RWSグループは2026年6月、翻訳支援ソフトウェアの最新バージョン「Trados Studio 2026」のリリースを発表しました。
Trados Studio 2026が実現する64ビット対応と高速化
今回のアップデートの中核となるのが、待望の64ビット対応です。デスクトップアプリの速度と安定性が大きく向上し、負荷の高いプロジェクトもスムーズに処理できるようになりました。テストでは、Trados Studio 2024において開くまで90秒以上かかっていた大容量Excelファイルが、20秒以内で開くようになり、7倍以上高速化したとしています。
これまでクラッシュを引き起こしていたファイルも、問題なく開けるようになりました。大容量ファイルを扱う際の作業負荷は、これにより軽減されます。
Trados Studio 2026の文脈認識AIと新用語管理システム
今回初めて、Trados StudioのAIが分節セグメント単位ではなく、文脈全体を考慮して動作するようになりました。範囲を設定すれば、モデルが各セグメントの周囲の状況を把握します。曖昧な代名詞や文体の変化を含むテストにおいて、文脈認識型AIは格段に高い正確性を発揮しました。
AI Bridgeでは、特定のプロバイダに依存しない設計を採用しています。対応するプロバイダは以下の通りです。
RWS独自の翻訳最適化LLMであるLanguage Weaver Proへの接続も可能です。ユーザーは、特定のベンダーに縛られることなく、最適なモデルを自由に選択できます。
用語管理の面では、新たに開発されたローカル用語ベース「Trados Termbase(.TTB形式)」が導入されます。32ビットの制限があった従来の「SDLTB形式」に置き換わるもので、正確な用語認識、より広範な言語や文字体系のサポート、AI支援作業のための確かな基盤の構築を実現するものです。シンプルなウィザードで既存の用語ベースをアップグレードでき、新しい用語ベースビューによって、すべてを整理された一元的な環境で管理できます。
Trados Studio 2026 製品概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | RWSグループ(英国本社)/日本法人:SDLジャパン |
| 発表時期 | 2026年6月 |
| 対象製品 | 翻訳支援ソフトウェア「Trados Studio 2026」 |
| アーキテクチャ | 64ビット対応 |
| 高速化実績 | Trados Studio 2024で開くまで90秒以上かかった大容量ExcelファイルがTrados Studio 2026では20秒以内で開くようになったテスト結果(7倍以上) |
| AI接続対応 | OpenAI、AnthropicのClaude、Google Gemini、DeepSeek、DeepL、xAI Grok、LM Studio、Ollama、Language Weaver Pro |
| 新用語管理 | Trados Termbase(.TTB形式)(SDLTB形式から移行) |
| UI対応 | Windows 11ハイコントラストテーマ・ダークモード対応 |
| 無料トライアル | 30日間無料トライアル版を提供 |
| ユーザー規模 | 世界で27万人を超える翻訳者が利用 |
| グローバル拠点 | 85以上のオフィス(英国本社) |
| 日本法人の実績 | 20年以上にわたりサポートやセミナー、イベント等を実施 |
trends編集部の一言
90秒以上かかっていた処理が20秒以内に短縮されるという7倍以上の高速化は、翻訳者の日常業務に直結する改善です。業界全体としては、AIモデルの多様化が進む中で特定ベンダーへの依存を避けたいというニーズが高まっており、AI Bridgeのマルチプロバイダ設計はその流れに応えた判断と言えるでしょう。
マーケティングの現場でも、翻訳ツールの選定は多言語コンテンツ展開の鍵を握ります。文脈認識AIの搭載によって、初稿の品質が上がれば修正工数の削減につながるという構図は、ローカライズ業務の効率化を模索する業界全体に共通した課題です。多言語マーケティング領域においても、翻訳ツールの文脈認識機能やモデル選択の自由度が、ローカライズ業務の設計に影響する要素になりそうです。
References
- ^ PR TIMES. 「RWSグループ、AI翻訳支援ソフトウェアの最新バージョンTrados Studio 2026をリリース | SDLジャパン株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000065239.html, (参照 26-07-08).
