像:Japan株式会社の発表資料より(PR TIMES)
[2] 「声」とAIで本人確認手段を拡充。カストイントコジャパンがハイペリオンへ「SpeakerMatch」をOEM提供
Japan株式会社 / 掲載 2026.10.15
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画像:Japan株式会社の発表資料より(PR TIMES)
[3] 生成AI時代の最先端の不正対策機能をAPI連携で提供開始 ~不正口座開設や個人情報を悪用 したなりすましを防ぐ、世界の金融機関・政府機関などで採用される高度なAI不正検知機能を追加導入可能~
Japan株式会社 / 掲載 2026.10.20
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[4] Tools for Humanity、Zoom ISV Exchange Programに参加 ― Zoomのビジネス顧客20万社にProof of Humanを提供―
掲載 2026.10.20
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目次
なりすましを防ぐ本人確認の場面
なりすましへの対策として、本人確認の手段を足す主な場面は、以下の3つです。
- Web会議で相手の実在を示すWorld ID
- 口座開設で顔を照合するDaonのAPI
- 電話口で声を照合するSpeakerMatch
いずれの手段も、基準となる顔や声と、その場で取得した映像や音声を照らし合わせて本人を確かめます。ただし、基準に使う情報と照合のタイミングは、手段ごとに異なります。
Web会議で相手の実在を示すWorld ID
Tools for Humanity(TFH)は、Web会議の相手がディープフェイクではなく実在の本人かを確かめる「World ID for Zoom」を提供開始しました。同社は2026年10月19日、Zoomの顧客に独立系ソフトウェアベンダーの製品を直接届けるZoom ISV Exchange Programへの参加を発表しました。[4]
照合の起点は、人間認証デバイス「Orb」で参加者が最初に認証した際に撮影され、暗号学的に署名された顔画像です。会議中は、参加者の端末で撮るライブ自撮りと、他の参加者のZoom画面に映る映像のフレームを、Orbで撮影した顔画像と照らし合わせます。
3点が一致すると、通話中の人物が実在する本人だと確認され、参加者のビデオタイルに「ヒューマンバッジ」が表示されます。World ID for Zoomの主な構成は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 認証機器 | Orb |
| 映像の取得 | ZoomのRTMS |
| 稼働基盤 | AWS |
World ID for Zoomは、Worldの人間証明の技術とZoomのRealtime Media Streams(RTMS)を活用します。連携機能は「Lift Off」でプレビュー公開され、資産運用会社のVanEck Fundsが限定ベータプログラムへの参加を表明しました。
口座開設で顔を照合するDaonのAPI
Daon Japanは10月20日掲載の発表で、AIによる不正対策機能と顔認証「Daon Face」を、API連携で追加導入できる形で提供開始しました。各機能は、既存のオンライン本人確認(eKYC)やJPKI(公的個人認証)を使う手続き、各種の認証基盤を補う追加の防御層と位置づけられています。[3]
Daonによると、欧米などでは本人確認書類の顔写真と利用者の顔を、ライブネス検知(カメラの前に実在する人物がいるかの確認)を備えた顔認証で照合する組織が多くあります。主な適用例は、以下の通りです。
| 場面 | 使い方 |
|---|---|
| JPKIを使う口座開設 | 顔認証・PAD・IADを追加 |
| 既存のeKYCサービス | Deepfake対策機能を追加 |
| 既存の顔認証システム | パッシブライブネス・IADを追加 |
| オンラインバンキング | アカウント復旧時の本人確認 |
| スマートフォンの追加・変更 | 端末変更時の本人確認 |
| 高額送金・情報変更 | 追加の本人認証 |
PADは写真や画面のリプレイによるなりすましを、IADはカメラを通さずに送り込まれる映像を見抜く機能です。適用例には口座開設のほか、アカウント復旧や端末の追加のように、ログインとは別に本人を確かめ直す場面も含まれます。
顔認証のDaon Faceは、NIST(米国国立標準技術研究所)の評価で、他人受入率0.0001%の条件下の本人拒否率0.30%を記録したとしています。米国国土安全保障省(DHS)の評価でも、Daonの顔認証とPADは攻撃検知漏れ率(APCER)0%、平均トランザクション時間1秒を記録したと説明しました。
電話口で声を照合するSpeakerMatch
CustIntCo Japan(CC-JP)は、音声照合技術「SpeakerMatch」をハイペリオンのパスワードレス認証「PassProof」へ組み込むOEM提供契約を結びました。ハイペリオンは、音声照合を本人確認の選択肢の一つとしてPassProofに統合する方針です。[2]
SpeakerMatchは、本人の発話から声の特徴データを抽出して自由発話で本人を照合し、録音音声によるなりすましを検知する機能も備えるとしています。PassProofは携帯電話番号や端末情報、生体認証を含む要素を場面に応じて組み合わせる基盤で、今回の提供によって要素に音声照合が加わります。
ハイペリオンなどが音声照合で本人確認を補う場面として挙げるのは、以下の通りです。
- 登録端末が使えないとき
- 電話口での手続き
- アカウントの復旧や再登録
Passkey(端末の生体認証や画面ロックでログインする方式)でパスワードレス化が進んでも、端末の紛失や機種変更では、ログインとは別の本人確認が残るとCC-JPなどは説明しています。音声照合は、登録端末に頼れない場面で本人確認の選択肢を広げる狙いで加えられました。
なりすまし対策と並ぶ遠隔試験の不正防止
アンクは、従来のオンライン試験システムでは不正行為への対策が大きな課題だと指摘しました。同社が国家試験向けに開発し、民間への提供を始めた「リモテスト」は、主に以下の2つの機能で不正を防ぎます。
- 問題と解答の端末を分けるデバイス分離
- 閲覧済みの問題を解答不可にする途中退席機能
リモテストはCBTとIBTの両方に対応しており、試験会場に加えて職場や自宅からも受験できます。CBTは会場のコンピュータで受ける方式、IBTはインターネットを使って自宅などで受ける方式です。
問題と解答の端末を分けるデバイス分離
リモテストでは、試験問題をPCの画面に表示し、受験者はスマートフォンで解答します。アンクは、専用の試験端末を用意せずにスクリーンショットによる問題流出のリスクを防げると説明しました。[1]
受験に必要な環境は、以下の通りです。
- インターネット環境
- PC
- スマートフォン
試験はブラウザ上で実施でき、専用アプリは不要です。さらに、解答に使うスマートフォンでは受験者の監視データを録画し、AIで解析して本人確認や受験状況の把握に使います。
閲覧済みの問題を解答不可にする途中退席機能
途中退席機能は、試験中に席を外した場合に、退席より前に閲覧した問題へ解答できなくする機能です。アンクは、途中退席によるカンニングへの対策として搭載したとしています。[1]
デバイス分離と途中退席機能は、一般財団法人知的財産研究教育財団が取得した特許の一部で、アンクは同財団から利用許諾を受けて開発しています。アンクは2つの機能を業界初としていますが、根拠は2026年10月に国内の主要なオンライン試験システム17製品と比べた自社のWeb調査です。
リモテストの採用実績と、民間で想定する利用の例は、以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 採用実績 | 知的財産管理技能検定 |
| 採用の範囲 | 2025年11月実施の一部会場 |
| 企業での利用 | 採用試験・昇進試験 |
| 研修での利用 | 研修後の理解度チェック |
知的財産管理技能検定の主催団体である知的財産教育協会は、トイレによる途中退席が不正行為の温床にもなりうると指摘しました。そのうえで、一時離席後に既に見た問題へ解答できなくなる点を評価するコメントを寄せています。
なりすましの手口で分かれる本人確認の検知方法
Daon Japanは、本人確認を不正から守るには、本人との一致や実在の確認、注入攻撃の検知など、複数の観点を組み合わせることが有効だとしています。同社は、観点ごとに防御層を重ねる「レイヤードアプローチ」を採用しました。[3]
なりすましの手口ごとに、偽る入力と検知や確認の手段を整理すると、以下の通りです。[2][4]
| 手口 | 偽る入力 | 検知・確認の手段 | 提供元 |
|---|---|---|---|
| 写真・動画・画面リプレイ | カメラに提示する映像 | PAD | Daon Japan |
| 加工映像の直接送り込み | 撮影経路を通らない映像 | IAD | Daon Japan |
| 生成AIで作った人物画像 | 画像・動画 | Deepfake検知 | Daon Japan |
| 不審な端末からの操作 | 端末・利用環境 | Device Risk Intelligence | Daon Japan |
| 録音音声による偽装 | 本人の声 | SpeakerMatch | CC-JP |
| 会議のディープフェイク | Web会議の映像 | 3点照合 | Tools for Humanity |
IADが必要とされるのは、撮影経路が操作されると、入力された映像が画面上では自然に見える可能性があるためです。Daonは、PADを2022年から、IADを2024年から提供しており、PADはISO/IEC 30107-3に準拠しiBeta Level2認定を取得済みとしています。
画像や声に残る特徴から偽物を見抜く検知型の手段に対し、TFHはWorld ID for Zoomを「検知」から「リアルタイムでの存在証明」への転換と位置づけました。証明型のWorld ID for Zoomは、参加者が事前にOrbで認証していることを前提に照合します。
なりすまし対策をZoomやeKYCに足す方法
なりすまし対策の導入方法は、既存の基盤に追加する手段と、仕組みごと導入する手段に分かれます。各サービスの組み込み先と提供の形は、以下の通りです。[1][2][3][4]
| サービス | 組み込み先 | 提供の形 |
|---|---|---|
| World ID for Zoom | Zoomの会議 | Zoom App Marketplace |
| Daonの不正対策機能 | eKYC・JPKI・認証基盤 | API連携で追加導入 |
| SpeakerMatch | PassProof | OEM提供 |
| リモテスト | なし(単体で導入) | ブラウザで実施 |
既存の基盤に追加する手段は、利用中の会議ツールや本人確認の手続きを残したまま、検証の層を重ねる形です。Daon Japanは、各機能を要件に合わせて選んで導入でき、既存システムを生かした段階的なセキュリティ強化につながるとしています。
Zoomの顧客は、ISV Exchange Programを通じてWorld ID for Zoomを自社向けに購入できるほか、Orbを自社オフィスに設置するよう依頼できます。会議の参加者は、顔認証を使った数ステップで、自分がディープフェイクではないことを証明できるというのがTFHの説明です。
リモテストは、既存の基盤に追加するのではなく、試験システムとして仕組みごと導入する手段です。国家試験向けに開発したシステムを、民間の資格試験や採用試験、社内研修の理解度テストにも使えるようにした点が、今回の提供の中身でした。
なりすまし対策を自社の場面に当てはめる確認点
なりすまし対策を自社に当てはめるときは、守る場面や想定する手口、既存の基盤との関係の順に確かめると比べやすくなります。主な確認点は、以下の通りです。
| 確認点 | 確かめる内容 | 手段の例 |
|---|---|---|
| 会議相手の実在 | 映像の相手が本人か | World IDの3点照合 |
| 書類と顔の一致 | 顔写真と利用者の顔 | Daon Face |
| 映像の偽装 | 写真・注入・生成AI | DaonのPAD・IAD・Deepfake検知 |
| 登録端末の不在 | 紛失・機種変更の時 | 音声照合 |
| 試験中の不正 | 問題流出・途中退席 | リモテストの2機能 |
| 既存基盤との関係 | 追加か仕組みごとか | API・OEM・購入 |
守る手続きが同じでも、使える手段は一つとは限りません。たとえば、アカウント復旧や端末の追加では、Daonの顔認証とSpeakerMatchの音声照合のどちらも本人確認の手段の候補です。[2][3]
確認に使う情報も、顔や映像で確認する手段と、声で確認する手段に分かれます。ただし、性能値や「業界初」という表現は各社の説明や自社調べに基づくため、評価の条件や調査の範囲を各社の資料で確かめてから比べる必要があります。[1]
References
- ^ PR TIMES. 「アンク、業界初、独自の不正行為防止機能を搭載したオンライン試験システム「リモテス ト」(R)を民間へ提供開始」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000191014.html, (参照 26-10-22).
- ^ PR TIMES. 「「声」とAIで本人確認手段を拡充。カストイントコジャパンがハイペリオンへ「SpeakerMatch」をOEM提供」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000076.000019716.html, (参照 26-10-22).
- ^ PR TIMES. 「生成AI時代の最先端の不正対策機能をAPI連携で提供開始 ~不正口座開設や個人情報を悪用 したなりすましを防ぐ、世界の金融機関・政府機関などで採用される高度なAI不正検知機能を追加導入可能~」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000171023.html, (参照 26-10-22).
- ^ PR TIMES. 「Tools for Humanity、Zoom ISV Exchange Programに参加 ― Zoomのビジネス顧客20万社にProof of Humanを提供―」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000160362.html, (参照 26-10-22).

















