近年サイバー攻撃の巧妙化が進んでおり、攻撃者は企業のデータや機密情報を常に狙っております。企業はサイバー攻撃を防ぐためにセキュリティ対策を実施していますが、それでも被害が発生するのはなぜなのでしょうか?
本記事では近年のサイバー攻撃によるリスクや完全に防止できない理由、もし情報が漏洩したときにやるべきことについて解説します。
近年のサイバー攻撃によるリスク
近年ではサイバー攻撃がますます巧妙化しており、企業の情報セキュリティに大きな課題をもたらしています。具体的には以下のようなリスクが顕著です。
フィッシング詐欺の増加
メールやメッセージを装って個人情報を詐取しようとする手口が巧妙化しています。
特に標的型フィッシング攻撃は、特定の個人や企業を狙うことで成功率が高まっています。
ランサムウェアの拡散
感染するとシステムを暗号化し、復元のために身代金を要求するランサムウェア攻撃が急増しています。
これにより企業の業務が一時的に停止し、多大な損害を被るリスクが増大しています。
システム脆弱性の悪用
攻撃者は新たに発見されたシステムの脆弱性を迅速に悪用し、不正アクセスや情報漏洩を引き起こしています。
特にゼロデイ攻撃ではパッチが適用される前に脆弱性を利用されるため、迅速な対応が求められます。
これらのリスクに対応するためには、社内のセキュリティ対策の強化が不可欠です。具体的には定期的なシステムのアップデートやセキュリティ意識の向上、フィッシング対策やバックアップ体制の整備が求められます。
企業へのサイバー攻撃による被害の増加
サイバー攻撃の手口は巧妙化しており、被害をを受けた企業も多数存在します。直近の例だと、株式会社KADOKAWAがサイバー攻撃の一種であるランサムウェアの被害に遭いました。
結果としてKADOKAWAの内部情報や提供するサービス利用者の情報を含む、合計25万4,241人の情報漏洩が発覚しています。[1]
このように企業がサイバー攻撃を受けて個人情報が漏洩する可能性があるため、被害を最小限に抑えるためにも個人単位での対策が必要です。
サイバー攻撃は防げないのか
サイバー攻撃の手口は年々進化し続けており、企業が高度なセキュリティ対策を講じても完全に防ぐことが難しいのが現状です。対策を困難にさせている具体例として、標的型攻撃やゼロデイ攻撃が挙げられます。
標的型攻撃
標的型攻撃とは特定のターゲットを狙い、専用のウイルスを作成して攻撃する方法です。このウイルスは特定のターゲットにのみ送られるのでセキュリティソフトがサンプルを入手しにくく、検出するのが難しくなります。
たとえば一般的な詐欺メールは「当選しました!」のように多くの人に一斉送信され、セキュリティソフトが容易にブロックできます。一方、狙い撃ちのフィッシング詐欺は特定の人物に合わせた内容や文体で作成されるため、通常のフィルターでは検出が難しく発見されにくいのです。
さらに、攻撃者は事前にセキュリティソフトで検出されないことを確認してから攻撃を仕掛けるため、通常の防御では対処が困難です。
上記のように標的型攻撃は特定企業に最適化したウイルスを作って攻撃するため、セキュリティ対策が難しくなります。
ゼロデイ攻撃の脅威
ゼロデイ攻撃とはソフトウェアの脆弱性が発見される前に、攻撃者がそれを悪用する手法です。この場合、パッチや更新プログラムが提供される前に攻撃が行われるため、従来の対策では防ぐことができません。
ゼロデイ攻撃は地震に例えられます。地震は突然発生するので予知が難しいため、事前に建物やインフラの強化ができていなければ被害が大きくなります。同様にゼロデイ攻撃ではソフトウェアの脆弱性が発見される前に攻撃が行われるため、事前の対策が不十分だと被害が拡大します。
攻撃者が新たな脆弱性を見つけて利用することで迅速な対応が求められますが、その間に被害が拡大するのもゼロデイ攻撃の特徴でありリスクです。
個人情報が漏洩したときに考えられる二次被害
個人情報が漏洩した場合、漏洩した情報が悪用されるリスクが高まります。この情報はダークウェブや不正なオンラインマーケットなど、第三者が容易にアクセスできる場所で取引される可能性があります。
情報漏洩による二次被害の具体的な内容は下記の通りです。
- アカウントの不正利用
- フィッシング詐欺
- クレジットカードの不正利用
各内容について詳しく解説します。
アカウントの不正利用
サイバー攻撃によって漏洩した情報を使用し、不正ログインが行われるリスクが高まります。攻撃者がアカウントにアクセスすることで個人のプライバシーが侵害されたり、重要なデータが盗まれたりする危険性があるのがリスクです。
たとえばメールアカウントが乗っ取られると、パスワードリセットリンクを使ってほかのアカウントに不正アクセスされる可能性があります。
また、SNSを使ったプラットホームへのログインも可能になるため、アカウントの不正利用はさまざまなリスクを秘めています。
フィッシング詐欺
漏洩した情報をもとに、フィッシング詐欺が行われるリスクが高まります。攻撃者は信頼性を装ったメールやメッセージを送信し、ユーザーからさらに多くの個人情報を引き出そうとします。
たとえば「あなたのアカウントが不正利用されています」という偽の警告メールを送り、被害者を不正なWebサイトに誘導してログイン情報を入力させる手口が一般的です。
クレジットカードの不正利用
クレジットカード情報が漏洩した場合、攻撃者がその情報で不正購入する恐れがあります。被害者は知らない間に高額の請求を受け、あとでその支払いに対応しなければならない状況に追い込まれることがリスクです。
不正利用が発覚した場合はカード会社に連絡して対応を依頼する必要がありますが、その間に被害が拡大する危険性もあります。
上記のようなリスクがあるため、漏洩した情報がどこでどのように利用されるか把握して適切な監視と防御策を講じることが重要です。
個人情報が漏洩したときにやるべき3つの対処方法
企業がサイバー攻撃を完全に防ぐのが難しいということは、誰もが情報漏洩の危険にさらされる可能性があるとも言えます。実際に自分の情報が漏洩した場合、下記の対策を講じないと悪用される恐れがあります。
- 強力でユニークなパスワードの使用
- 信用情報やアカウントのモニタリング
- ダークウェブモニタリングサービスの利用
各内容について詳しく解説します。
サービスごとにユニークかつ強力なパスワードを使う
同じパスワードを複数のアカウントで使い回すのは非常に危険です。SNSやオンラインのプラットフォーム、オンラインショッピングなどそれぞれのアカウントに対して強力でユニークなパスワードを設定しましょう。
これにより漏洩した情報の一部に利用していたプラットフォームのパスワードが該当しても、ほかのアカウントが侵害されるのを防止できます。
ユニークなパスワードを作る際は、パスワードマネージャーを利用することが有効です。たとえば「B7t$9gX1#」のような複雑かつランダムなパスワードを作成し、それを安全に管理できます。
これによりパスワードを覚える負担が軽減され、セキュリティも向上します。
信用情報やアカウントのモニタリング
クレジットスコアや銀行取引の活動を定期的に監視することは、情報漏洩を早期に発見するための有効な手段です。特にクレジットカードは明細を毎月確認し、身に覚えのない取引がないかチェックすることが大切です。
さらに信用情報モニタリングサービスに登録することで、自分の名前で不正なローンが申請された場合に通知を受けることができます。これにより早期に対処し、被害を最小限に抑えることが可能です。
ダークウェブモニタリングサービスの利用
個人情報がダークウェブで取引されていないかを監視するサービスを利用することで、漏洩した情報を早期に発見できます。
クレジットカード番号やメールアドレスがダークウェブで売買されているかどうかを監視し、見つかった場合にすぐに対応できるようになります。
具体的には「norton(ノートン)」や「ダークウェブアイDiscovery」のようなサービスに登録することで、個人情報が流出した際に通知を受け取ることが可能。クレジットカードの停止やパスワードの変更などの対応を迅速に実施できます。
References
- ^ 株式会社KADOKAWA. 「ランサムウェア攻撃による情報漏洩に関するお知らせ」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000015155.000007006.html, (参照 2024-08-13).