10月に開催予定のVue Fes Japan 2024。本イベントに登壇予定のフューチャーアーキテクト株式会社の永井氏に、Vue.js開発者育成の秘訣や自身のキャリア、そして同社での研修事例についてお話を伺いました。
スピーカー
Future Value Group (FVG)
シニアコンサルタント / 2024年4月新人研修リーダー
Vue Fes Japan 2024への登壇背景と期待
ー今回のVue Fes Japan 2024への登壇が決まった経緯と、どのようなメッセージを参加者の方に伝えたいとお考えでしょうか?
フューチャーアーキテクト株式会社 Future Value Group (FVG) シニアコンサルタント / 2024年4月新人研修リーダー永井 優斗 氏:フューチャーアーキテクト株式会社(以下、当社)は2019年頃からVue Fes Japanに継続的にスポンサーとして参加しています。私自身、昨年はVue Fes Japanの運営側にボランティアスタッフとして参加しましたが、今年は登壇することになりました。
正直なところ、最初は「マジか」と驚きましたが、エンタープライズ向けの開発を行う当社がVue.jsというモダンな開発を行っていることをアピールする良い機会だと考えています。
「IT未経験者をVue.js開発できるITコンサルタントに育て上げる秘訣」というテーマで話をさせていただく予定です。Vue Fes Japanに参加者される方は経験者が多いと思いますが、教育に携わることがある方々に当社での取り組みを共有できればと思います。
IT未経験者からVue.js開発者へ - 研修の変遷と成果
ー永井さんご自身も文系出身で、プログラミング未経験から始められたそうですね。当時の研修と現在の研修を比較して、どのような変化がありましたか?
永井:私が入社した2017年当時は、JavaとSQLの基礎的な内容が中心でした。正直、最初はついていくのが難しく、つまずくことも多かったです。当時は入社前の事前学習プログラムもなく、いきなり研修が始まる形でした。
現在はコードキャンプが企業向けに提供している研修プログラムを活用し、入社前から学習を始められるようになっています。また、Vue.jsを含むフロントエンド開発の内容も充実しています。
特に良いと感じているのは、カリキュラムがWebベースのテキストを使用していることで、常に最新の内容を学べる環境が整っています。今回の研修でも要望を伝えた後、フィードバックをすぐに反映していただけたので大変助かりました。
エンタープライズ向け開発におけるVue.jsの活用
ーフューチャーアーキテクト株式会社でのVue.js活用事例について教えていただけますか?
永井:当社では2019年頃からVue.jsを本格的に導入し始めました。フロントエンドにVue.js、バックエンドににSpringBootを使用する構成が、現在の当社の標準的な開発スタイルになっています。
Vue.jsの良さは、フロントエンドのレスポンスの速さです。お客様に画面をお見せした際に、「すごくいいね」と言っていただけることが多いですね。
また、Vue.jsのコンポーネント化の特性を活かし、当社独自の標準フレームワークも開発しています。これにより新しい要素を取り入れつつも、お客様にとって使い慣れた操作感の画面も提供できるなど、柔軟な対応が可能になっています。
新人教育のポイントとつまずきやすい箇所
ーVue.jsを学ぶ上で、新人がつまずきやすいポイントはどこでしょうか?
永井:データの受け渡しの概念は多くの新人がつまずく部分です。私自身も学習時に「ん?」と思うことがありました。
ただ、これは慣れるしかないというのが正直なところです。新人には「我慢してもう少し読み進めよう」と言っています。目の前のものが理解できないと前に進めない受講者が多いのですが、時には全体像を掴むために先に進み、後から振り返ることも大切だと伝えています。
研修プログラムの進化と新たな取り組み
ー現在のフューチャーアーキテクトの新入社員研修プログラム(BePro)について、特徴的な点や最近改善された点はありますか? その中でコードキャンプが提供する研修はどのように位置づけられていますか?
永井:フューチャーアーキテクトの新入社員研修プログラム(BePro)は、近年かなり進化しています。特に今年4月からは、新たにタスクフォースを導入しました。これは新人たちが自発的に組織したもので、研修運営側とのコミュニケーションをスムーズにする役割を果たしています。
BeProの中で、コードキャンプには主にIT技術研修の部分を担当していただいています。コードキャンプの研修はグループレッスンとマンツーマンレッスンの2種類を提供し、充実した教材も用意されており、技術習得の面で大きな効果を上げています。
さらに現場のエンジニアがソースコードのレビューやプレゼンテーションなど、様々な形で研修に関わっています。また、労務面ではHR部門のサポート、メンタル面ではカウンセラーとの連携など、総合的なサポート体制を構築しています。
コードキャンプの提供する質の高いIT研修と、フューチャーアーキテクト独自のサポート体制を組み合わせることで、新入社員が研修に専念できる環境が整っていると感じています。
継続的な学習と自己成長の重要性
ー永井さんご自身、様々な言語やフレームワークを学んでこられたそうですね。その経験から、効果的な学習方法についてアドバイスはありますか?
永井:私の場合、新しい言語やフレームワークを学ぶ際は、まず薄い入門書を購入して全体像を把握することから始めます。詳細にこだわりすぎず、まずは全体を通して読むことが重要です。
また、既存のプロジェクトのソースコードを読むことも非常に勉強になります。実際のプロジェクトに参加する前に、関連する技術の基礎を学んでおくことで、スムーズに参加できます。
当社の文化として、クライアントのニーズに合わせて最適な技術を選択し、それに応じて新しい技術を学ぶという姿勢があります。この柔軟性と学習意欲が、エンジニアとしての成長に大きく貢献していると考えています。
品質へのこだわりとエンジニアとしての成長
ーエンジニアとしてのキャリアを通じて、特に重要だと感じたことは何でしょうか?
永井:品質へのこだわりが非常に重要だと感じています。特に、設計段階から高品質を意識することが大切です。これは実際に失敗を経験することで、より深く理解できるものだと思います。
当社は要件定義からグランドデザイン、開発、運用まで一気通貫で行うため、各フェーズでの経験が次のプロジェクトに活かせます。例えば、開発で苦労した経験が次の設計をより良いものにするヒントになるのです。
このような経験の積み重ねが、エンジニアとしての成長につながると考えています。新人エンジニアには、小さな失敗も含めて様々な経験を積んでほしいと思っています。
技術キャッチアップとコミュニティの重要性
ー新しい技術やトレンドをキャッチアップする上で、大切にしていることはありますか?
永井:メディアやSNSでの情報収集はもちろん大切ですが、それ以上に技術コミュニティへの参加が重要だと考えています。
当社ではコアテクノロジーチームが常に最新技術をウォッチしており、導入実績のあるもの、選択肢として考えられるもの、将来有望なものなどを整理しています。
これらの情報を社内で共有し、各プロジェクトのアーキテクチャ検討会で活用しています。顧客目線と技術目線の両方から議論することで、最適な技術選択ができるようにしています。
ーフューチャー内での知識共有の仕組みについて、もう少し詳しく教えていただけますか?
永井:当社では技術ブログ以外にも、社内での知識共有に力を入れています。例えば、Vue.jsコアメンバーの社員が社内向けの教育コンテンツを共有しています。また、社内版のQiitaのような知識共有プラットフォームを運用しており、フューチャー技術ブログでの外部向けアウトプットも積極的に行っています。
これらのプラットフォームでは、エンジニアが自由に技術記事を投稿し、互いにコメントやフィードバックを行えます。新しい技術やベストプラクティス、トラブルシューティングの経験など、様々な情報が日々蓄積されています。
全員ということではないですが、弊社のエンジニアたちは自発的に知識を共有し始め、それが会社全体の文化として根付いています。今では新しいプロジェクトを始める際や、技術的な課題に直面した時に、まず社内ナレッジベースを参照することが習慣になっています。
ただ課題もあり、必要な情報へのアクセスが難しくなってきています。特に新入社員や中途入社の方々にとっては、どこに何があるのかを把握するのが難しい場合があるので、この点は今後改善していく必要があると認識しています。
Vue.jsの未来と技術者としてのビジョン
ーVue.jsの今後の展望についてどのようにお考えですか?
永井:Vue.jsを取り巻く環境、例えばViteなどのツールが非常に成熟してきていると感じています。また、Vue.js 3になってからJavaScriptやTypeScriptとの親和性も高まり、より使いやすくなっています。
個人的にはTypeScriptが好きで、TSKaigiという別のカンファレンスの運営スタッフも務めています。Vue.jsとTypeScriptの親和性が上がったことで、より楽しく開発できるようになったと思います。
Vue Fes Japan 2024への期待とメッセージ
ー最後に、Vue Fes Japan 2024の参加を考えている方へメッセージをお願いします。
永井:このVue Fes Japan 2024のコミュニティは非常に良い雰囲気だと感じています。参加者の皆さんが熱心に関わってくださり、キャリアについてもざっくばらんに相談できる環境があります。
Vue Fes Japan 2024は10月19日に開催予定です。ぜひ多くの方に参加していただき、様々な人とコミュニケーションを取ってほしいと思います。懇親会などのイベントもありますので、チケットを購入の上、ぜひご参加ください。
技術の学習や成長にはコミュニティへの参加が非常に重要です。Vue Fes Japanを通じて新しい気づきや刺激を得ていただければ幸いです。
ー貴重なお話をありがとうございました。御社の充実した研修体制や技術への取り組み、そしてVue.jsの可能性について、大変参考になりました。Vue Fes Japan 2024での永井さんの登壇が今から楽しみです。このイベントを通じて、多くのエンジニアが刺激を受け、成長のきっかけを得られることを願っています。
Vue Fes Japan 2024 概要
イベント名 |
Vue Fes Japan 2024 |
---|---|
開催日時 | 2024年10月19日(土) |
イベントURL | |
参加チケット |
*1:早割は9月8日(日)24:00までとなります。 チケット詳細を見る |
ハイライト |
|
お問い合わせ | 詳細やチケット購入については、公式ウェブサイトをご覧ください。 |
アフタートーク
インタビュー終了後、永井さんとの会話の中で、エンジニアとしての一面だけでなく、興味深い個人的な側面も垣間見ることができました。
ー本日は貴重なお話をありがとうございました。文系出身から Vue Fes Japan の登壇者になるまでの道のりは、御社の文化があるとはいえ、並々ならぬ努力があったのではないでしょうか。
永井:ありがとうございます。新しい言語を学ぶコツとしては、まず本屋さんで薄い入門書を買うことですね。全体像を把握することが重要で、詳細にこだわりすぎずに「ふーん、こんな感じか」という理解から始めます。
ーなるほど、全体像を掴むことから始めるんですね。他に大切なことはありますか?
永井:はい、もう一つ重要なのは、常にキャッチアップしているメンバーの近くにいることです。そういう習慣がある人たちと一緒にいると、刺激を受けて「自分もやらなきゃ」という気持ちになります。
ー刺激は本当に大切ですよね。ところで、永井さんは技術以外にも面白い資格をお持ちだと聞きました。日本バーベキュー協会認定のバーベキューインストラクターとか?
永井:(笑)そうなんです。実は御社のFさんと仲良くさせていただいていて、Fさんのお子さんたちとよくバーベキューをしています。
ーそれは楽しそうですね!もし良ければ、Vue Fes Japanが落ち着いた後に、私たちも一緒にバーベキューなどいかがでしょうか?
永井:ぜひぜひ!技術の話だけでなく、美味しい食事を囲んでざっくばらんに話せるのも楽しみですね。
このようなアフタートークを通じて、永井さんの技術者としての一面だけでなく、バーベキューを楽しむ姿や同僚との交流を大切にする人間味溢れる側面も垣間見ることができました。エンジニアとしてのスキルアップと同時に、人としての豊かさを追求する永井さんの姿勢は、多くの技術者にとって良いロールモデルとなるのではないでしょうか。
Vue Fes Japan 2024での永井さんの登壇が、技術的な知見だけでなく、エンジニアとしての生き方や楽しみ方についても示唆に富むものになることを期待しています。
▼フューチャーアーキテクト株式会社が導入しているIT研修
「フューチャーアーキテクト株式会社」PROFILE
会社名 |
フューチャーアーキテクト株式会社 |
---|---|
企業概要 |
WEBhttps://www.future.co.jp/architect/ フューチャーアーキテクトは、ビジネスの本質を理解し、最新テクノロジーを駆使したITイノベーションをつうじてお客様の未来に新たな価値を創造することをミッションとしています。企業経営にとって経営戦略、戦略に基づいた業務、業務を推進する情報システムは、いまや切り離すことはできません。経営戦略をシステムに具現化し、業務推進に貢献する戦略的なシステムを提供することで企業価値の最大化を図り、社会にイノベーションを起こしていきます。 |