地方自治体におけるDX推進の課題
地方自治体におけるDX推進の課題は次の通りです。
- 労働人口の減少
- 予算と人材の不足
- 根強い紙文化と世代間の技術格差
これらの内容について詳しく解説します。
労働人口の減少とデジタル化の必要性
少子高齢化が進む中、地方自治体では労働人口の減少が顕著です。総務省の「地方公務員数の状況」[1]によると、地方公共団体の職員数は対前年比だと2068人減少していることがわかりました。
このような背景から、テレワークやオンラインで行政手続きを実施できるデジタルツールの必要性が高まっています。
デジタル化により人との接触を減らすことで業務の効率化を図ることが可能。行政サービスの質の向上と業務の効率化は、DXを進める上で重要な目的です。
予算と人材の不足
小規模な自治体で見られるのが予算とデジタル人材の不足です。これらが不足するとDXのプロジェクトを進めることができません。
この問題を解決するためには総務省の支援を受けることや、民間企業との連携を図ることが必要です。
根強い紙文化と世代間の技術格差
紙ベースの手続きや記録が多いことは、デジタル化の障害となっています。例えば書類のデジタル化に抵抗感を持つ高齢の職員が多い環境だと、デジタル化に関する発案が通りづらくなる可能性があります。
このように紙文化と世代間の技術格差を埋めるためには、全職員が参加するデジタルツールの研修を定期的に開催し、理解と利便性を高めることが必要です。
また、若手職員とベテラン職員が一緒になってプロジェクトを進めることで、組織全体のデジタル化を促進する体制を構築することが推奨されます。
地方自治体におけるDXの課題を解決するには
地方自治体におけるDX推進の課題を解決する手段は下記の通りです。
- デジタル人材の確保と育成
- デジタル化の初期段階からの推進
- 成功事例の参考と活用
- 補助金の活用
これらの解決策について具体例を用いて詳しく解説します。
デジタル人材の確保と育成
地方自治体でDXを推進するためには、デジタル人材の確保と育成が不可欠です。具体的には人材の採用や職員の継続的な研修を通じて、デジタルスキルを向上させる取り組みが含まれます。
例えば情報系の大学を卒業している人材を採用したり、DXやIT研修を提供している企業を活用して既存職員へリスキリングの機会を提供することが効果的です。
DX人材の確保は予算面でハードルが高い可能性があります。そのため採用に関してはITに明るい人材に焦点を当て、DXに関してはリスキリングという形で職員を教育する方法が適していると考えられます。
「CodeCamp」が提供するDX・IT研修の事例
デジタル化の初期段階からの推進
デジタル化が遅れている自治体では、基本的なデジタル化から始めることがおすすめです。ペーパーレス化やオンライン窓口の整備など、アナログの手続きをデジタル化する初期段階の取り組みがDXの土台を築きます。
これにより業務効率化を図りつつ、市民の利便性を向上させられます。デジタル化による効果を実感することで、DX推進の必要性を理解しやすくなる可能性があります。
成功事例の参考と活用
ほかの自治体が実施した成功事例を学ぶことで、DX推進の魅力や実施する意義について理解できます。
成功事例の共有は自治体間でのネットワーキングを促進し、具体的なデジタルツールの選定や実装のモデルとして機能します。例えば総務省が推進するデジタル化プロジェクトの事例を参照することが効果的です。
補助金の活用
DX推進のために資金を集める方法として補助金の活用が有効です。地方自治体は総務省や関連省庁から提供される、デジタル化支援の補助金を活用することが推奨されます。
これにより財政的な負担を軽減しつつ、デジタル化の初期投資を進められます。また、ふるさと納税を活用して特定のデジタルプロジェクトに資金を誘導することもひとつの方法です。

References
- ^ 総務省. 「地方公務員数の状況」. https://www.soumu.go.jp/iken/kazu.html, (参照 2024-04-17).