AIを使ったWeb開発に携わっている人の多くが、Boltやv0、GPT-Engineerと いうAIツールについて耳にしたことがあるのではないでしょうか。
これらのAIツールは自然言語による指示を元にコードを生成し、実際のUIをプレビュー画面で表示できるのが特徴。JavaScriptのフレームワークをメイン機能としており、フロントエンド業界を騒がせています。
そこで今回はAIツールであるBolt・v0・GPT-Engineerそれぞれの違いを徹底比較しました。
開発環境の違いや用途別にお勧めのツールを解説しているので、これらのAIツールをどのように使い分ければよいのか迷っている方はぜひ参考にしてみて下さい。
Bolt・GPT Engineer・v0それぞれの特徴を比較
Boltとは
Boltは自然言語で指示するだけでAIがコードを生成し、アプリケーションやWebサイトを簡単に開発できるプラットフォームです。
ReactとTypeScriptを使用したフロントエンド環境がメインであり、作りたい内容をテキストで指定することで最適なコード生成し、プレビュー画面でUIを表示できます。
たとえばユーザーが「電卓を作って」などと指示を出すと必要なファイル構造やコードが自動生成され、プレビュー画面で実際の動作を確認できます。
このようにプログラミングの知識がなくても、短時間でアプリやWebサービスを作成・公開できる点が特徴です。
v0とは
v0はテキストベースのプロンプトを入力するだけで、WebページのUIデザインとそのコードを自動生成できるAIツールです。Vercelが提供しており2023年12月にベータ版、2024年7月に正式版がリリースされました。
このツールはAIとの対話を通してUIのプレビュー画面とコードを同時に生成できるため、デザインのたたき台を素早く作成できます。
Next.jsやReactの最新バージョンに対応し、Tailwind CSSやshadcn/uiといったモダンな技術スタックを採用。フローチャートやスライドショーなどのコンテンツも生成可能です。
ReactやNext.jsをベースとしたWebフロントエンドのUIデザインとコード生成に特化しており、さまざまなシーンで活用できる柔軟なAIツールです。
GPT Engineerとは
GPT Engineerは自然言語でコードとUIを生成できる、ReactベースのAI開発支援ツールです。SNSやメールアドレスでのアカウント登録のみで利用でき、誰でも手軽にアプリ開発を始められるのが特徴です。
このツールはJavaScript・Reactをベースとしており、新規のコード生成に加えて既存コードの修正や機能追加も可能。たとえばアプリのアイデアを入力すれば短時間でプロトタイプを生成できるため、エンジニアでなくてもアイデア検証やデモ作成が迅速に行えます。
Bolt・v0・GPT Engineerの開発環境を比較
Bolt・v0・GPT Engineerのいずれも、幅広いプログラミング言語やフレームワークに対応しています。今回はその中でも各AIツールごとにメインの開発環境を比較しました。
AIツールごとに得意とする環境を選ぶことで、より精度の高いコード生成やソフトウェア開発を実現できるでしょう。
AIツール名 | 基本環境 | 開発サーバー | フロントエンドフレームワーク | 開発機能 | データフェッチング/状態管理 | アイコンライブラリ | データベース | バックエンド | API統合 | レンダリング | 制限事項 | パッケージ管理 |
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Bolt |
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CSR、SSR (フレームワーク依存) |
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v0 |
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Lucide React | 外部データベース連携可能 |
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GPT Engineer | TypeScript | Vite開発サーバー | React |
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Tanstack Query | Lucide React | インメモリDB (Flask API管理) | Flaskフレームワーク | REST API | CSR | カスタムドメインなし | npm |
Boltはさまざまなフレームワークに対応しており、柔軟に開発できるのが魅力です。注意点として、ネイティブバイナリの実行やコンパイラが使えないため、特に重い処理が求められるときはほかの選択肢が必要かもしれません。
v0はNext.jsの最新機能を活用でき、データのプリフェッチや最適化が容易です。ただしファイル数や外部リソースに制限があるため、大規模なアプリケーションの開発には慎重な設計が求められます。
GPT EngineerはPythonのFlaskを使ったシンプルなバックエンド構成が可能で、小規模なアプリケーションには適しています。しかしインメモリDBを採用し、カスタムドメインが使えない点から長期的なデータ保存や拡張性を重視する場合には不向きです。
このように各ツールごとの開発環境が異なることから、得意なことや不得意なことが異なります。そのため各ツールの特徴や開発環境を元に使い分けることがおすすめです。
Bolt・GPT Engineer・v0の料金プランを比較
Bolt・GPT Engineer・v0それぞれでの料金プランは下記の通りです。
プラン名 | 無料プラン | Pro・プレミアムプラン | チーム/企業プラン |
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Bolt |
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v0 |
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GPT Engineer |
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各サービスとも無料プランで基本的な機能を試用できるため、導入前のテストとして利用できるのが特徴。ただしBoltやv0は機能や使用量に制約がある点に注意が必要です。
有料プランにおいて最も安いのはBoltです。有料プランを使うことでAPIアクセスやクレジットの追加など用途に合わせて拡張できるため、開発の目的や頻度に応じてツールを選ぶことでコスト効率を高められます。
利用シーンごとの最適なAIツールを紹介
利用シーンごとに最適なAIツールを以下にまとめました。
フロントエンドのリアルタイム開発 |
おすすめツール:Bolt 理由: ブラウザ内でNode.jsが動作し、ReactやVueに対応。高速HMRにより即時反映されるため、プロトタイピングに最適です。 |
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SSR/SSG対応のフルスタック開発 |
おすすめツール:v0 理由: Next.jsベースでSSRとSSGに対応し、サーバーレス関数も組み込めるため、柔軟なバックエンド環境に最適です。 |
小規模アプリのバックエンド開発 |
おすすめツール:GPT Engineer 理由: Flaskを利用したシンプルなバックエンドとインメモリデータベースで、小規模アプリに適しています。 |
外部サービス統合アプリ |
おすすめツール:v0 理由: Next.jsのAPI Routesでサーバーレス機能が使え、外部サービスと簡単に統合できます。 |
クライアントサイドレンダリング |
おすすめツール:Bolt、GPT Engineer 理由: ブラウザ上で処理が完結し、軽量なインタラクティブUIの開発に最適です。 |
大規模なWebアプリ |
おすすめツール:v0 理由: ReactとNext.jsを活用した高度な開発ができ、大規模なアプリや動的サイトに適しています。 |
上記のように目的に応じて最適なAIツールを選択することで、効率的な開発が可能です。