株式会社レクリエと株式会社テレビ新広島は、広島県が実施する「令和8年度ひろしまAIサンドボックス事業」に採択され、「UGC共創AIプラットフォーム」の共同開発および実証実験を開始しました。
開発の背景にある権利侵害と市場構造の課題
現在、インターネット上では違法アップロードや無断改変、生成AIを用いたフェイクコンテンツなどが横行しています。多大なコストをかけて良質なコンテンツを制作する正規事業者が不利益を被る「歪んだ市場構造」が常態化している状況です。
特にローカル局にとって、権利侵害やなりすましは信用失墜に直結する死活問題です。テレビ新広島とレクリエ両社は「ルールを守る正直者が報われる社会」を目指し、本事業を通じてコンテンツ産業の健全な市場構造の回復に取り組みます。
UGC共創AIプラットフォームが実現する守りと共創の両立
本事業では、SNSやWEB上の膨大な画像・動画から、キャラクターIPの拡散状況をAIが自動検出・可視化するプラットフォームを開発します。実証する主な機能は以下の3点です。
- IP自動検出・UGC分類:「ファンアート」「切り抜き」「悪意ある改変」などを自動仕分け
- ガイドライン適合性判定:投稿内容の適合性を即時に判定し画面に表示
- 公認クリエイター制度の運用:貢献度の高いクリエイターを可視化し収益分配の仕組みを構築
実証のフィールドとして、株式会社テレビ新広島のオリジナルキャラクター「ハンザキさん」を活用しました。広島ゆかりのオオサンショウウオをモチーフにしたキャラクターで、現代の働く大人の感情を代弁する存在として位置づけられています。
SNS投稿や番組露出を通じて拡散されたUGCをAIで管理・分析し、広島から全国へ通用するIP育成モデルの確立を目指すことが、本事業の狙いです。
UGC共創AIプラットフォーム実証事業の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 事業名 | 令和8年度ひろしまAIサンドボックス事業(採択) |
| 推進主体 | 株式会社テレビ新広島・株式会社レクリエ(共同) |
| プラットフォーム名 | UGC共創AIプラットフォーム |
| 実証対象キャラクター | ハンザキさん(オオサンショウウオをモチーフ) |
| 2026年の取り組み | 「ハンザキさん」を活用したUGC拡散実験およびAI判定モデルの構築 |
| 2027年以降の展開 | 地方テレビ局向け「IP管理・UGC共創SaaS」としてパッケージ化し全国展開 |
| 長期目標 | アニメ・ゲーム業界を含む国内コンテンツ市場全域への水平展開を通じた「知財立国」への貢献 |
| 株式会社レクリエ所在地 | 広島市中区袋町5-28 和光広島ビル6F-C |
trends編集部の一言
「守る」と「共創」を同一のプラットフォームで両立しようという設計は、業界横断で注目に値します。業界全体として、UGCをブランド資産として、能動的に管理するという発想は、まだ整備途上にある段階です。
マーケティング業界の文脈に置き換えると、ファンコンテンツを「排除するか黙認するか」という二択を超えた管理基盤の整備は、コンテンツホルダーが共通して直面する構造的課題として、広く認識されてきました。
地方テレビ局という、全国規模のIPホルダーとは異なる立場での実証という点も興味深いところです。2026年6月に立ち上がった「ハンザキさん」という新興キャラクターを対象にすることによって、IP育成の初期フェーズからAI管理を組み込むモデルを検証できます。
2027年以降に「IP管理・UGC共創SaaS」として、地方局全体に展開されるとすれば、マーケティング業界のコンテンツ戦略にとっても参考になりそうです。業界全体の構造転換を示す動きとして、注目されるのではないでしょうか。
References
- ^ PR TIMES. 「テレビ新広島とレクリエ、広島発「UGC共創型IPマネジメントAI」の実証事業を開始 | 株式会社レクリエのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000174225.html, (参照 26-07-02).
