AWSは、機械学習チップTrainiumとInferentia向けの開発キットAWS Neuronの2.31.0を公開しました。NKIの0.5.0への更新やAmazon EKS向けの新しいオペレーター(パブリックベータ)など、複数の更新が含まれます。
AWS Neuron 2.31.0公開の3行まとめ
まず、今回の発表の要点を3つにまとめました。
- AWS Neuron 2.31.0が公開
- NKI 0.5.0更新とUltraServer Operator(ベータ)を追加
- コンパイラ・ランタイム・カーネルと解析ツールも更新
本記事は公表時点の情報にもとづきます。仕様や提供状況、料金は変わる可能性があります。
導入や利用を判断する際は、各自の責任で公式情報の最新の内容をご確認ください。
設定変更やアップデートを行う場合は、必ず事前にバックアップを取得し、検証環境で確認したうえで実施してください。
AWS Neuron 2.31.0の主な更新点
今回のリリースで加わった更新を、機能領域ごとに整理します。各更新の詳細はAWSの公式発表で確認できます[1]。
NKI 0.5.0がMX FP8と新しいテンソル操作に対応
NKI(Neuron Kernel Interface、Neuron向けに高速化処理を記述するためのインターフェース)が0.5.0へ更新されました。今回は次の3点が加わっています。
- MX FP8(8ビット浮動小数点)のスケール用データ型に対応
- 計算処理でのテンソル間接参照に対応
- レイアウト変換用のNkiTensorビューAPIを追加
テンソル間接参照は、インデックス付きのアクセスパターンで必要な命令数を減らす狙いです。ビューAPIは、データの複製を伴わずにテンソルのレイアウトを変換できます。
Amazon EKS向けUltraServer Operatorをパブリックベータで提供
UltraServer(複数のTrainiumをまとめた大規模な構成)を、Amazon EKS(マネージド型のKubernetesサービス)上で扱うためのNeuron UltraServer Operatorが、パブリックベータとして加わりました。次の作業を自動化します。
- UltraServerの検出
- ワークロードの割り当て
- リソースクレームの生成
対象は、Amazon EKS上のTrainium UltraServerワークロードです。リソースクレームとは、ワークロードが必要とするリソースの割り当て要求を指します。
パブリックベータの段階のため、本番導入の前には検証が欠かせません。
Neuron CompilerとRuntimeの基盤を更新
コンパイラとランタイムでは、性能面と設定面の両方で基盤が見直されました。主な変更は次の2点です。
- Trn2とTrn3で新しいコード生成基盤を既定有効化
- ランタイムが連続共有スクラッチパッドに対応
刷新されたコード生成基盤は、Trn2とTrn3(いずれもTrainium搭載のEC2インスタンス)で既定として有効になり、性能の向上が見込まれます。ランタイムは連続共有スクラッチパッド(デバイス設定に関わる一時的な作業領域)に対応し、スクラッチパッドのページサイズを手動で調整する必要がなくなりました。
NKI Libraryに実験的カーネル14種、Neuron Explorerも強化
NKI Libraryには、実験的な位置づけのカーネルが14種類追加されました。対象は次の処理です。
- MoE(混合エキスパート)学習向けの集団通信
- 変形可能アテンション(deformable attention)
- DeepSeek MLAの射影処理
- リングアテンション(ring attention)
上記は一例です。14種すべての一覧は、公式の発表で確認できます。
これらのカーネルには、PyTorchの参照実装も付属します。Neuron Explorer(実行を解析・デバッグするツール)では、System Trace Viewerからソースコードへのリンクが追加され、ワークロードのデバッグをしやすくするため既定のグルーピングも更新されました。
AWS Neuron 2.31.0の対象と提供状態
今回のリリースは、コンポーネントごとに提供状態が異なります。導入の前に、下記の表でそれぞれの位置づけを確認してください。
| 項目 | 提供状態 |
|---|---|
| AWS Neuron 2.31.0 | 公開済み |
| Neuron UltraServer Operator | パブリックベータ |
| NKI Libraryの新カーネル14種 | 実験的 |
| 新コード生成基盤 | Trn2・Trn3で既定有効 |
提供リージョンは、Amazon EC2のTrn1・Trn2・Trn3・Inf2・Inf1インスタンスが利用できるすべてのAWSリージョンです。
AWS Neuron 2.31.0の概要
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 提供元 | AWS |
| 発表日 | 2026年7月8日 |
| 対象環境 | EC2 Trn1・Trn2・Trn3・Inf2・Inf1インスタンス |
| 主な更新 | NKI 0.5.0・UltraServer Operator・コンパイラ刷新 |
| 提供形態 | SDK更新(コンポーネント別に状態が異なる) |
trends編集部の一言
今回の更新は、AWS独自チップで大規模モデルを扱う開発者に向けた実装寄りの内容が中心です。特にコンパイラ基盤の刷新はTrn2・Trn3での性能向上につながり、NKIのテンソル操作もインデックス付きアクセスで命令数の削減が見込めます。
一方で、UltraServer Operatorはパブリックベータ、新しいカーネル群は実験的な段階にあります。本番へ適用する前に、検証環境での挙動確認とリリースノートの精読が欠かせません。
References
- ^ AWS. 「AWS Neuron 2.31.0 now available with NKI 0.5.0 and UltraServer Operator」. https://aws.amazon.com/about-aws/whats-new/2026/07/aws-announce-neuron-2-31-0, (参照 2026-07-10).
※本記事は公式発表を基に編集しています。内容はAIで確認していますが、誤りや最新情報との差異がある場合はコメントよりご報告ください。
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