株式会社ジェネシア・ベンチャーズは2026年4月15日、エンタープライズのAI Agent向け秘密計算セキュリティインフラを開発するAlmure株式会社のシードラウンドにおける出資を発表しました。
Almureが取り組む秘密計算技術によるエンタープライズAI導入の課題解決
エンタープライズ向けシステム開発では、「セキュリティチェックシート対応」と呼ばれる煩雑なオペレーションが、AI活用の大きなボトルネックとなっています。サイバーセキュリティリスクへの対策を網羅的にチェックし、その十分性を説明する作業であり、膨大なコストを伴うと説明されています。
加えて「金融」「製造」「医療」「防衛」など業界ごとに異なるセキュリティ標準が存在し、各ドメインに精通したエンジニアの確保が不可欠とされる領域です。Almureはこの準拠コストを構造的に排除することを目指し、独自の秘密計算(Confidential Computing)技術の開発を進めています。
Almureの秘密計算技術が持つpurpose-builtな設計アプローチ
Almureが開発する秘密計算技術は、ハードウェアレベルで実行環境を隔離・暗号化し、クラウド事業者やシステム管理者からすらアクセス不可能な状態でデータを処理する仕組みです。Confidential Computing/Trusted Execution Environment(TEE)とも呼ばれ、同社が打ち出す技術的特徴は次の3点です。
- ハードウェアレベルの実行環境隔離と暗号化
- 業界標準から逆算するpurpose-built設計
- 暗号鍵管理レベルの安全性とAI処理の汎用性
コンピューティング技術の開発は、歴史的に汎用的な基盤層からボトムアップで積み上げるアプローチが主流でしたが、アプリケーション要件への対応まで長い時間を要してきた経緯があります。Almureは各業界のセキュリティ標準が実際に求める仕様という極めて実務的なニーズから逆算し、トップダウンで設計するpurpose-builtなアプローチを採用しています。
Almureのシードラウンド出資の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 出資対象 | Almure株式会社 |
| ラウンド | シードラウンド |
| 調達総額 | 2億円 |
| 出資元ファンド | Genesia Venture Fund 4号 |
| 共同出資者 | Dual Bridge Capital、NEX-T Tokai Innovation Fund |
| 発表日 | 2026年4月15日 |
| 資金用途 | 研究開発、プロダクト開発、採用強化 |
trends編集部の一言
今回の発表を読んで、エンタープライズへのAI導入でどこに時間がかかっているかという論点が改めて整理された印象を受けました。業務改善の現場でも、機能要件そのものよりもセキュリティチェックシートや社内監査の対応に時間を溶かしてしまう場面が多く、設計レベルから手を入れるアプローチには率直に興味を持ちます。
秘密計算を業界標準から逆算してpurpose-builtで設計する発想は、ツール選定やPoC設計の考え方にも示唆を与える内容だと感じます。金融や防衛のように準拠要件が厚い領域でのAgent活用を検討している担当者にとっては、どの層で機密を守るかという設計思想を社内で議論する材料になるはずです。
References
- ^ PR TIMES. 「エンタープライズのAI Agent向け秘密計算セキュリティインフラを開発するAlmureのシードラウンドにおいて出資 | 株式会社ジェネシア・ベンチャーズのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000196.000056091.html, (参照 26-04-15).
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