tripla株式会社は、CRM・マーケティングオートメーションツール「tripla Connect」に、ホテル内の宿泊やレストラン、イベントなどに点在する顧客データをAIが自動で統合する新機能を搭載しました。
tripla Connectが解決する宿泊施設のデータ分断課題
多くの宿泊施設では、宿泊予約やレストラン利用、ウェディングといった各部門の顧客データが、それぞれ異なるシステムで管理されています。同じ顧客が宿泊とレストランの両方を利用していても、システム上は別人として扱われるため、一人の顧客がホテル全体にどれほど貢献しているかが不明瞭でした。
LTVの正確な算出が困難となり、ロイヤルカスタマーに対して適切なサービスや投資を行う機会を逃してきました。点在するデータを統合する名寄せ作業には膨大な手間を要し、Excelなどを用いた手動管理は事実上不可能な状態です。
tripla ConnectのAIによる自動名寄せと360度ビューの実現
今回搭載された新機能では、宿泊施設がPMS(ホテル管理システム)やPOS(販売時点情報管理システム)のデータを仕様に沿って連携させるだけで、高度なデータ活用が可能です。「tripla Connect」内蔵のAIエンジンが、氏名やメールアドレス、電話番号などから同一人物を判定し、宿泊やレストラン、イベントにまたがる利用履歴を一元化します。
統合されたデータは、全面刷新された「Customer Profileページ」に反映され、顧客一人ひとりの利用履歴を直感的なUIで確認できる仕様です。施設側は、複雑なデータクレンジング作業を行うことなく、ユニークユーザー数と正確なLTVを即座に把握できる設計となっています。
従来ホテルが独自に構築していたDWH(データウェアハウス)や名寄せシステム、データマートなどのデータ基盤の開発が不要です。パートナー企業は、標準仕様に合わせて連携開発を行うだけで、「tripla Connect」が提供する高度な分析基盤を利用できます。
開発コストの削減という点でも、大きな効果が期待できます。汎用的なマーケティングツールでは、データ統合後に要件定義やシナリオ設計に膨大な時間とコストがかかり、使いこなせないケースも散見されました。
「tripla Connect」では、宿泊業界の成功パターンに基づいた施策の活用が可能なため、データ統合からメールやLINEの配信までをワンストップで実行できます。導入したその日から収益向上に向けたマーケティングを開始できる点が、宿泊特化型ツールならではの即戦力性です。
tripla Connectのデータ統合が生み出す3つのマーケティング活用例
新機能によって実現するマーケティング活用の主な例は、以下の3点です。
- 宿泊データとレストランデータの統合による「隠れたVIP」の発掘とアップグレード提案
- OTA予約データと自社会員データの統合による、チェックアウト後のクーポン自動配信と直販化促進
- レストラン利用頻度は高いが宿泊経験のない近隣顧客への、記念日向けプランなど宿泊転換施策
たとえば宿泊はリーズナブルなプランを選ぶ顧客でも、館内レストランで高額利用しているケースを抽出し、次回宿泊時にスイートルームのアップグレードを提案するといった施策が可能です。宿泊単価だけでは見えなかった高額消費顧客を、データの統合によって把握できます。
tripla Connectの概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供企業 | tripla株式会社 |
| サービス名 | tripla Connect |
| カテゴリ | CRM・マーケティングオートメーションツール |
| 主な新機能 | AIによる自動名寄せ・顧客の360度ビュー生成・Customer Profileページ刷新 |
| 連携対象 | PMS(ホテル管理システム)・POS(販売時点情報管理システム) |
| 配信チャネル | メール・LINE |
| 会社設立 | 2015年4月15日 |
| AIチャットボット提供開始 | 2017年1月(tripla Bot) |
| 上場 | 2022年11月(東京証券取引所グロース市場) |
| 資本金 | 8億7,240万円(2026年1月末時点) |
| 本社所在地 | 東京都新宿区西新宿4丁目15−3 住友不動産西新宿ビル3号館 |
| 代表者 | 代表取締役CEO 高橋 和久氏、代表取締役CPO 鳥生 格氏 |
| URL | https://tripla.io/ |
trends編集部の一言
「宿泊はエコノミープランなのに館内レストランでは高額消費している顧客」が可視化されるというのは、データ統合のインパクトを具体的に伝える事例です。マーケティング業界の文脈に置き換えると、チャネルをまたいだ顧客行動を一元把握できないために施策の優先順位や投資判断を誤るケースは業界横断で語られてきたテーマであり、複数の顧客接点データを自動で統合する仕組みは、業界全体の顧客理解プロセスの転換を象徴する動きと読み取れます。
「繋げば、すぐにデータが価値に変わる」という設計思想は、「ツールを導入した後の要件定義コストをどこまで下げられるか」という問いへの一つの回答です。宿泊業界に限らず、複数の顧客接点を持つ業種にとって、同様の課題は共通しているのではないでしょうか。
PMS・POSベンダーとのパートナーシップ拡大を公表している点も注目されます。エコシステムの広がりが、ツール単体の価値をどこまで引き上げるか、今後の動向に注目しておく価値がありそうです。
References
- ^ PR TIMES. 「宿泊・レストラン・イベント利用データをAIが統合。顧客の360度ビューを可視化! | tripla株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000152.000019447.html, (参照 26-05-22).
