イラレの遠近グリッドツールで図形を描画する方法
Illustratorで遠近感のあるイラストを描く際、遠近グリッドツールを活用すると、正確なパース(遠近法)に沿った図形を簡単に配置できます。手動でパースを取る作業は時間がかかり難易度も高いですが、遠近グリッドツールを使えば、初心者でも立体的なイラストを効率的に制作できるでしょう。
図形を描画する方法として、以下の3つがあります。それぞれ遠近グリッドツールの基本操作に関わる重要な手順であり、これらを理解することで遠近感のあるイラストを自由に描けるようになります。
- 遠近グリッドを表示する
- 選択面ウィジェットで描画面を切り替える
- グリッドに沿って図形を配置する
各手順について、詳しく解説していきます。
遠近グリッドを表示する
遠近グリッドツールを選択すると、アートボード上に遠近法に基づいたグリッド線が表示されます。このグリッドは消失点と呼ばれる点から放射状に伸びる線で構成されており、この線に沿って図形を配置することでパースの効いたイラストを描くことができます。
遠近グリッドを表示する方法は以下の通りです。
| 表示方法 | 操作手順 |
|---|---|
| ツールパネルから選択 | ツールパネルの遠近グリッドツールをクリック 自由変形ツールとグラデーションツールの間に配置されている |
| ショートカットキー | Shift + P キーを押す WindowsでもMacでも共通 |
| メニューから選択 | 表示メニュー → 遠近グリッド → 二点遠近法 → 2P標準ビューを選択 |
グリッドが表示されたら、各部分のハンドルをドラッグすることで、グリッドの角度や消失点の位置を調整できます。円形や菱形のマークをドラッグして、描きたいイラストに合わせてグリッドのサイズや形状を自由に変更しましょう。
遠近グリッドを非表示にする方法も知っておくと便利です。誤って表示してしまった場合や作業を終えた際に、以下の方法でグリッドを隠すことができます。
| 非表示方法 | 操作手順 |
|---|---|
| メニューから非表示 | 表示メニュー → 遠近グリッド → グリッドを隠すを選択 |
| ウィジェットから非表示 | 遠近グリッドツールを選択した状態で選択面ウィジェットの×をクリック |
| ショートカットキー | Shift + Command + I(Mac) Shift + Ctrl + I(Windows) |
| Escキー | Escキーを押す |
選択面ウィジェットで描画面を切り替える
遠近グリッドツールでは、左面、右面、水平面という3つの面のいずれかを選択して図形を描画します。選択面ウィジェットは画面左上に表示される立方体のアイコンで、このウィジェット上でクリックすることによって描画する面を切り替えることができます。
選択面ウィジェットの使い方は以下の通りです。
| 選択面 | グリッドの色 | 切り替え方法 |
|---|---|---|
| 左面グリッド | 青色(ブルー) | ウィジェットの左側面をクリック ショートカットキー: 1 |
| 右面グリッド | オレンジ色 | ウィジェットの右側面をクリック ショートカットキー: 3 |
| 水平面グリッド | 緑色(グリーン) | ウィジェットの上面をクリック ショートカットキー: 2 |
| 三面以外 | グレー | ウィジェットのグレー部分をクリック ショートカットキー: 4 遠近グリッドに依存しない図形を描画 |
選択した面に応じてグリッドの色が変わり、その面に沿った図形を描画できるようになります。作業中に面を切り替える場合は、ショートカットキーを使うとマウス移動が不要なため効率的に作業できるでしょう。
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グリッドに沿って図形を配置する
遠近グリッドを表示して選択面を決めたら、通常の図形描画ツールを使って図形を配置します。長方形ツールや楕円形ツール、多角形ツールなどでグリッド上に図形を描くと、自動的にグリッドに吸着して遠近感のある形に変形されます。
図形を配置する際のポイントは以下の通りです。
- グリッドにスナップ機能を有効にする
- 選択面ウィジェットで面を選択してから描画する
- 図形は自動的にパースに沿って変形される
- 複数の面に図形を配置して立体物を作成できる
グリッドにスナップ機能を有効にしておくと、図形をより正確にグリッド線に沿って配置できます。この機能を有効にするには、表示メニューから遠近グリッドを選択し、グリッドにスナップにチェックを入れます。
例えば、左面を選択した状態で長方形ツールを使うと、青いグリッド線に沿った長方形が描画されます。次に右面に切り替えて長方形を描けば、オレンジのグリッド線に沿った形状になり、立体的な建物や箱のような形を簡単に作成できるでしょう。
イラレの遠近グリッドで遠近法の種類を選択する方法
遠近グリッドには一点遠近法、二点遠近法、三点遠近法という3種類の遠近法が用意されており、描きたいイラストの構図に応じて使い分けることができます。それぞれの遠近法は消失点の数が異なり、表現できる視点や立体感も大きく変わります。
遠近法の種類として、以下の3つがあります。これらを適切に選択することによって、正面から見た構図、斜めから見た構図、俯瞰や見上げる構図など多様な視点のイラストを描けるようになります。
- 一点遠近法で描画する
- 二点遠近法で描画する
- 三点遠近法で描画する
各遠近法の特徴と使い分けについて、詳しく解説していきます。
一点遠近法で描画する
一点遠近法は、1つの消失点に向かって線が集まる遠近法で、正面から見た構図に適しています。廊下や道路、線路のように奥に向かって続く空間を表現する際に効果的で、観測者の視線が真正面を向いているような印象を与えます。
一点遠近法の特徴は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 消失点の数 | 1つ |
| 適した構図 | 正面から見た構図 奥に向かって遠ざかる表現 |
| 使用例 | 廊下、道路、線路、トンネル内部 部屋の中を正面から見た構図 |
| 選択方法 | 表示メニュー → 遠近グリッド → 一点遠近法 → 1P標準ビュー |
一点遠近法を選択すると、画面中央に1つの消失点が配置され、そこから放射状にグリッド線が伸びます。この構図では左右対称の構成になりやすく、安定感のある画面作りに向いているでしょう。
二点遠近法で描画する
二点遠近法は、2つの消失点を持つ遠近法で、建物の角など斜めから見た構図に最も適しています。建築パースや街並みのイラストでよく使われる遠近法であり、左面と右面が異なる角度で見える立体的な表現が可能になります。
二点遠近法の特徴は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 消失点の数 | 2つ(左右に配置) |
| 適した構図 | 斜めから見た構図 建物の角を見せる表現 |
| 使用例 | 建築パース、街並み、建物の外観 部屋の角から見た室内 |
| 選択方法 | 表示メニュー → 遠近グリッド → 二点遠近法 → 2P標準ビュー |
二点遠近法はデフォルトで表示されるグリッドの種類であり、遠近グリッドツールを最初に選択した際にも自動的にこの形式が表示されます。最も汎用性が高く、建物やインテリアのイラスト制作で頻繁に使用されるでしょう。
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三点遠近法で描画する
三点遠近法は3つの消失点を持つ遠近法で、高層ビルを見上げる構図や俯瞰で見下ろす構図に適しています。上下方向にも奥行きが加わるため、スケール感やダイナミックさを表現したいイラストで効果を発揮します。
三点遠近法の特徴は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 消失点の数 | 3つ(左右と上下) |
| 適した構図 | 俯瞰や見上げる構図 上下方向の奥行きを加えた表現 |
| 使用例 | 高層ビル群、摩天楼 空中からの鳥瞰図 見上げる建築物 |
| 選択方法 | 表示メニュー → 遠近グリッド → 三点遠近法 → 3P標準ビュー |
三点遠近法を選択すると、画面上に3つの消失点が配置され、より複雑な立体感を表現できるようになります。ただし、他の遠近法に比べて調整が難しくなるため、一点遠近法や二点遠近法に慣れてから使用するのが良いでしょう。
イラレの遠近図形選択ツールで図形を編集する方法
遠近グリッド上に配置した図形を編集する際は、遠近図形選択ツールを使用します。通常の選択ツールで図形を移動や拡大縮小するとパースが狂ってしまいますが、遠近図形選択ツールを使えばグリッドに沿った状態を維持しながら、図形を編集できます。
図形を編集する方法として、以下の3つがあります。遠近図形選択ツールを活用することによって、パースを保ったまま図形の配置や大きさを自由に調整できるようになります。
- 遠近グリッド上で図形を移動する
- 遠近グリッド上で図形を拡大縮小する
- 垂直方向に図形を複製する
各編集方法について、詳しく解説していきます。
遠近グリッド上で図形を移動する
遠近図形選択ツールで図形を選択してドラッグすると、グリッドに沿った状態を維持しながら図形を移動できます。このツールを使用することによって、パースが崩れることなく図形の位置を調整でき、建物の窓や装飾要素などを正確に配置できるでしょう。
図形を移動する際の操作方法は以下の通りです。
| 操作 | 手順 |
|---|---|
| ツールの選択 | ツールパネルから遠近図形選択ツールをクリック ショートカットキー: Shift + V |
| 通常の移動 | 図形を選択してドラッグ グリッドに沿って自由に移動できる |
| 軸を固定した移動 | Shiftキーを押しながらドラッグ 水平または垂直方向に移動を制限 |
| 移動中の面切り替え | ドラッグ中に1、2、3キーを押す 移動しながら配置する面を切り替えられる |
遠近図形選択ツールを使用すると、左右および水平のグリッドコントロールが表示されます。図形を移動する際は、どの面に配置されているかを確認しながら作業すると、意図しない面への移動を防げるでしょう。
遠近グリッド上で図形を拡大縮小する
遠近図形選択ツールで図形を選択すると、バウンディングボックスが表示されます。このバウンディングボックスの角や辺をドラッグすることによって、パースを保ったまま図形のサイズを変更できます。
図形を拡大縮小する際のポイントは以下の通りです。
- バウンディングボックスの角をドラッグして比率を保ちながら拡大縮小
- バウンディングボックスの辺をドラッグして縦横どちらか一方のみ拡大縮小
- 拡大縮小は図形が配置された面に基づいて実行される
- 複数の図形を同時に選択して拡大縮小する場合は同じ面上のものに限定される
通常の選択ツールで拡大縮小を行うと、パースの角度が崩れて不自然な形状になってしまいます。必ず遠近図形選択ツールを使用して編集を行うことで、遠近感を維持した状態で図形のサイズ調整ができるでしょう。
垂直方向に図形を複製する
遠近図形選択ツールには、図形を垂直方向に複製する便利な機能があります。この機能を使うと、建物の窓や壁などを平行に配置する際に効率的に作業でき、パース線に沿った正確な複製が可能になります。
垂直方向に図形を複製する方法は以下の通りです。
| 複製方法 | 操作手順 |
|---|---|
| 5キーを使った複製 | 5キーを押しながら図形をドラッグ 現在の位置に対して垂直方向に移動しながら配置 |
| Option/Altキーでコピー | Option(Mac)またはAlt(Windows)を押しながらドラッグ 図形をコピーして配置 |
| 垂直コピー | Option + 5(Mac)またはAlt + 5(Windows)を押しながらドラッグ 垂直方向にコピーして配置 |
| グリッド面ごと移動 | Shiftキーを押しながらグリッド面コントロールをドラッグ 面全体を垂直方向に移動 |
垂直方向への複製機能は、「部屋の壁のような平行オブジェクト」や「建物の複数の階層」を作成する際に特に便利です。5キーを使った垂直移動を活用することで、パースを正確に保ちながら効率的にイラストを制作できるでしょう。
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