DX化の成功事例10選!DXの身近な例や成功した企業の共通点について解説

DX化の成功事例10選!DXの身近な例や成功した企業の共通点について解説

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「DXが具体的にどのような取り組みなんだろう」

「他社の成功事例を参考にして自社のDXに役立てたい。」

上記の疑問を解決するために、本記事ではDX化の成功事例を10つ紹介します。ほかにもDXについてわかりやすい身近な例や、成功した企業の共通点についても解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

DXとは

DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略称で、デジタル技術を活用してこれまでの業務プロセスやビジネスモデルを変革・変化(トランスフォーメーション)させることです。

具体的にはAIやクラウドコンピューティング、ビッグデータなどの最新デジタル技術を活用し、業務フローを再構築したり新規サービスを創出したりすることが目的となります。

DXは競争力の強化や顧客満足度の向上など、企業や組織の成長戦略の重要な要素となっています。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは?意味をわかりやすく解説
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DXの身近な例

DXの身近な例は下記の通りです。

ECサイト(オンラインショッピング) ECサイトは自社の商品をインターネット上で売買するためのWebサイトです。時間や場所問わず購入できるため来店する必要がなく、小売業界の身近なDX事例となっています。
クラウドベースのオフィスツール GoogleドライブやMicrosoft 365などのクラウドベースのオフィスツールを使用することで、どこからでもドキュメントやスプレッドシートにアクセスし、チームでの共同作業が簡単になります。
スマートファクトリー 工場などの生産ラインにロボットやAIを導入し、これまで手作業で行っていた作業の自動化と効率化を図ります。これにより生産効率の向上やコスト削減が実現します。
自動化された顧客サービス チャットボットやAIアシスタントを導入することで、顧客からの問い合わせに迅速かつ効率的に対応できます。これにより顧客満足度を高めながら、運用コストを削減できます。
Eラーニングプラットフォーム インターネット上の動画やテキストを通して、知識やスキルを習得できるプラットフォームです。場所を問わず教育を提供できるため、地理的な理由による教育の機会を広げられます。

ECサイトだとAmazonや楽天市場、スマートファクトリーだと大手寿司チェーン店の寿司ロボットなどが挙げられます。

DXの身近な例に関する詳細ついては、以下の記事で詳しく解説しています。

DXのわかりやすい例題と企業がDXに成功した事例を紹介
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DX化の成功事例10選

経済産業省が公開している「デジタルトランスフォーメーション銘柄 -DX銘柄 -2024」を参考に、DXを実施している企業の成功事例を紹介します。[1]

株式会社日立製作所(電気機器)

株式会社日立製作所は日本を代表する総合電機メーカーであり、情報・通信システムや社会・産業システム、物流など多岐にわたる事業を展開しています。

日立製作所が実施しているDXの取り組みは下記の通りです。[1]

コーポレートガバナンス体制の強化

日立はDXを推進するために、コーポレートガバナンス体制の強化に取り組んでいます。日立は改革する上で外部の視点を取り入れることが重要だと考え、グローバルな経験と知見、優れた人格を持つ方を取締役として選出しました。

この取り組みによって、会社が変わるために必要な外部の視点を取り入れることに成功。より強力なコーポレートガバナンス体制を実現しました。

デジタルテクノロジーの活用による生産性向上とコスト構造改革

日立は全社AI変革プロジェクトを通じて、生産性向上とコスト構造改革を進めています。生成AIを活用してあらゆる業務の省力化・自動化を図り、積極的なデジタルテクノロジーの活用を行っているのが特徴です。

このようにDXを推進するためにさまざまな取り組みを実施し、持続可能な成長と社会イノベーションの実現を目指しています。

株式会社LIXI(金属製品)

株式会社LIXILは建材や設備機器の製造・販売とこれらに関連するサービス業を実施している企業。住まい関連製品の提供を通じてDXを推進し、業務効率の向上を図っています。

LIXILが実施しているDXの取り組みは下記の通りです。[1]

デジタルの民主化

LIXILでは社内におけるデジタル技術の活用を推進し、全社員がデジタル技術を使いこなせる環境を整備しています。

特に最高経営責任者を含む役員や管理職が風通しの良い社内風土を築くことに尽力しており、デジタルの民主化を成功に導く要因となっています。

「e-Connection」システム

LIXILは水まわり商材に特化したオンラインシステム「e-Connection(通称・イイコネ)」を提供。本システムを使うことで代理店や施工業者が見積もりや発注をオンラインで完結できるように設計されています。

このシステムにより全ての関係者がデジタル化され、業務効率と顧客満足度が向上しています。

オンラインショールーム

LIXILはコロナ禍をきっかけに2020年春に「LIXILオンラインショールーム」を導入しました。これにより従来の販売モデルから顧客体験をDXし、ユーザーの時間節約とビジネスパートナーの業務効率化を実現しています。

株式会社ブリヂストン(ゴム製品)

株式会社ブリヂストンはプレミアムタイヤ事業やソリューション事業を展開している企業。デジタル技術を駆使して製品の品質管理と生産効率を向上させています。

ブリヂストンが実施しているDXの取り組みは下記の通りです。[1]

デジタル技術を活用するための環境整備

ブリヂストンはマイクロソフトおよびアマゾンとのグローバル協業を開始。マイクロソフトとはタイヤデータビジネスやデジタルソリューションの強化を図り、アマゾンとは小売りサービスソリューションおよびモビリティソリューションで顧客経験価値の向上を目指しています。

上記のようにデジタル技術に長けている企業と協業することで、DXを推進する環境を構築しています。

タイヤ摩耗予測システムの開発

自社データを基にAIを活用したタイヤ耐久予測を行い、タイヤをメンテナンスする最適なタイミングや車両運行ルートを提案する次世代タイヤモニタリングシステムを構築しています。

DX人材の育成

人材育成においてはデータサイエンティスト育成研修や「デジタル100日研修」、新入社員向けのDX研修など社内でさまざまな研修を実施しています。

また、産学連携の拠点として「ブリヂストン×東北大学共創ラボ」を設立し、外部との積極的な連携を通じて人材の強化に取り組んでいます。

三菱重工業株式会社(機械)

三菱重工業株式会社はエネルギーや産業機械の分野で幅広く活躍する企業。実施しているDXの主な取り組みは以下の通りです。[1]

新しい組織の立ち上げ

2022年7月に「デジタルイノベーション本部」を設立しました。この部門では約2万人のデジタル人材を育成し、新しい開発手法や顧客体験の向上に力を入れています。

デジタル基盤の整備

「ΣSynX(シグマシンクス)」という統合デジタルプラットフォームを構築。これは「かしこく・つなぐ」をモットーに、会社の持つ豊富な技術やノウハウを活用しやすくしています。

「ΣSynX」でできることの一例は下記の通りです。

  • 物流の自動化:倉庫内の作業を効率化するソリューションを提供。
  • 製造現場の改善:AIやロボット、拡張現実(MR)技術を使って作業の自動化や効率化を進める。

三菱重工業は製品の品質向上と生産効率の改善を図り、同時に環境に配慮した持続可能な社会づくりに貢献しています。

ソフトバンク株式会社(情報・通信業)

ソフトバンク株式会社は日本を代表する通信企業です。個人向けの携帯電話サービスから法人向けの通信・ITソリューションまで、幅広い事業を展開しています。

ソフトバンクが実施しているDXの主な取り組みは以下の通りです。[1]

AI/DX人材育成サービスと学習データ作成支援

ソフトバンクは社内起業制度から生まれたAI/DX人材育成サービス「Axross Recipe for Biz」や、学習データ作成支援サービス「TASUKI Annotation」を提供しています。

これらのサービスで多数の企業に対して、生成AI導入や利活用を支援しています。これにより多くの企業が業務効率化や新たなビジネスチャンスを創出しています。

スマートビル構築に向けた「SynapSpark」の設立

ソフトバンクのDX本部は、2023年10月に日建設計と共創で「SynapSpark」を設立しました。

この取り組みではデータを活用して自律的に進化し続けるスマートビルの構築を目指しています。これにより新たな都市インフラの発展が期待され、持続可能な未来に向けた革新的な取り組みが進められています。

マルハニチロ株式会社(水産・農林業)

マルハニチロ株式会社は、水産業と食品業界で長い歴史を誇るリーディングカンパニーです。水産・農林業におけるデジタル技術の活用により、業務プロセスの効率化を進めています。具体的なDXの取り組みについて説明します。[1]

AI魚体計数機の開発・導入

マルハニチロは養殖現場の業務改革を目指して、AI技術を活用した魚体計数機「かうんとと」を開発しました。このシステムはブリ成魚の自動計数を行うもので、手作業で数えていた数千匹の魚をAIによる画像認識技術で正確に計数します。

精度は99%に達しており、海上の過酷な環境下でも運用できるエッジAI方式を採用しています。この技術は現在6つの養殖場で展開されており、新たに高性能な計数システムも開発されています。

受領請求書のペーパレス化

支払業務の電子化を推進することで、サプライチェーン全体の事業継続性を向上させています。2023年度には全支払先の96.6%以上の電子化を達成し、2024年度末までにマルハニチロ・グループ全体で36万枚のペーパーレス化と1万8千時間の業務削減を見込んでいます。

SREホールディングス株式会社(不動産業)

SREホールディングス株式会社は不動産業を中心に、金融やIT、ヘルスケアなどのさまざまな分野で事業を展開している企業です。DXの具体的な取り組み[1]として、中小飲食店の開業支援プラットフォームを提供しています。

飲食店の3年以内の廃業率は70%、5年以内では80%以上と非常に高いです。そこでSREホールディングスは他社と協力し、飲食業界の知見やノウハウとデジタル技術を融合させたプラットフォームを提供しています。

このプラットフォームにより飲食店の開業から安定した運営までを多面的にサポートし、効率化と安定経営を実現。これにより廃業リスクを低減し、飲食業界全体の活性化を目指しています。

東京電力ホールディングス株式会社(電気・ガス業)

東京電力ホールディングス株式会社(TEPCO)は日本の主要な電力会社であり、電気・ガス業を中心に幅広い事業を展開しています。東京電力が取り組んでいる具体的なDXは下記の通りです。[1]

電力設備のスマートメンテナンス

東京電力は所有するさまざまな電力設備から得られる、点検映像や画像データを活用。パートナー企業のAI画像診断技術を用いた設備点検・診断システムを開発しました。

このシステムではドローンを用いた制御と撮影によって巡視・点検業務を行い、業務の省力化と効率化を達成。また、設備の故障を未然に防ぎ、災害時の早期復旧にも役立てています。

エネルギーの柔軟な運用によるまちづくり

東京電力は地域特性に応じた再生可能エネルギー電源や、蓄電池の柔軟な運用を可能にするエネルギーマネジメントシステムを開発しています。

このシステムによって地域の課題を解決し、再生可能エネルギーを最大限活用した災害に強いまちづくりを目指しているのが特徴。結果として地域全体で最適なエネルギー需給調整が可能となり、カーボンニュートラルと防災の両立を推進しています。

顧客向けデジタルサービスの提供

エネルギー消費に関する情報を顧客に提供するためのデジタルプラットフォームを開発しています。

本プラットフォームにより顧客は自分のエネルギー消費状況をリアルタイムで把握し、効率的にエネルギーを活用できるのが魅力です。

ヤマトホールディングス株式会社(陸運業)

ヤマトホールディングスはデジタル技術を活用した仕分け作業や運び方、働き方の変革に取り組んでいます。この改革により収益性の向上と安定的な利益成長を実現する構造への転換を目指しています。

また、社員の管理間接業務やバックオフィス業務の標準化・電子化を進めることで、業務プロセス改革(BPR)も実施。この取り組みによりオペレーションの安全性と品質の向上、社員やパートナーにとっての働きやすさや働きがいの維持・向上を図っています。

株式会社オーディオテクニカ(音響機器の開発・販売)

音響機器の開発・製造・販売を手掛けている株式会社オーディオテクニカは、バーチャレスク・コンサルティング株式会社が提供しているマルチチャネル対応の顧客応対管理システム「inspirX」を導入し、作業時間の短縮に成功しました。[2]

導入後の効果として「電話、メールを合わせて2000件/月規模の問い合わせ対応が効率化された」、「対応履歴を内容ベースで検索することが可能になり、情報展開がスムーズになった」という効果が見られているようです。

DX化に成功した事例の共通点

DX事例の中から、成功に共通するポイントを6つ紹介します。

経営陣主導のDX

DXを成功させた企業の多くが経営陣主導でDXを推進しています。たとえば日立製作所ではコーポレートガバナンス体制を強化し、LIXILでは最高経営責任者を含む役員が積極的に関与しています。

デジタル人材の育成

DX化の成功事例によりブリヂストンや三菱重工業、ソフトバンクなどの企業がデジタル人材の育成に力を入れていることがわかりました。

人材を育成する手段として、社内研修やAI・DX人材育成サービスの提供などさまざまなアプローチが見られます。

外部との連携・協業

自社だけでDXに限らず他社と協力する企業も複数見られました。たとえばブリヂストンはマイクロソフトやアマゾンとの協業しており、SREホールディングスは他社とプラットフォームの共同開発を実施しています。

DXの内容によって自社のリソースだけだと厳しい場合、外部リソースを活用することも成功の一因だということが伺えます。

AIの活用

DXに欠かせないデジタル技術の中でも、発展が著しいAIのを活用している企業が多く見られました。

たとえばマルハニチロのAI魚体計数機は、AIによる画像認識技術で魚の数を測定するシステムを提供。ソフトバンクは生成AI導入や利活用を支援しています。

カスタマーエクスペリエンスの向上

LIXILのオンラインショールームや東京電力の顧客向けデジタルサービスなど、顧客体験の向上に焦点を当てた取り組みが見られます。

データ活用の強化

多くの企業が、データ収集・分析・活用を重視しています。たとえばブリヂストンのタイヤ摩耗予測システムや、東京電力の設備点検・診断システムなどが挙げられます。

DXの失敗につながる事例

DXの成功事例だけでなく、失敗する可能性がある事例からやってはいけないことを把握することも大切です。

今回はX(旧Twitter)で発見したDXが失敗する可能性のある事例や、関連する投稿を元に対策も含めて紹介します。

利用者層のニーズに合わない導入

DX化することにより理屈的な効率化は進むものの、実際に利用する人の理解が追い付かないと失敗につながる可能性があります。

たとえば高齢者が多い地域の場合、スムーズに支払いできるキャッシュレス決済に高齢者の理解が追い付かず、普及が進まないことが挙げられます。

このような事例は社内でも起こる可能性があります。これまで紙ベースでの作業が中心だった業務内容にいきなり電子化のシステムを導入しても、社員の理解を得られず失敗するかもしれません。

DXを成功させるためには段階的にデジタル技術を導入したり、デジタル技術に関する人材研修を実施したりしてDXの理解を深めることが大切です。

経営陣の関与不足

上記投稿の「社長や役員などの上層部がDXを率先しないと失敗する」という内容から考えられることは下記の通りです。

  • 経営戦略との整合性の欠如
  • リーダーシップと意思決定の遅延
  • 社員のモチベーションの低下

DXはデジタル技術を用いて組織を変革することです。そのため組織の現状を俯瞰して理解している経営者層や管理職の方が率先することが求められます。

経営陣がDXを引率しない場合、全社的なビジョンや目標と一致しないまま進行するリスクが高くなるのが懸念点です。また、社員主体のDXによって重要な判断が迅速に行われないことで、プロジェクトが停滞する可能性があります。

経営陣にDXの理解が得られない場合、DXの前段階であるデジタイデーションからはじめることがおすすめです。

DXの実現には3段階のフェーズが重要?各段階の特徴と実践方法を紹介
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デジタイゼーションは紙媒体をデジタルへ変えるように、アナログ方式からデジタル形式へ変更することを指します。このように小さなステップを踏み、その結果を評価してもらうことでDXの必要性を認識してもらう方法が有効です。

References

  1. ^ 経済産業省. 「DX銘柄2024レポート」. https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/keiei_meigara/dxstockreport-2024.pdf, (参照 2024-07-12).
  2. ^ PRTimes. 「【導入事例公開】オーディオテクニカがコールセンターCRMソフト「inspirX」を導入」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000088.000000699.html, (参照 2024-01-29).
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