【時間がない人向け】記事の要約
- パーソルがGPT-4oを国内先行導入
- 社内専用GPTの利用率が66％超え
- プロンプトギャラリーに280件以上掲載
- 今後マルチモーダルAI機能を追加予定
パーソルホールディングスのAI活用戦略
パーソルホールディングスはAIの活用を通じて業務効率化を推進しており、同社は社内専用GPTである「PERSOL Chat Assistant」にGPT-4oを国内で先行導入した。約19,000人の社員に展開することで、企業全体のDXを加速させている。[1]
「PERSOL Chat Assistant」の特筆すべき機能として、プロンプトギャラリーが挙げられる。このギャラリーには280件以上のプロンプトが掲載されており、社員同士で効果的な活用事例を共有できる仕組みが整っているとのこと。例えば、オンライン会議の文字起こしから議事録を作成するプロンプトや過去の商談記録から次の提案資料の骨子を作成するプロンプトなど、実務に直結する多様なテンプレートが用意されている。
GPT-4oの導入によって、上記のようなプロンプトの精度が格段に向上し、それに伴って業務効率が飛躍的に向上するだろう。日本では社内でAIを使っていない企業が多数存在するので、今後パーソールホールディングのような企業が増えることを期待したい。
GPT-4oとは何か
GPT-4oとは、OpenAIが開発した大規模言語モデルの最新バージョンである。このモデルは従来のGPT-4と比較して、より高速な処理能力と拡張された入力トークン数を特徴としている。GPT-4oの「o」は「online」の略であり、常に最新の情報にアクセスできることを示唆している。このモデルは2023年10月までのデータで学習されており、最新の知識や情報を反映した回答を提供することが可能だ。
GPT-4oの主な利点は入力データを安全な環境で管理できる点にあり、企業の機密情報を扱う上で極めて重要な特性だ。また、入力できるトークン数がGPT-4の4倍、GPT-3.5の8倍に拡張されたことで、より長文の入力や複雑な指示にも対応可能となった。その結果、ユーザーはより詳細な情報や複雑な要求をAIに伝えることができ、結果として回答の精度と有用性が大幅に向上している。
GPT-4oの導入により、従来のAIモデルでは難しかった高度なタスクの自動化などを実現できる。例えば、大量の文書からの情報抽出や複雑なデータ分析、高度な文章生成などが可能となり、ビジネスプロセスの効率化やサービス開発に大きく貢献するだろう。さらに、GPT-4oは多言語対応や文脈理解の能力も向上しており、グローバルビジネスにおけるコミュニケーションの壁を低減する効果も期待されている。
パーソルホールディングスの今後のAI展開
パーソルホールディングスはGPT-4oの導入を皮切りに、「PERSOL Chat Assistant」をマルチモーダルAIとして機能拡張する予定のようだ。機能が拡張されることによって、社内情報の検索や画像生成など幅広い業務領域でAIを活用できるようになる。
例えば、会議の音声データから自動で議事録を作成し、関連する画像や図表を適切に挿入するといった高度な業務支援が可能となる。また、社内ドキュメントの視覚的な要素を含めた総合的な検索や分析も実現できるため、情報の有効活用が飛躍的に向上すると予想される。
trends編集部「K」の一言
パーソルホールディングスによるGPT-4oの導入は、企業のAI活用における先進的な事例として注目に値する。今後期待される新機能として、AIによる業務プロセスの自動最適化や個々の社員の業務スタイルに適応するパーソナライズド機能などが挙げられるだろう。
また、AIと人間の協働をさらに促進するため、インターフェースの改善も重要だと言える。例えば、音声認識技術との統合によって、自然な対話形式でAIを活用できるようになれば、利用率のさらなる向上が見込めるだろう。
このようなAIシステムの導入はバックエンドからフロントエンドまでを包括的に考慮する必要があり、「大量のデータを安全に処理しリアルタイムでレスポンスを返すためのインフラ設計」や「ユーザーフレンドリーなインターフェースの開発」が特に重要になる。また、AIモデルの継続的な学習や更新を効率的に行うためのパイプラインの構築も不可欠だろう。
今回のような取り組みの恩恵は、業務効率を向上させたい社員や新しい技術を積極的に活用したい若手社員に大きいと考えられる。一方、AIの導入により従来の業務プロセスが大きく変わることへの不安、AIに仕事を奪われるのではないかという懸念を抱く社員もいるかもしれない。従って、社内にAIを導入する際は全ての社員にとってポジティブな変化をもたらすよう、丁寧なコミュニケーションと教育が求められるだろう。
