銅とダイヤモンドを700℃・5分で焼結 ― 既存装置に後付けでき る「クランプ式超高圧SPS」による複合材料作製の予備検討を、応用物理学会で発表
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- 発表元
- スペースシードホールディングス株式会社
- 配信日時
- 2026年9月30日 20時50分
- 転載日
- 2026年10月5日
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パワー半導体向け放熱材料の低温・短時間作製へ。岡山理科大学 森嘉久教授との共同研究

スペースシードホールディングス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:鈴木健吾、以下「当社」)は、岡山理科大学 理学部の森嘉久教授[肩書・学科を要確認]との共同研究の成果を、第87回応用物理学会秋季学術講演会(2026年9月8日〜11日、北海道大学 札幌キャンパスおよびオンライン)において発表しましたので、お知らせします。
| 学会 | 第87回応用物理学会秋季学術講演会 |
| 会期・会場 | 2026年9月8日〜11日 北海道大学 札幌キャンパス+オンライン |
| 演題 | 超高圧SPSを用いた高Diamond含有Cu複合材料作製の予備検討 |
| 発表者 | 森嘉久(岡山理科大学 理学部、登壇者)、鈴木健吾(スペースシードホールディングス株式会社) |
本リリースのポイント
- GPa級の高圧下で、銅とダイヤモンドを700℃・5分で焼結。 加熱状態の推定圧力2GPa以上(約2万気圧以上)、焼結温度700℃、保持時間5分の条件で、ダイヤモンドを20〜40体積%含む試料について、形状を保持した回収物が得られました。
- 既存のSPS装置に後付けできる装置を使用。 大型の高圧設備を使わず、既存の放電プラズマ焼結(SPS)装置に取り付けるクランプ式の超高圧SPS装置で実験を行いました。
- 今回は予備検討。 評価は外観観察によるものです。今後、組織観察と熱特性の評価を通じて、手法の有効性を検証します。

背景:ダイヤモンドを増やすほど、焼結が難しくなる
銅-ダイヤモンド複合材料は、高い熱伝導率と低い熱膨張率を兼ね備えることから、パワー半導体の実装などに用いる放熱材料として期待されています。ダイヤモンドの含有率を高めることは熱特性の向上に有効ですが、その一方で焼結性が低下することが課題となっています。
これまで、銅-ダイヤモンド複合材料の作製には、ホットプレス、放電プラズマ焼結(SPS)、高圧高温(HTHP)法などが用いられてきました。HTHP法は高ダイヤモンド含有率化に優れる一方で、大型設備を必要とします。SPS法は低温・短時間のプロセスが可能ですが、高ダイヤモンド含有率化に有効とされるGPa級の圧力を導入することは容易ではありませんでした。
森教授らはこれまでに、超高圧SPSを用いることで二酸化ケイ素粉末のガラス化温度がさらに低下することを報告し、GPa級の圧力が焼結・緻密化の挙動に大きな影響を及ぼすことを示してきました。
発表の内容
本研究では、既存のSPS装置に後付けできるクランプ式超高圧SPS装置を用いて、高ダイヤモンド含有の銅-ダイヤモンド複合材料を低温・短時間で作製できる可能性を、予備的に検討しました。
実験方法
原料には、平均粒径約5μmの銅粉末とダイヤモンド粉末を用いました。ダイヤモンド含有率は20、40、60体積%の3水準とし、混合粉末を窒化ホウ素(BN)チューブ内に充填したうえで、クランプ式超高圧SPS装置で焼結しました。クランプ状態の圧力は、ビスマスの電気抵抗変化を用いた室温校正に基づいて評価しています。焼結条件は、加熱状態の推定圧力2GPa以上、加熱速度30℃/分、焼結温度700℃、保持時間5分です。

結果 得られた試料について、外観観察により作製の可能性を評価しました。ダイヤモンド含有率20〜40体積%では、形状を保持した回収物が得られました。60体積%では、形状は保持したものの、表面の摩耗により粉状の脱落が認められました。

これらの結果は、超高圧SPSが、高ダイヤモンド含有の銅-ダイヤモンド複合材料の低温・短時間作製に有効である可能性を示唆しています。また、本装置は既存のSPS装置への後付けが可能であり、高圧材料探索における実験スループットの向上にも寄与すると考えられます。
![[写真1:SPS装置に取り付けたクランプ式超高圧SPS装置の外観]](https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/140650/155/140650-155-075dba69e0b8432274d1ecf34a86cdd6-1086x1340.png?width=1950&height=1350&quality=85%2C65&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff)
![[写真2:ダイヤモンド40体積%の試料。SPS処理前(左)と超高圧SPS処理後(右)]](https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/140650/155/140650-155-eb8cbb5337b44c73b763a1a90cfbaa7d-2050x1090.png?width=1950&height=1350&quality=85%2C65&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff)
今後の展開
今回の発表は、外観観察に基づく予備的な検討です。今後は、組織観察および熱特性評価を通じて、本手法の有効性を検証してまいります。
関連する特許出願
本発表に関連する技術について、当社と森嘉久氏は2026年8月22日に以下の2件を共同で特許出願しています。
| 発明の名称 | 出願番号 |
|---|---|
| 高圧発生装置、高圧焼結装置、高圧焼結ユニット、部品セット及び焼結体の製造方法 | 特願2026-192206 |
| 複合放熱部材の製造方法及び複合放熱部材 | 特願2026-192205 |
当社代表取締役 鈴木健吾のコメント

「パワー半導体の性能を引き出すうえで、熱をいかに逃がすかは避けて通れない課題です。今回の発表はまだ予備的な段階ですが、大型の高圧設備に頼らず、既存の装置に後付けする形でGPa級の高圧下の焼結を試せることを示せました。今後、組織と熱特性の評価を進め、結果を順次報告してまいります。」
参考資料:用語
放電プラズマ焼結(SPS):粉末を加圧しながら直流パルス電流を流し、短時間で焼結する方法。
GPa(ギガパスカル):1GPaは約1万気圧。
高圧高温(HTHP)法:大型の高圧装置を用い、高い圧力と温度のもとで材料を合成・焼結する方法。
クランプ式:加圧した状態をねじなどで締め付けて保持する方式。
体積%(vol%):材料全体の体積に占める割合。
スペースシードホールディングス株式会社について
スペースシードホールディングス株式会社は、「SFをノンフィクションにする」をミッションとして、投資活動、研究活動ならびに事業創出を行う宇宙系ディープテックベンチャービルダーです。宇宙でも地上でも自律的に研究を行うことができる基盤「SpaceAgent」に関わる研究開発をコア事業とし、発酵とロンジェビティー技術の社会実装を支援する「Fermentation and Longevity Fund」プログラムの運用などを通じて、社会課題を解決する事業の創出に取り組んでいます。2040年までに各種ステークホルダーとともに、人類が宇宙空間で居住するのに必要な技術を揃えることを目指しています。





