AI推論モデル提供のネットワーキングのリファレンスアーキテクチャを紹介、推論サーバーのホスト先に合わせて2つから選択可能
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Google Cloudの「AI推論モデル提供のネットワーキング」は、2つのリファレンスアーキテクチャで構成されています。推論サーバーがすべてGKE上にある構成向けの設計と、GKE以外の推論サーバーを含む構成向けの設計です。[1][2][3]
どちらもPrivate Service ConnectエンドポイントをコンシューマーVPC内に置きます。モデルのデプロイは推論呼び出しの入口の背後に公開でき、入口はポリシーやセキュリティを適用する制御ゾーンにもなります。
この記事で解説するのは、2つのリファレンスアーキテクチャの共通点と固有の構成要素、設計を選ぶ際に確かめる推論サーバーのホスト先です。GKE以外も併用する場合の確認点は編集部の整理です。
目次
「AI推論モデル提供のネットワーキング」で入口が担う役割
AI推論モデル提供のネットワーキングでは、モデルのデプロイを、推論呼び出しのフロントエンドとなる、安定し安全で信頼性の高い入口の背後に公開できます。入口が担うのは、フロントエンドに加え、ポリシーやセキュリティ、ロジックを適用する制御ゾーンの役割です。[1]
入口の機能は、Cloud Load balancerにもInference Gatewayにも備わっています。入口のエンドポイントはTLSで安全な接続を終端し、API管理コンポーネントとの統合や、Service ExtensionsとModel Armorによる拡張と保護も可能です。
両方のリファレンス設計に共通する主な構成要素の1つは、コンシューマーVPCネットワーク内の接続点になるPrivate Service Connect推論エンドポイントです。トラフィックはプライベートな内部IPアドレスに届き、推論呼び出しはプライベートネットワーク内にとどまります。
両方のリファレンス設計に共通するもう1つの構成要素は、インラインのAI安全性チェックポイントとなるModel Armorです。Model Armorは、プロンプトや出力をプロンプトインジェクションや機密データ漏えいに対して検査します。
Apigee API Managementは両方のリファレンス設計で任意の構成要素で、Apigee Extension Processorのコールアウトを介して統合されます。その役割は、リクエストが計算資源に届く前のクライアントの本人確認やレート制限、割り当ての適用です。
「AI推論モデル提供のネットワーキング」のリクエストの流れ
クライアントアプリケーションは、Private Service ConnectエンドポイントをOpenAI互換のAPIで呼び出します。リクエストにはプロンプトに加えてモデル名を含め、モデル名はホストされている推論サーバーのいずれかのモデル名と一致させる必要があります。[1][2][3]
サンプル実装のデプロイに使うのは、GitHubにある「AI推論モデルサービングのネットワーキング」のコードサンプルです。付属のTerraformデプロイには、両設計とも基本的なModel Armor構成が含まれています。
llm-dはオープンソースのプロジェクト名です。GKE Inference Gatewayは、Gateway モードで動作するllm-d Routerです。[4]
GKE専用設計のリクエストの流れ
GKE専用設計は共通の構成要素に加え、内部アプリケーションロードバランサ(gke-l7-rilb)としてデプロイするGKE Inference Gatewayを使います。GKE Inference Gatewayは入口エンジンとして、受信したリクエストのペイロードを解析します。
コンシューマーVPC内のクライアントアプリケーションが行うのは、ローカルのPrivate Service ConnectエンドポイントへのOpenAI互換のAPI呼び出しです。その呼び出しは、GKE Inference Gatewayを実装するリージョン内部アプリケーションロードバランサへ直接ルーティングされます。
リクエスト本文で指定された対象モデルのパラメータをHTTPヘッダーに加えるのは、GKE Inference Gatewayです。モデルレプリカセットは、単一ノードまたは複数ノードのGPUまたはTPUノードプールにデプロイした、個々のモデルレプリカ(推論サーバーのインスタンス)の均一なグループです。
Apigeeを使う場合は、Apigeeがクライアントの認証情報やクォータを確認します。続いてModel Armorが、プロンプトのポリシー違反やデータ漏えいを検査する流れです。
推論プールは、同じモデルのレプリカをまとめ、初期サイズと動的な自動スケーリングを構成できる論理グループです。GKE Inference Gatewayは、HTTPRouteのルールを評価してモデル識別子に基づき推論プールを選び、共有プレフィックスキャッシュの文脈も照合します。
転送先は、Prometheusのリアルタイムデータから見て負荷が最も低いGPUまたはTPUのレプリカです。レプリカが推論ワークロードを実行した後の出力トークンは、Model Armorの最終確認を経てプライベート接続でストリーミングされます。
全バックエンド向け設計のリクエストの流れ
全バックエンド向け設計は、GKEやCloud Run、Agent Platform、オンプレミス、外部クラウドなどにまたがりうる環境向けです。Private Service Connectエンドポイントに届いたリクエストは、リージョン内部アプリケーションロードバランサが受け取ります。
このロードバランサは中央のレイヤ7ルーティングプロキシで、SSL終端やService Extensionsのコールアウトも管理します。Inference Payload Processorは、GKE Inference Gatewayの本文ベースのルーティングに似た機能です。
アプリケーションロードバランサで有効にするにはサービス拡張が必要で、ペイロードの送り先はCloud Run上の軽量なコールアウトです。コールアウトはOpenAI APIリクエストのJSON本文からモデル名を取り出し、URLマップのルーティングに使うX-Gateway-Model-Nameヘッダーに書き込みます。
ポリシーと安全性を適用する段階では、Apigeeを使う構成の場合、リクエストはIDとクォータの検証のためにまずApigeeへ渡ります。続いて渡る先は、機密データの除去と悪意あるプロンプトのブロックを担うModel Armorです。
ロードバランサのURLマップが選ぶ転送先は、挿入されたモデル名ヘッダーに一致するバックエンドのネットワークエンドポイントグループ(NEG)です。転送先のバックエンドがプロンプトを実行すると、Model Armorが出力を検査し、結果は入口の経路に沿ってプライベートに返ります。
「AI推論モデル提供のネットワーキング」の製品・要件・料金
両設計とも、VPCやPrivate Service Connect、Cloud Run、Model Armorを使います。Apigee API Managementは、両設計とも任意の構成要素です。[1][2][3]
GKE向けリファレンスアーキテクチャはGKEとGKE Inference Gatewayを使い、全バックエンド向けはCloud Load Balancingを使います。GKE Inference Gatewayに追加料金はなく、料金は使用した基盤のGoogle Cloudリソースに対してのみ発生します。[2][3][4]
全バックエンド向けリファレンスアーキテクチャで確かめる主な条件は、次の通りです。
| 全バックエンド向け設計の条件 | 必要な対応や制限 |
|---|---|
| OpenAI API非互換の推論サーバー | Service ExtensionsでAPIトランスレータの実装が必要 |
| 推論サーバーをCloud Runで実行 | トラフィックに応じて自動スケーリング、単一ノードのレプリカのみ |
| ウェブアプリケーションからAgent Platformのモデルへルーティング | 認証用のIDモデルの選択が必要 |
「AI推論モデル提供のネットワーキング」の設計の選び方
GKE専用設計は、推論サーバーをすべてGKEでホストする場合を対象にしたリファレンスアーキテクチャです。推論サーバーが1つでもGKE以外にある場合は、全バックエンド向け設計が対象になります。[1][2][3]
2つの設計の主な違いを、構成要素の役割ごとにまとめた表は次の通りです。
| 構成要素の役割 | GKE専用設計 | 全バックエンド向け設計 |
|---|---|---|
| 入口 | gke-l7-rilbとしてデプロイするGKE Inference Gateway | 中央のリージョン内部アプリケーションロードバランサ |
| モデル名の読み取り | GKE Inference Gatewayが本文から読み取り | Cloud Run上のInference Payload Processor |
| 振り分け先の選択 | HTTPRouteで推論プールを選択 | URLマップでバックエンドのNEGを選択 |
| バックエンド | GPUまたはTPUノードプール上のレプリカ | Agent PlatformやGKE、Cloud Run、Hybridなど |
GKE以外のバックエンドも併用する可能性がある場合は、全バックエンド向け設計でGKEを1つのバックエンドとして組み込む構成も確かめます。移行後は中央のリージョン内部アプリケーションロードバランサが入口になり、GKEのレプリカはInference Gatewayの背後で単一のバックエンドになります。
出典
- ^ Google Cloud. 「Networking for AI inference model serving - GKE only and for all other backends」. https://cloud.google.com/blog/topics/developers-practitioners/networking-for-ai-inference-model-serving-gke-only-and-for-all-other-backends, (参照 26-10-06).
- ^ Google Cloud. 「GKE での AI 推論モデル提供のネットワーキング」. https://docs.cloud.google.com/architecture/networking-for-ai-inference-gke?hl=ja, (参照 26-10-06).
- ^ Google Cloud. 「すべてのバックエンドでの AI 推論モデル提供のネットワーキング」. https://docs.cloud.google.com/architecture/networking-for-ai-inference?hl=ja, (参照 26-10-06).
- ^ Google Cloud. 「llm-d を搭載した GKE Inference Gateway について」. https://docs.cloud.google.com/kubernetes-engine/docs/concepts/about-gke-inference-gateway?hl=ja, (参照 26-10-06).
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